e-bike日々徒然

快速系e-bikeに乗って感じた「新たな欲望」

昨年の暮れぐらいから、e-bike部周辺で話題に上ることが多かったのがコラテックの「E-POWER SHAPE PT500」というモデルです。曰く「すげえ速いよ!」「アシストがなくなる24km/hを超えてもグングン伸びますよ」「モーター音も静かで、普通のロードバイクに乗ってるみたい」等々。特に一番多くのe-bikeに乗っているであろう清水氏が「これまで乗った中で一番速い!!」と熱く語るので、めちゃくちゃ気になるわけです。なので、レビュー記事を書く予定もないのに、無理やり借りて乗ってみました。

編集部で車両を受け取り、自宅まで約30kmのルートを走行。いろいろな車種で走っているコースなので、データの比較もできます

乗ってみた感想は、確かに本当に速い!! ギアにもよりますが、ペダルを3回くらい回すと20km/hオーバーの速度が出ていて、あっという間にアシスト上限の24km/hを超えてしまいます。しかも、そこで加速が鈍ることなく、30km/hオーバーまで伸び続けるのがスゴイところです。

実は上記のルートを走っている途中に、他社製のe-bikeに乗った人(かなり走り慣れている感じ)と遭遇したのですが、一緒に走っていると24km/hまでは同等ですが、それを超えたあたりでこちらがスルスルと前に出られる感じ。通勤時間帯だったこともあって、自転車通勤のロードバイクも多かったのですが、40km/hくらいまでは付いて行くことができました。「E-POWER SHAPE PT500」は噂のとおり、かなり速いです。

やっぱり速かった「E-POWER SHAPE PT500」。ドライブユニットはボッシュ製「Active Line Plus」でモーター音が静かなのもいい!

これだけ速いと、今までのe-bikeでは感じたことのなかった欲も頭をもたげてきます。それはギア比。「E-POWER SHAPE PT500」のコンポーネンツはシマノの「DEORE(デオーレ)」(10速)を搭載。これはMTB用のコンポーネンツなので、ギア比がややワイドなんですね。具体的にリアのカセットスプロケットの歯数でいうと11-13-15-17-19-21-24-28-32-36Tというもの。

シマノ「デオーレ」10速のカセットスプロケット。11-36Tのコンビネーションです。今まではこれで十分だと思っていたのですが……

アシストのあるe-bikeでは、変速段数は10速で十分だし、ギア比もワイドなほうがいいというのが持論でした。でも、30km/hオーバーでも加速し続けられるくらいだと、トップのギア比11Tだと重いけど、その下の13Tだとちょっと軽いみたいな状況が出てきちゃうんですね。ちなみに、これが同じシマノのロードバイク用11速コンポーネント「105」だと、ギア比がいくつか選べるのですが、11-32Tのコンビネーションだと11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32Tとトップの11Tから14Tまで歯数が1つ刻みで設定されています。

これだけ細かくギアが選べると、アシストの上限を超えた速度域でもケイデンス(ペダルを回す回転数)を一定に保ったまま、速度を乗せていくことができそうです。今までのe-bikeではロードバイク用の11速が欲しいと思ったことはなかったのですが、「E-POWER SHAPE PT500」が速いからこそ、欲が出てきてしまう感じです。そういう意味で、メーカーが謳う「NEW STANDARD」という標語のとおり、e-bikeの新しいトビラを開くモデルなのかもしれません。

日本人向けに専用設計されたライディングポジションも快適ですが、30km/hオーバーで走り続けるなら、もう少し前傾できるようにしてもいいかも……とか考えてしまいます
さらに欲を言うなら、ドライブユニットをコンパクトな「PerformanceLine CX」にすれば、リアタイヤをさらに前に持ってきてハンドリングもクイックにできるのかも……と妄想が広がります

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。