【特別企画】
メーカーに聞く、最新空気清浄機のポイント:シャープ編
~24時間の連続運転に対応、“実使用に即した製品”
新型インフルエンザの感染が世間を騒がせているなか、身近な感染防止策として「空気清浄機」が注目されている。そこで今回は、空気清浄機のメーカーに最新モデルの特徴とポイント、市場動向などについて話を伺った。
空気清浄機市場において、トップシェアを誇るシャープ。その地位を誇るように、年末商戦に向けて、他社の追随を許さない幅広いラインアップを用意した。
加湿機能を搭載した製品では、最上位の「プラズマクラスター空気清浄機 KC-Y80」をはじめ4機種、標準モデルではFU-Y53CXをはじめ3機種を新たに投入。需要が高まる空気清浄機市場において、幅広く選択肢を用意したのが特徴だ。
ワンルーム向けのKC-Y30をラインナップに加えた理由について、シャープの健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 副事業部長兼商品企画部長の鈴木隆氏は「リビングには設置できても、それ以外の部屋に設置するには、大きいという声もあった。カビ対策や、ダニ・アレル物質、浮遊ウイルスにも効果がある本格モデルとしての機能を持ちながら、大きさや価格の観点からも購入しやすい製品づくりを目指した」と説明する。
2台目の空気清浄機を導入すると、当然、電気代も2倍になる。だが、KC-Y30では低消費電力化にも配慮し、中運転でも一日5.3円という経済性を実現した。まさに、昨今の“巣ごもり現象”に対しても、的を射た製品提案だといえよう。
●「指名買い」に応えるべく、電気代や運転音を抑制。24時間の連続運転に対応
そしてもう1つのポイントは、ユーザーにプラズマクラスターイオンをより積極的に活用してもらう取り組みだ。
プラズマクラスターイオンについては、シャープでは2000年から“アカデミックマーケティング”と呼ばれるマーケティング手法を採用、ウイルスの抑制などの効果を、第三者機関によって実証している。鳥インフルエンザウイルスへの効果については、ロンドン大学のジョン・オックスフォード教授により、高濃度化によって浮遊するウイルスを約10分間で99.9%分解、除去することを実証。除去効果については、空気清浄技術の世界的権威であるハーバード大学公衆衛生大学院名誉教授のメルビン・ファースト博士により、バイオハザードの検査など行なう施設を活用しながら、容積40立方mの部屋において浮遊菌の除去効果を実証している。
こうしたプラズマクラスターイオンのデバイスの効果は、多くの研究機関で実証されているのだ。実際、こうした効果は多くのユーザーに受け入られており、2008年12月末には、自動車や鉄道、医療機関などでの利用を加えたプラズマクラスターイオンデバイスの累計出荷は2,000万台に達している。
シャープでは、空気清浄機の新製品すべてに、1立方cm当たりで7,000個のイオンを放出する「高濃度プラズマクラスターイオン7000」を搭載しているが、従来までは同イオンを部屋中に行き渡らせる際は「強運転」を使用していた。しかし、今回のモデルでは、室内中央にプラズマクラスターイオンを届ける「前方気流」を搭載することで、中運転時でも同様の効果が発揮できるようになった。これにより、大幅な低騒音化、低消費電力化を図っているのだ。
また、吸音ダクト構造を採用することで、強運転時でも運転音は全機種で50db以下となり、プラズマクラスターイオン放出中の中運転では40db以下と、より静かになっている。さらに、風切り音のような耳障りな音も吸収し、数値以上の静音性を達成しているという。
「プラズマクラスターイオンを搭載していることや、ぶどうのマーク(プラズマクラスターイオンのロゴマーク。ぶどうの房[=Cluster]の形をしている)が付いていることで、消費者に選択していただく“指名購入”が増加している。それに応えるために、実使用時において、高濃度プラズマクラスターイオンを利用しやすいよう改良を図った。従来の空気清浄機の購入者は、アレルギー性患者や花粉症といった人たちが中心だったが、いまは空質に対する関心が高まり、健康のため、あるいは風邪の防衛策の1つとして導入するなど、購入者層が広がっている。高性能を誇るだけででなく、実使用時にどれだけ効果を発揮できるかを重要な要素と捉えた」(鈴木氏)
鈴木氏によれば、今回の低消費電力化によって、24時間稼働させるといった使い方も可能になったという。
「2006年度には終日運転しているとした人が37.7%を占めたが、最近では省エネ意識の高まりとともに、外出中は停止させるなど、終日運転している人は26.1%に減少している。本来は外出中も運転させておきたいと思う人が多く、経済面からも安心できる改良が求められていた」(鈴木氏)
新製品では、最上位機種で強運転時でも24時間稼働で一日約31円、中運転時では13円を実現しており、24時間の実使用に則したものとなっている。これも実使用を想定した改良といえる
実使用という点では、操作環境が確認できるように、湿度表示やハウスダストモニターを搭載し、室内の湿度や部屋の汚れの状態を可視化できるようにした点も挙げられる。
「加湿機能を搭載したモデルが人気を博しているが、実際には湿度計は一般家庭になく、具体的にどの程度の湿度となっているかはわからないというのが実態。湿度の状況がわかるようにし、さらにハウスダストの状況も確認できるようにした」(鈴木氏)
センサー機能と連動して運転を制御することで、湿度60%に合わせた自動加湿運転を行なうようにして、適切な湿度を常に保つことができるようになっている。
さらに、前述の「前方気流」により、高濃度7,000のプラズマクラスターイオンを直接、体に浴びるといった使い方にも対応する。また、後方の吸い込み口も、吸い込み面積を従来モデルに比べて20%向上。空気力学を応用した独自のロングノズル採用のホルン機構および空力特性やコアンダ効果により、部屋の隅々のホコリを素早く集め、背面から一気に吸い込む仕組みとなっている。
「同じ風量でも、吸塵効率は従来製品比で150%。これをHEPAフィルターでしっかり除去する仕組みとした」(鈴木氏)
一方、加湿機能搭載モデルでは、加湿用フィルターを改良。風通しの邪魔になっていた支柱をなくした新ローター方式加湿構造を採用したことで、効率性を約20%向上させるとともに、加湿フィルターの強度アップなどにより、10年間交換不要としている。
シャープでは、年末商戦において、プラズマクラスターイオンの横断的な店頭プロモーションを実施する。
イオン発生機や空気清浄機をはじめ、エアコン、冷蔵庫、ドラム洗濯乾燥機、サイクロン掃除機といったプラズマクラスターイオンを搭載した家電に、のぼり型のPOPを用意。のぼりには、ブラズマクラスターイオンのトレードマークである「ぶどうのマーク」をあしらい、店頭のあちこちでプラズマクラスターイオンの訴求を行なう。
なかでも、プラズマクラスターイオン搭載機の中核的役割を担う空気清浄機では、のぼり型POPの活用のほかにも専用POPを用意し、浮遊ウイルスのほか、アレル物質、カビ菌、付着臭、静電気などに効果があることと、センサー機能や静音設計などの実使用のメリットを訴求する。
「プラズマクラスターイオンによって、健康な生活を送ることができる提案とともに、シャープの空気清浄機は実使用を考えた製品であることを消費者に訴える」(鈴木氏)
空気清浄機そのものの需要の高まりとともに、“指名買い”が増加していることから、空気清浄機は品薄傾向が続いている。しかし、シャープはプラズマクラスターイオンの発生デバイスの量産体制も確立しており、安定供給に向けた体制強化に余念がない。
●ワンルームなど小空間向けのモデルを追加、“巣ごもり現象”に対応
シャープの空気清浄機のラインナップ。適用床面積が21/17/13/10畳までの4タイプが用意される |
加湿機能を搭載した製品では、最上位の「プラズマクラスター空気清浄機 KC-Y80」をはじめ4機種、標準モデルではFU-Y53CXをはじめ3機種を新たに投入。需要が高まる空気清浄機市場において、幅広く選択肢を用意したのが特徴だ。
今回、新たな市場開拓に向けて投入したのが、ワンルームやマイルーム向けの加湿空気清浄機「KC-Y30」だ。適用床面積が最大で10畳(加湿運転時)と、ラインナップの中では最もエントリーモデルだが、家庭内への複数台設置や、新社会人や学生などをターゲットとして展開される。
最上位モデルの「KC-Y80」。適用床面積は21畳まで | 新たに追加された、10畳までのパーソナルルーム向けの「KC-Y30」 |
シャープ 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 副事業部長兼商品企画部長 鈴木隆氏 |
2台目の空気清浄機を導入すると、当然、電気代も2倍になる。だが、KC-Y30では低消費電力化にも配慮し、中運転でも一日5.3円という経済性を実現した。まさに、昨今の“巣ごもり現象”に対しても、的を射た製品提案だといえよう。
●「指名買い」に応えるべく、電気代や運転音を抑制。24時間の連続運転に対応
プラズマクラスターイオンがウイスルを分解、除去する仕組み。プラスとマイナスのイオンをプラズマ放電により作り出し、ウイスル表面のタンパク質から水素を抜き取り、分解する |
プラズマクラスターイオンについては、シャープでは2000年から“アカデミックマーケティング”と呼ばれるマーケティング手法を採用、ウイルスの抑制などの効果を、第三者機関によって実証している。鳥インフルエンザウイルスへの効果については、ロンドン大学のジョン・オックスフォード教授により、高濃度化によって浮遊するウイルスを約10分間で99.9%分解、除去することを実証。除去効果については、空気清浄技術の世界的権威であるハーバード大学公衆衛生大学院名誉教授のメルビン・ファースト博士により、バイオハザードの検査など行なう施設を活用しながら、容積40立方mの部屋において浮遊菌の除去効果を実証している。
こうしたプラズマクラスターイオンのデバイスの効果は、多くの研究機関で実証されているのだ。実際、こうした効果は多くのユーザーに受け入られており、2008年12月末には、自動車や鉄道、医療機関などでの利用を加えたプラズマクラスターイオンデバイスの累計出荷は2,000万台に達している。
プラズマクラスターイオンが発生する仕組み。電極にプラスとマイナスの電圧をかけることで、空気中の水分子と酸素分子を分解、イオンを作り出す | プラズマクラスターイオンの除菌・脱臭効果は、国内外の研究機関によって実証されている。写真は8月の加湿空気清浄機発表会時点のもの | プラズマクラスターイオン技術は、新幹線や自動車など、国内24社の企業に採用されている |
新たに本体前方にプラズマクラスターイオンを届ける「前方気流」を搭載。「中」運転でも、従来モデルの「強」と同様に、部屋中にプラズマクラスターイオンを届けられるという |
また、吸音ダクト構造を採用することで、強運転時でも運転音は全機種で50db以下となり、プラズマクラスターイオン放出中の中運転では40db以下と、より静かになっている。さらに、風切り音のような耳障りな音も吸収し、数値以上の静音性を達成しているという。
「プラズマクラスターイオンを搭載していることや、ぶどうのマーク(プラズマクラスターイオンのロゴマーク。ぶどうの房[=Cluster]の形をしている)が付いていることで、消費者に選択していただく“指名購入”が増加している。それに応えるために、実使用時において、高濃度プラズマクラスターイオンを利用しやすいよう改良を図った。従来の空気清浄機の購入者は、アレルギー性患者や花粉症といった人たちが中心だったが、いまは空質に対する関心が高まり、健康のため、あるいは風邪の防衛策の1つとして導入するなど、購入者層が広がっている。高性能を誇るだけででなく、実使用時にどれだけ効果を発揮できるかを重要な要素と捉えた」(鈴木氏)
鈴木氏によれば、今回の低消費電力化によって、24時間稼働させるといった使い方も可能になったという。
「2006年度には終日運転しているとした人が37.7%を占めたが、最近では省エネ意識の高まりとともに、外出中は停止させるなど、終日運転している人は26.1%に減少している。本来は外出中も運転させておきたいと思う人が多く、経済面からも安心できる改良が求められていた」(鈴木氏)
新製品では、最上位機種で強運転時でも24時間稼働で一日約31円、中運転時では13円を実現しており、24時間の実使用に則したものとなっている。これも実使用を想定した改良といえる
中運転でもプラズマクラスターイオンが部屋に届けられるようになったため、従来よりも運転音が抑えられるようになった | これに伴って、電気代も抑えられるようになった。24時間の使用にも対応するという | プラズマクラスターイオンのロゴマーク。消費者からは、このマークを目当てに購入する“指名買い”が増えているという |
●モニターで空気の汚れも可視化。加湿フィルターは10年間交換不要
空気の汚れを示すモニターと湿度計を搭載する |
「加湿機能を搭載したモデルが人気を博しているが、実際には湿度計は一般家庭になく、具体的にどの程度の湿度となっているかはわからないというのが実態。湿度の状況がわかるようにし、さらにハウスダストの状況も確認できるようにした」(鈴木氏)
センサー機能と連動して運転を制御することで、湿度60%に合わせた自動加湿運転を行なうようにして、適切な湿度を常に保つことができるようになっている。
さらに、前述の「前方気流」により、高濃度7,000のプラズマクラスターイオンを直接、体に浴びるといった使い方にも対応する。また、後方の吸い込み口も、吸い込み面積を従来モデルに比べて20%向上。空気力学を応用した独自のロングノズル採用のホルン機構および空力特性やコアンダ効果により、部屋の隅々のホコリを素早く集め、背面から一気に吸い込む仕組みとなっている。
「同じ風量でも、吸塵効率は従来製品比で150%。これをHEPAフィルターでしっかり除去する仕組みとした」(鈴木氏)
加湿フィルターでは、風通しの邪魔になっていた支柱を省略。効率を約20%を向上し、10年間の交換が不要となっている(左が新製品) |
●“シャープの空気清浄機は実使用を考えた製品”
シャープでは、年末商戦において、プラズマクラスターイオンの横断的な店頭プロモーションを実施する。
イオン発生機や空気清浄機をはじめ、エアコン、冷蔵庫、ドラム洗濯乾燥機、サイクロン掃除機といったプラズマクラスターイオンを搭載した家電に、のぼり型のPOPを用意。のぼりには、ブラズマクラスターイオンのトレードマークである「ぶどうのマーク」をあしらい、店頭のあちこちでプラズマクラスターイオンの訴求を行なう。
なかでも、プラズマクラスターイオン搭載機の中核的役割を担う空気清浄機では、のぼり型POPの活用のほかにも専用POPを用意し、浮遊ウイルスのほか、アレル物質、カビ菌、付着臭、静電気などに効果があることと、センサー機能や静音設計などの実使用のメリットを訴求する。
「プラズマクラスターイオンによって、健康な生活を送ることができる提案とともに、シャープの空気清浄機は実使用を考えた製品であることを消費者に訴える」(鈴木氏)
空気清浄機そのものの需要の高まりとともに、“指名買い”が増加していることから、空気清浄機は品薄傾向が続いている。しかし、シャープはプラズマクラスターイオンの発生デバイスの量産体制も確立しており、安定供給に向けた体制強化に余念がない。
2009年10月28日 00:00
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