家電製品ミニレビュー

シャープ「プラズマクラスターイオン発生機 IG-B20」

~手軽さが魅力! 1畳用のプラズマクラスターイオン発生機
by 大河原 克行
ポータブルタイプKプラズマクラスターイオン発生機「IG-B20」

 量販店の空気清浄機売り場は、土日ともなれば多くの人で溢れかえっている。

 全国有力家電量販店の販売実績を集計するGfK Japanの調べによると、空気清浄機の販売台数は、3月下旬から4月にかけては前年割れで推移していたが、新型インフルエンザが蔓延するのに伴い空質に対する意識が向上。販売台数は急激に上昇し、5月中旬には、金額ベースで前年同期比2.5倍という高い伸びを記録した。売れ行きは留まるところを知らない。

 そうしたなか、シャープは、プラズマクラスターイオン発生機の新製品として、ポータブルタイプの「IG-B20」を発売した。

 シャープの発表では、6月15日からの発売となっていたが、発売前の週末となる6月13日から、偶然出向いたビックカメラの一部店舗で先行発売を行なっており、前から目をつけていたので思わず衝動買いをしてしまった。

 衝動買いをした背景には、パッケージの小ささと、本体重量で0.37kgという軽量さもあった。イメージは、外付けハードディスクを購入した時のような感覚だ。家に帰る前に食事することを予定していたので、そのまま、食事にも行けるという手軽さは、衝動買いをさせる要素の1つともなった。

 なお、先行発売での購入者には、プラズマークラスターイオンのシールを貼った小型の卓上型温度・湿度計がプレゼントされた。


メーカーシャープ
製品名プラズマクラスターイオン発生機 IG-B20
希望小売価格オープンプライス
購入場所ビックカメラ
購入価格15,000円(10%ポイント還元)

片手でも手軽に持てる本体。正面に貼られた「プラズマクラスター25000」のシールはデザインして欲しかった上部のルーバー(吹き出し口)と表示部背面の吸い込み部
側面部分。このシールがちょっと雰囲気を台無しにしている先行発売の購入者特典としてもらった温度・湿度計ACアダプターは小型。コードが細いので壁沿いに這わせたり、コンセントがない部屋に引くのにも便利

 1畳用という用途から、一体どこに設置するのかと思う読者もいるかもしれないが、家のなかを見回してみると、意外にも設置する場所は多い。

 パソコンを置いている机の上や、ウォークインクローゼット、トイレ、キッチン、玄関などだ。86×86×146mm(幅×奥行き×高さ)という大きさは、こうした場所に置いてもあまり気にならない。もちろん、机の上に置いた場合など、場所によってはもう少し背丈が低い方がいいという部分もあったが、基本的には問題にはならない。

 実は購入した時点では、玄関に設置しようと思っていた。だが、片手に持って歩けるという手軽さから、あっちに置いてみよう、こっちに置いてみようと、持ち運んで場所を変えてみた。空気清浄機では、両手で抱えて持ち運ばなくてはならないため、ある程度、場所を決めてから開梱作業を行なうことが多いが、IG-B20では、そうしたこともない。開梱してから場所を決めてもいいだろう。

 また、3mの電源コードのため、ウォークインクローゼットのようなコンセントがない部屋でも利用しやすい点も魅力だ。アダプター部が携帯電話のように小型なのもうれしい。だが、ウォークインクローゼットの場合など、部屋の外から電源をとる場合には、コードをうまく這わせないとドアが閉まらないこともある。

アダプターが小さく、コードが細い。上はシャープの空気清浄機の電源コード付属しているコードホルダーコードホルダーを利用するとこんな感じになる
パッケージもお洒落なものに。各色ごとに用意されている

 IG-B20では、8色ものカラーが用意されている。ホワイト、ブラックといった一般的な色のほか、オレンジ、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクだ。まさに自分の好みや部屋の雰囲気にあわせて選ぶことができる。

 店頭で選んでいるときには、レッドやグリーンといったカラーにも目がいったが、最終的には無難なホワイトを選んでしまった。だが、あちこちの場所に転々として設置してみるという点では、どこにでも合わせられるホワイトを選択してよかったと思っている。

 IG-B20は、プラズマクラスターイオンを発生する専用機であるため、空気清浄機とは異なり、集塵フィルターなどを使った集塵や脱臭を行なうわけではない。だが、空気そのものを浄化し、臭いを分解、除去するという点では、大きな効果があるとシャープでは説明している。

 プラズマクラスターイオンは、シャープが独自に開発したイオン技術であり、空気中の水分子と酸素分子を電気分解して作り出したプラスのイオンとマイナスのイオンが、ウイルスやカビ菌、アレル物質、臭いの成分などを取り込み、無力化するというものだ。

背広の下に置いて脱臭効果を試してみる

 特に期待したのが、背広についたタバコの臭いの分解だ。私自身をタバコは吸わないのだが、1日が終わって家に帰ると、かなりタバコの臭いがついている。毎日のように訪れる飲み屋で、多分に臭いを吸収いるようで、日によっては、臭い消しをシュッ、シュッとかけることもある。

 そこで、背広の下にIG-B20を置いてみたところ、30分もすると、なんとなく臭いが落ちた感じを受けた。しかも、プラズマクラスターイオンをかけるという印象が、背広そのものをきれいにしているという感覚になるから不思議だ。

 シャープの説明では、タバコの臭いなら、約60分間で気にならないレベルまで脱臭するとしている。また、汗の臭いの場合は、約4時間かかるという。

 持ち運びが便利なことを生かして、浴室乾燥にも持ち込んでみた。

 浴室で乾燥した衣類に、IG-B20のプラズマクラスターイオンを活用してみたのだ。説明書では、浴室などの水がかかったり、湿気の多い場所での使用を禁じているが、自己責任のもとで使用してみた。

 浴室乾燥特有の臭いや、洗濯物の部屋干しに近いような臭いがあるものだが、IG-B20を設置したところやはり30分程度で、特有の臭いが消えた。

 ただ、これまでの空気清浄機に慣れていると、脱臭したのに、フィルターがないことに、なんとなく不安を感じざるを得ない。まぁ、これは感覚的なものなのだが。

 実は、リビングでもこれを活用してみた。

こんな使い方はしないだろうが、プラズマクラスターイオンをダブルで放出。高濃度のイオンが部屋に広がる

 約12畳のリビングに、1畳用のIG-B20を活用するというのは商品コンセプトを完全に無視した使い方だが、やってみたいことがあったのだ。

 というのも、今回のIG-B20と、パーソナルタイプのIG-A100、そして、12畳用として6月25日から発売となるリビングタイプのIG-B200は、いずれも、プラズマクラスターイオンの濃度が、1立方cm当たり25,000個と同じなのだ。

 同じ高濃度ならば、プラズマクラスターイオンを遠くに飛ばせば、それによってIG-B200やIG-A100のように、大きな部屋でも効果が得られるのではないかと考えたのだ。

 その背景には、先日、シャープの関係者から聞いた、IG-A100と、プラズマクラスターイオン搭載エアコンとの組み合わせて利用によって、より高い効果が発揮できるという話があったからだ。

 シャープのプラズマクラスターイオン搭載エアコンでは7000個の濃度となっているが、このエアコンの下にパーソナルタイプのIG-A100を設置すると、遠くまでイオンが飛んで、部屋全体に広がるというのだ。

 IG-A100は6畳の部屋の中央では25,000個となっていても、10畳の環境ではイオン濃度が下がる。しかし、エアコンの下にIG-A100を設置すると、25,000個相当の濃度を維持できるという。

背面部を取り外したところ。なかに発生ユニットが入っている背面部から見ると下の方にファンが見えるこれがプラズマクラスターイオン発生ユニット

 自宅では、残念ながら測定する機械がないために評価することはできないが、エアコンの下にIG-B20を設置してみると、家中にきれいな空気が広がった印象が明らかにあった。

 このエアコンは、シャープ製ではないため、プラズマクラスターイオンはついていないのだが、横に置いてあったプラズマクラスターイオン発生可能な空気清浄機の吹き出し効果をさらに利用して、さらに充満させてみる。ここまでくると、自己満足の世界でしかないのだが。

 いずれにしろ、1立方cm当たり25,000個という高濃度のプラズマクラスターイオンを移動できるいうメリットを活用して、たまにはエアコンの下に設置してみるのもよさそうだ。

上部にある運転ランプ。ちょっと気になる色ではある

 最後は駆動音に関してだ。

 運転モードは、「強」と「弱」の2種類である。

 カタログスペックでは、「弱」時の運転音は29dB。これだと机の上や、枕もとに設置しておいてもあまり気にならない。

 ところが、「強」にした場合には、就寝時などはちょっと気になる。スペック上は35dbなのだが、就寝時は、その差を大きく感じる。

 とはいえ、普段、人が出入りしない、ウォークインクローゼットなどならば、もちろん問題はないし、少し離れた場所におけば済むし、テレビを視聴している時にも気にならない範囲だ。

 一方、IG-B20が動作していることは、上部のLEDで確認できる。棚の上やカウターの上などに配置している分には目に付かないが、目線に入るところではちょっと気になる。とくに机の上に置いた時など、上から見る場合には、ちょっと気になる色だ。

 全体的にみると、プラズマクラスターイオン発生機を手軽に設置できるというコンセプトは、使ってみると、なかなかどうして、評価できるものだ。

使用しているデスクトップPCとは色がピッタリだった。トイレの中に置いてみたが、密室なだけに空気はきれいな感じを受ける。ただ、コードを外から引っ張らなくてはならずにあまり収まりがよくなかった

 15,000円という価格設定(ビックカメラでは10%のポイント還元あり)も魅力的だ。

 あちこちに設置してみて、ここにも設置して置きたいということになれば、追加購入をしたくなる商品ともいえる。

 次のステップとしては、車の中にも持ち込めるカーアダプタータイプや、電池駆動ができる持ち運びタイプ、PCに設置できるUSBタイプなどを期待してしまう。そのためには、省電力化と、小型軽量化した発生ユニットの開発が求められるだろう。ただ、単純に、そうした次のステップの期待感を抱かせる商品だともいえる。




2009年6月18日 00:00