長期レビュー
三菱電機「熱いまま急っと瞬冷凍 MR-E45P」 その1
三菱電機「熱いまま急っと瞬冷凍 MR-E45P」 |
友人から譲り受けた10年選手の冷蔵庫がついに壊れてしまった。原因は不明だが冷蔵庫の中が常に水浸しの状態。1998年製の製品なので、思い切って冷蔵庫を買い換えることにした。
戦後最高レベルと言われる不況の中、家電製品も苦戦を強いられているが、その中で唯一好調なのが冷蔵庫なのだという。エコポイント制度の導入も手伝って、特に500L以上の大型製品で、2008年全体の売り上げを見ても金額ベースで前年比5%増となっている(Gfk Japan調べ)。
冷蔵庫は「冷やす」という基本的な機能については平均化されているため、それほど買い換えの需要がなさそう……と思っていたが実際に調べてみると買い換えサイクルとされている7年前の製品と、最新機種では大きく変わっていた。今回取り上げる三菱電機の「MR-E45P」を細かくみていく前に、冷蔵庫がどう変わったのか、買い換える前に見ておくポイントはどこなのか、簡単にトレンドをまとめてみよう。
■まずは、省エネ性をチェック!
まず、なにより変わっているのが省エネ機能。7年前の消費電力の半分という製品もあるくらい、買い換えの重要な訴求ポイントとなっている。冷蔵庫は電源の入れっぱなしにして使う製品だけに、毎月の電気代に与える影響も大きい。
機能が外側から見えにくい冷蔵庫において、省エネ性能は買い換え時の重要なポイントの1つになる。以下に、主要なメーカーの最近機種の数値を挙げたので、購入時の参考にしてもらいたい。いずれも定格内容積500L~520Lの台の冷蔵庫を基準としている。
メーカー | 型番 | 容量 | 年間消費電力量 |
パナソニック | NR-F503TE | 501L | 380kWh |
東芝 | GR-A51R | 511L | 380kWh |
シャープ | SJ-KF50R-S | 501L | 520kWh |
三菱 | MR-E50P | 501L | 420kWh |
日立 | R-SF50YM | 501L | 370kWh |
各メーカー省エネ機能を向上させるために、様々な工夫を凝らしているが、特に省エネに力を入れているのがパナソニック、日立、東芝の3メーカーだ。それぞれ独自の断熱材を内蔵している。特にパナソニックの省エネ性能の向上は飛躍的で、3年前の機種と比べて約半分だ。
買い換え前の冷蔵庫は富士通のER-L22D。容量は225Lで、年間消費電力は444kWh |
ちなみに買い換え前の我が家の冷蔵庫の消費電力は225Lで、444kWhだ。ちなみに、消費電力の基準は今と昔で変わっているので、現在の基準に合わせた場合、さらに差が開くと予想される。
■最近の冷蔵庫のトレンドをチェック!
次に機能のトレンドを見てみよう。最近のトレンドとして外せないのは、冷凍機能、鮮度、庫内レイアウトの3つだろう。
まずは、冷凍機能から。ご飯を冷凍するのが当たり前になっていたり、冷凍食品を多用する人が増えているという背景から冷凍技術はますます進化している。特に、昨年モデルあたりから各メーカーが一斉に搭載しているのが、熱いものをそのまま冷凍できるという急速冷凍機能だ。業務用の冷凍庫と同等のパワーで食材をあっという間に凍らすため、食材の旨みを逃さずに冷凍できるというという。
その中でも特徴的なのが、冷凍室とは別に急速冷凍の部屋を設けてある三菱とシャープ。シャープでは庫内の温度を調節できる「愛情ホット庫」がウリとなっている。対する三菱では、元祖急速冷凍搭載メーカーとして、急速冷凍以外にも冷凍しているものをそのまま包丁で切れる「切れちゃう冷凍」など様々なバリエーションを設けている。
次に“食材の鮮度を保つ”機能についてだが、鮮度を保つことで、食品を捨てない、長持ちさせる「食のエコ」として最近のトレンドの1つとなっている機能だ。
パナトニックは独自の「ナノイー」で、野菜の鮮度を保つ「ナノイー野菜室」を搭載している。東芝では庫内の湿度を高くして、野菜の品質を長持ちさせる「ツイン冷却機能」、日立ではチルドケース内を真空に保つことで食品の酸化を防ぐ「真空チルド」などをそれぞれ搭載している。
最後に庫内レイアウトについて。食生活やライフスタイルの多様性に伴って、庫内レイアウトも各社工夫を凝らしている。
大容量はもちろんだが、最近の冷蔵庫のトレンドとして、鍋をそのままや大型ペットボトルをそのままなど食生活やライフスタイルを反映させた収納スペースが搭載されているのが特徴だ。
たとえば、パナソニックでは野菜室の収納スペースを従来の約1.3倍に拡大し、2Lのペットボトルが収納できるスペースを新たに設けている。また、三菱では冷蔵庫の棚を上下に動かして自分なりのレイアウトが作れたり、冷凍室にも仕切りを搭載するなど自由度の高いレイアウトが特徴となっている。
買い換えを考えている人はまずは省エネ性能だけでなく、普段冷蔵庫に何を入れているか、どんな使い方をしているかという点も事前にチェックしてから製品選びを始めるのがオススメだ。
と、ここまで長々と機能のトレンドについて書いてきたが、おおざっぱに各メーカーの冷蔵庫を簡単にまとめると以下のようになる。
・大容量・省エネならパナソニック |
・高級志向の日立 |
・プラズマクラスターで抗菌をウリにしているシャープ |
・湿度の高い庫内で野菜の鮮度を守る機能を押しているのが東芝 |
・冷凍機能で一歩先を行く三菱 |
■狙うなら大容量、あとはサイズとの相談――
ここまで、現在の冷蔵庫の市場を簡単に説明してきたが、実際の機種選びではどこがポイントになるのだろう。
・容量400L以上のもの |
・フレンチドアのもの |
・冷凍機能が優れているもの |
・機能は一番大きい機種と同等のものを搭載している |
・ドアの開閉や中の食品の取りやすさ |
以上の条件を満たして、選んだのが三菱の「MR-E45P」だ。正直省エネ性能に関しては、他メーカーから一歩遅れているという印象がぬぐえないが、何より冷凍機能の豊富さが購入の決め手となった。また幅60cmのマンションサイズでも搭載機能が上位機種と同等という点も見逃せない。
メーカー | 三菱電機 |
製品名 | 熱いまま急っと瞬冷凍 MR-E45P |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシカメラ |
購入価格 | 149,800円(ポイント15%還元) |
買うなら最新の機能のものをと思っても、現状では大容量のサイズが大きいものが上位機種と設定されているため、サイズによって、機能や性能が下になってしまうということがほとんど。購入する際はサイズ違いの機能の差というのも忘れずに確認したい。
機能面で重視したのが冷凍機能。というのも共働きの我が家では、週末に買いだめ、作り溜めをして、それを一週間掛けて食べるというスタイルが定番。三菱の冷蔵庫では、温度切替えができる小型の冷凍室を備えているほか、急速冷凍、肉などを冷凍したまま包丁できることができる「切れちゃう冷凍」などほかの冷凍機能が充実している。
また、意外にも購入の決め手となったのが実際に触ったときの感触だ。私の場合チェックしたのはドアの開閉部分と、庫内レイアウト部分だ。実は、コレ! と決めていた製品があったのだが、ドアの開閉が電動式で、その開け閉めの感覚がどうにも掴めなかった。これまで手で何も考えずに開閉してきたものが、いきなり電動になることに違和感を感じてしまい、結局イチから製品を選び直した、という経緯がある。
最近では家電ブームということもあり、店頭まで足を運ばなくても製品のことはだいたいわかってしまうが、ぜひ実際触ってからの購入をお勧めしたい。
■事前のサイズチェックは念入りに
搬入前に中の食材を取り出しておく |
機種を確定して、製品を購入したらあとは搬入という一大イベントが待っている。とはいっても、専用の業者の人がやってくれるため、搬入当日にすることといえば、中の食材の入れ替え程度だ。
事前に食材を買わないようにしていたということもあって、さほど手間は掛からなかったが1つ盲点だったのが、搬入口のサイズチェックだった。
設置場所や玄関や廊下など基本的なサイズはもちろん事前にチェックしていたが、意外な盲点となったのが玄関の郵便ボックスのつっぱり部分だった。搬入口となる玄関のサイズは事前に確認していたものの、まさかそこに引っかかってしまうとは――今回は養生のため本体周りに巻いていたシートを取り外してから搬入するという、業者さんの機転でなんとか無事に終わったが、一度確認しておくのが良さそうだ。
製品到着時。梱包は全て業者さんが解いてくれて、持って帰ってくれる | 搬入時、冷蔵庫を養生するための専用の布 | 本体を養生してさっそく搬入開始! と思ったらさっそくトラブルが…… |
ドアの内側の郵便ボックスのつっぱりが引っかかってしまう。急遽養生を取り外しての搬入となった。ちなみに業者さんによると取り外せるタイプの郵便ボックスもあるという | キッチン周りのサイズは事前に図っていたためギリギリではあったものの問題なくクリアした |
設置スペース | 設置後。すっぽりと収まった | 設置後は本体下部のパッキンを調節して、本体を固定する |
というわけで今回は、機種選びから搬入までお伝えしたが、次回は庫内レイアウトや実際の使い勝手に関してお伝えしていきたい。
・三菱電機「MR-G50M」(2007年02月28日)
2009年8月5日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)