長期レビュー

シャープ「プラズマクラスター洗濯機 ES-TX800」 その2

~気になる洗浄力から乾燥機と外干しの違いまでチェック
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



シャープ「プラズマクラスター洗濯機 ES-TX800」

 シャープの縦型洗濯乾燥機「プラズマクラスター洗濯機 ES-TX800」(以下、TX800)のレビューをお届けしている。前回は、独自の穴なし槽による高い節水能力と、新たに搭載した内蓋なし構造など、製品の特徴を中心にご紹介した。2回目となる今回は、洗濯乾燥機の基本機能となる洗浄力と乾燥機能を見ていこう。

まずは洗浄力をチェック!

TX800では、洗濯槽の側面に穴がない独自の「穴なし槽」を採用

 洗濯機を選ぶ時に重視するポイントとして省エネ性や節水性を挙げる人は多いが、それと同じくらい注目されているのが洗浄力だ。ただし、省エネ性や節水性とは違い数値で表すことが難しいため、使ってみないとわからないポイントでもある。

 一般的に縦型洗濯乾燥機とドラム式洗濯乾燥機では、洗濯の仕方が違う。ドラム式洗濯乾燥機はドラムを回転させて衣類をたたきつけるようにして洗うため、使用水量が少ないという利点がある。一方、縦型洗濯乾燥機は水を貯めてから衣類を洗うので、ドラム式に比べ使用水量が多い。

 洗浄力の面からいうと、水の中で衣類を泳がせるようにして洗う縦型の方が、ドラム式に比べて洗浄力が高いといわれている。TX800は、穴がない独自の洗濯槽「穴なし槽」を採用したことで、省エネや節水性に優れているが、じゃあ洗浄力はどうなのか。実際に試してみよう。

 今回試したのは、「焼肉のたれ」「ケチャップ」「ソース」「しょうゆ」「泥汚れ(土)」「味噌汁」の6つ。吸水性の良い綿100%のタオルにそれぞれ適量をたらした。いずれも、すぐに水で洗わないと落ちにくいと思われる色素の強い汚れだ。今回はこれを約4時間置いてからそのまま「標準」コースで洗った。

 洗ったタオルをチェックしてみると、スゴイ! 予想以上に落ちている。ソースだけ唯一跡が残っているが、ほかは全く跡が残っていない。4時間置いてこれだけ落ちているのだから、洗浄力はかなり高いと言っていいいだろう。

左から「焼肉のたれ」「ケチャップ」「ソース」「しょうゆ」「泥汚れ(土)」「味噌汁」それぞれを綿100%のタオルに適量垂らして、そのまま4時間放置した結果はこの通り。ソース以外はほとんど跡形もない

 ここでちょっと話が前後するが、標準コースを選んだ場合のTX800の使い方を紹介しておこう。まず、電源スイッチを入れる、あとはスタートボタンを押して、洗剤を入れて、蓋を閉める。これだけだ。前回、操作ボタンが多くて、最初は戸惑ったと書いたが、標準コースは、自動で設定されているので、これだけで良い。

 ひと昔前の洗濯機と違うのは、蓋を閉めないと、給水が始まらないということ。これはTX800だけではなく、ほかの縦型洗濯乾燥機でも同様だ。また、柔軟剤や液体漂白剤は、槽内ではなく洗濯槽上部に設けられた洗剤ケースに入れる。

 ちなみに洗濯時の標準的な洗濯時間は約36分、使用水量は最大でも45L。標準コースでこれだけ短時間で、少ない水でしっかり洗ってくれるのは嬉しい。洗濯の標準コース1つとってもしっかり進化を感じられる。

標準コースは自動設定されているので、電源を入れてからスタートボタンを押すだけで良いこの時の洗濯時間は36分使用水量は41Lだった

乾燥機能ってほんとに使えるの?

 今回TX800を選んだ大きな理由の1つが、乾燥機能が付いているということ。ただメーカーのユーザー調査などによると、乾燥機能付きの洗濯機を買っても使用頻度は少ないという結果が出ている。理由は電気代が気になる、音が気になる、シワが気になるなど様々。では私の場合はというと、かなり気にいって愛用している。時節柄、毎日とは言わないが天気予報を見て雨が降りそうなときは、洗濯~乾燥に切り替えて使っている。

 確かに運転音や電気代は、洗濯工程のみに比べると上がってしまうが、外に干したまま雨に濡れて、部屋干しして生乾きで、もう一度洗濯することを考えるとやっぱり乾燥した方が合理的だと思うのだ。

 気になる仕上がりの方も満足。下の写真はそれぞれ、乾燥機と天日干しの仕上がりの差を比べたもの。綿100%のシャツはさすがにシワが目立つが、後はそれほど気にならないレベル。中でも感動したのが、男性用のポリエステル65%、綿35%のシャツ。天日干しと比べてもそれほど気にならない。

上からタオル、女性用ストレッチシャツ、綿100%のボタンダウンシャツ、男性用ポリエステル混のシャツ。天日干しと乾燥機での仕上がりの差を比べた天日干しの方はハンガーを使って干した男性用シャツは2つともポリエステル65%、綿35%
左が乾燥機、右が天日干し。女性用長袖Tシャツ。前身ごろあたりのシワがやや気になる左が乾燥機、右が天日干し。やっぱりというか、当然というべきか綿100%のシャツはシワがかなり気になる左が乾燥機、右が天日干し。男性用のポリエステル65%、綿35%のシャツ。これは、ほとんど差がない。乾燥機で乾かすのも充分アリ
右が天日干し、左が乾燥機。写真だとややわかりにくいが、左の乾燥機で仕上げたほうが全体的にふっくらと仕上がっている

 特筆したいのはタオルの仕上がり。これは良く言われていることだが、乾燥機で乾かした方は表面の糸が立って天日干しよりも弾力が出て、肌触りが良い。

 一方、乾燥機能を使わないようにしている衣類もある。デニムなど厚手のものやセーターなど縮みが気になるものなどだ。また、ハンカチなどもシワがかなり出てしまうので、天日干しの方が合理的だ。

 TX800では、センサーで乾燥具合を確かめながら運転するため、厚手の乾きにくいものを入れるとそれだけ運転時間が長くなってしまい、電気代もかかる。洗濯から乾燥までするときは、必ず衣類を確かめてからするようにしよう。

乾燥容量4.5kgってどれくらい?

 さて、もう1つ私が乾燥機能で気になったのが4.5kgという容量。TX800は洗濯容量8kg/乾燥容量4.5kgで、洗濯できる容量と乾燥できる容量が違う。これはTX800に限ったことではなく、全ての洗濯乾燥機がそうなのだが、この容量がイマイチわかりづらい。

 大抵は洗濯槽の半分くらいを目安として目分量で入れてしまっているのが現状だ。今回は実際に衣類の容量を図って4.5kgの衣類を並べてみた。参考までに述べておくと、女性用長袖Tシャツの重さは138g、半袖Tシャツは88gだった。結果は以下の通り。

【バスタオル4枚・フェイスタオル2枚・女性用長袖Tシャツ3枚・女性用スウェット上下・女性用Tシャツ・女性用タンクトップ・女性用トレーニングパンツ・男性用Tシャツ3枚・男性用スウェット・男性用下着・男性用靴下2足・男性用パーカー】

 これだけ入れても、容量は4,456g。2人暮らしはもちろん、4人家族でも充分対応できそうだ。

女性用長袖Tシャツの重さは138g半袖は88g約4.5kgの衣類を並べたところ。想像以上にたくさんの衣類を乾かせる

乾燥機能を使うなら予約運転がおすすめ

 TX800の洗浄力、乾燥能力とも高いということは分かってもらえたと思うが、使っていく上での注意点もある。それは、乾燥運転が終わったらそのままにしないで、すぐに洗濯物を取り出すということだ。TX800では、乾燥後の置きジワを防ぐため、運転停止後も弱いかくはんと送風運転を間欠的に行なっている。それ自体は便利な機能ではあるが、そのままにすると最長2時間まで行なわれるのだ。

 つまり夜寝る前に洗濯~乾燥コースをスタートすると、途中で取り出すことができないためその分、電気を使ってしまう。このご時世、電気の消費はなるべく抑えたい。そこで活用したいのが予約運転。運転終了までの時間を選んでセットしておけば、その時間に運転が終わるようにしてくれる。余計な電気代をかけずに賢く使っていきたい。

 最終回となる次回では、もともと節水性の高いTX800のさらなる節水術、おすすめの使い方、気になるお手入れについてを紹介する予定だ。



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2011年4月13日 00:00