長期レビュー
三菱電機「熱いまま急っと瞬冷凍 MR-E45P」 その3
三菱電機「熱いまま急っと瞬冷凍 MR-E45P」 |
前回までに、この製品の庫内レイアウトや基本的な性能についてみてきたが、最終回となる今回はこの製品の最大の特徴となる冷凍機能について詳しくみていきたいと思う。第1回目はこちら、第2回目はこちら。
MR-E45Pでは、一般的な冷凍機能のほかに、急速冷凍とソフト冷凍、全部で3つの冷凍機能を搭載している。普通の冷蔵庫と一番違うのは、通常の冷凍を行なう冷凍室とは別に、急速冷凍、ソフト冷凍専用の「切替室」が設けられていることだ。
切替室は、製氷室の横に設けられた引き出し式の小さな部屋で、大きさは製氷室と同等で庫内容量は約15L。急速冷凍と、ソフト冷凍はこの小さな切替室で行なう。切替室はその名の通り、冷凍方法を切り替えて使用する。切り替えは、前面のパネルスイッチで行なう。
急速冷凍とソフト冷凍を行なう切替室 | 通常の冷凍を行なう冷凍室とは別に設けられている |
急速冷凍とソフト冷凍の切替は本体前面の操作パネルで行なう | 部屋選択のボタンで切替室を選択 | その後、温度調節ボタンでソフト冷凍を選択する。急速冷凍をする場合は、その下のソフト冷凍を選択した状態でその下の瞬冷凍ボタンを押す |
■熱いままの食材をそのまま瞬間冷凍して旨みを閉じこめる
まずは急速冷凍について見てみよう。急速冷凍は別名「瞬冷凍」として、同社が2007年から搭載している冷凍機能。過冷却と呼ばれる現象を利用して、食品の内側と外側を微粒子凍結させることにより、食品の鮮度を保ちながら冷凍するという技術だ。詳しくはこちらの取材記事を参照していただきたいが、簡単にいうと、従来の冷凍方法よりも低い温度で食材を瞬間的に冷凍させるため、冷凍による食材の細胞破壊を極力抑えることができるという点が特徴となる。
MR-E45Pでこだわっているのは食材をおいしく冷凍するという点。そのため、食材の細胞破壊を押さえる瞬冷凍技術に加え、食材の風味や水分を逃さず冷凍するため、熱いままの食材をそのまま冷凍できる「切替室」を設けているのだ。これまでは、すでに冷凍してあるほかの食材に熱が伝わってしまうため、熱いままの食材を冷凍室に入れるのはタブーとされていたが、三菱では、独立した切替室を設けたほか、独自のセンサー技術「ムーブアイ」を駆使して、熱いままの食材をそのまま入れることを可能にした。
切替室に設置されているムーブアイは、食材の温度や庫内での配置場所を感知して、その食材だけを狙って冷気を吹き付ける。これにより、既に冷凍してあるほかの冷凍食品に影響を与えることなく冷凍ができるという。
と、長々と技術について説明をしてきたが、この技術の良さは使ってみるとすぐにわかる。特に違いを感じたのは冷凍ご飯だ。2人暮らしの我が家では、定番の冷凍ご飯だが、これまでは冷凍ご飯はチャーハンやおじや、オムライスなど、ちょっとした手を加えることが多かった。というのも、冷凍したご飯は水分が少なく、パサパサでそのまま食べるという気にはならなかったのだ。
しかし、瞬冷凍したご飯は、しっかり水分が残っていて、そのままでも充分、というより炊きたてのご飯と変わらない食感なのだ。冷凍してある見た目からして違う。ラップの内側の水滴までがそのまま冷凍されていて、ご飯の粒1つ1つがしっかりしている。
熱いままのご飯をラップに包んで冷凍する | 冷凍後のご飯。ラップの中の水滴までそのまま冷凍されているのがわかる。ご飯の粒もしっかりと確認できる |
ご飯以外にもフルーツなどこれまでは冷凍するのはどうなの、と思っていたモノも手軽に冷凍するようになった。MR-E45Pの説明書では、実例を交えて瞬冷凍を紹介しているため、実践しやすいのも良い。
瞬冷凍した巨峰。中の繊維が崩れていないため、サクッと切れた | 冷凍したフルーツならではのコチコチ感はなく、食感はシャーベットのようだ。説明書によると、冷凍するのには甘味の強いフルーツが向いているという | 瞬冷凍したヨーグルト。こちらもシャーベットのようにサクッとスプーンが入った。凍らすだけで手軽においしいフローズンヨーグルトが楽しめる |
使ってみて感じたのは、切替室が独立していることの利点だ。実は、熱いご飯をそのまま冷凍できるという技術は他社の製品にも搭載されている技術だが、いくら大丈夫だよ、とメーカーが言ってもそれまでの習慣で「熱いままいれるのはちょっとねぇ」と躊躇する人も多いと思う。その点、MR-E45Pでは冷凍室とは別の部屋を設けることで、安心して熱いままの食材を入れることができるのだ。これまでの冷凍室とはベツモノの技術と捉えることができるため、瞬冷凍を日常的に使うようになった。
■割安な大容量食材をしっかり活用できる「切れちゃう冷凍」
ソフト冷凍に設定した切替室に大型パックの肉をそのまま入れる |
次にソフト冷凍こと切れちゃう冷凍について。切れちゃう冷凍は、マイナス7℃という通常の冷凍温度より高い温度で食材を冷凍することで、冷凍後の食材にも包丁を入れることができるという技術だ。瞬冷凍と同様に切替室を使用する。この機能、共働きの我が家にはまさにピッタリの機能だった。
冷凍した肉を使いたい分だけ切って、残りはそのまま冷凍に使えるのは本当に便利。2人分という中途半端な人数は、どうしても無駄が出てしまいがちだが、切れちゃう冷凍を使うようになってからは、心なしか料理までうまくなったような気さえする。
冷凍した豚バラ肉を包丁で切っている様子。普通の状態の肉を切るときよりはやや力が必要だが、上から包丁をゆっくりおろしていくと、スッと切れる |
冷凍した豚バラ肉 | その状態で上から包丁で切ることができる | 細かく切って今度は通常の冷凍室に入れるなんていう使い方も可能 |
焼いているうちに肉が離れてくるので解凍の手間もない | 豚バラ肉で作ったゴーヤチャンプル。少量の料理でもその時使いたい分の肉だけを切れるのでとても便利だ |
というのも、「使いたい分だけ買う」というのは実はかなり難しいこと。スーパーで売られている材料はその人の食べる量や、料理法までは加味していない。これまでは、この肉の量だとちょっと多いよなぁと思いつつも、一度解凍したものを冷凍し直すのも気が引けて、無理矢理料理するなんていうことが良くあり、結局食べきれずに無駄にすることも良くあった。切れちゃう冷凍では、本当に使いたい分だけを解凍できるため、例えばお弁当作りにもとても重宝している。
大型パックで購入した挽肉 | 挽肉もサクっと包丁で切れた | 1人分のパスタを作るときなど便利に使える |
休みの日に大量に作ったミートソースもソフト冷凍で冷凍する | 中のソースまでそのまま冷凍されているので、切ったらあとは解凍するだけだ | パスタはもちろん、オムレツのソースとしてちょっとだけ使うなど料理のアレンジも広がりそうだ |
大型パックは小分けパックに比べて割安で買えることが多く、節約にもつながる |
また、冷凍した食材を効率よく使い切れるようになったため、これまでは保存方法を考えて手が伸びなかった大型のパックも頻繁に購入するようになった。小分けパックに比べ、割安で買えるというのが何より魅力的だ。
■やっぱり冷凍機能がイチオシ!
毎日のお弁当作りも冷凍を使いこなすようになってからは、手間も無駄もぐっと抑えられるようになった |
MR-E45Pを導入してからは、たくさん買っても、とりあえず冷凍しちゃえばいいんだという考え方に変わったため、スーパーでの買い物の回数が確実に減った。
冷凍機能そのものはもちろん前の冷蔵庫にも搭載されていた。作り置きしておけば便利なのは分かっていたし、買い貯めをしておけば買い物の回数も減ることももちろん知っていた。ただ、それを行動に移せなかったのは何より「味が落ちる」という認識があったからだ。10年近くも前の古い製品を使っていただけに、冷凍すれば霜や独特のニオイがついてしまうというのが根底にあったのだ。
MR-E45Pを使い始めてからは、冷凍への考えかたがずいぶん変わった。おいしく、しかも便利な冷凍機能を利用しないというのはもったいないとすら思うようになったのだ。
MR-E45Pのような最新の冷蔵庫を使い始めて、まず感じたのは省エネ性能はもちろんだがユーザーの「ライフスタイル」までよく考えられているなと感じたこと。共働きや、時間のズレが当たり前の現代の家族がどういう状況で食事を作るのか、何を優先に食材を選ぶのか。そこまで、きちんとフォローしてくれる。
エコポイントを利用して冷蔵庫の買い換えを考えている人には一度チェックしてもらいたいおすすめの製品だ。
・三菱、“光”で鮮度と清潔性を保つ高級冷蔵庫「光ビッグ」 (2009年08月25日)
2009年8月26日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)