家電製品ミニレビュー
タイガー魔法瓶「マイコンフードプロセッサー SKF-A100」
~4人分のハンバーグが一気に作れるステンレス製のフードプロセッサー
by 神原サリー(2013/5/22 00:00)
フードプロセッサー嫌いの私を“使う気にさせた”1台
ブレンダーやフードプロセッサーが人気だという。実際のところ、ここ数年、キッチン家電の新製品発表会に行くと必ずといっていいほど新しい製品が登場しているし、場所をとらないコンパクトサイズのものも増えてきている。だが、個人的にはこれまでどの製品を見ても食指が動かなかった。
「フードプロセッサーよりも、よく切れる包丁が欲しい」というのが持論で、少量の食材を刻むなら、準備している間に包丁でやってしまったほうが早いと思っていた。だが、あるときにタイガー魔法瓶のフードプロセッサー「SKF-A100」のことを知り、どうしても使ってみたくなってしまったのだ。
メーカー名 | タイガー魔法瓶 |
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製品名 | マイコンフードプロセッサー SKF-A100 |
希望小売価格 | 15,750円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 6,627円 |
理由は主に次の3つだ。食材を入れるカップがガラス製でなく、ステンレスで出来ていて軽いこと。次に、カップ内面に凹凸のある“ディンプル加工”がされていて、食材がくっつきにくく、口も広いこと。もう1つ、最大で650g(液体で600ml)の食材が入れられるので、4人分のハンバーグや32個分の餃子のたねを作れるたっぷりサイズであること。特に、ステンレス製で軽く、食材がくっつきにくいという点に心を惹かれて、試しに購入してみた。
マイコンフードプロセッサー SKF-A100にはマイコンが搭載されており、切替レバーを切り替えることで「みじん・ミンチ」「すりみ」「おろし・スープ」「パンこね」の4つの調理コースの設定ができる。調理コースに応じて、間欠、低速、高速、変速と運転の仕方が変わる。
「みじん・ミンチ」「すりみ」コースではチタンコートされたチョッパーカッターを使う。本体にはそのほかにも、おろしカッターやパンこねブレードが付属しており、大根おろしなどのおろし調理や、パン生地やピザ生地を作ることもできる。本体サイズは288×172×215mm(幅×奥行き×高さ)だ。
まずはハンバーグに挑戦
まずは「みじん・ミンチコース」を使って、ハンバーグを作ってみた。これまで合挽きのひき肉を買ってきて作ることがほとんどだったが、フードプロセッサーを使えば、牛肉と豚肉の薄切り肉を好みの配合で混ぜて作ることができる。牛肉、豚肉の薄切り、玉ねぎ、牛乳に浸したパン粉、卵のほか、舞茸も入れて、スイッチオン。巨大な虫眼鏡のような形状のふたの“持ち手”の部分が、運転ボタンとなっており、ここを手のひらや指先で押している間は運転し、離すと止まる仕組みだ。カップがステンレス製のため、側面からは中の様子はわからないが、ふたがガラス製なので上から確認できる。
取扱説明書を参考に約1分間フードプロセッサーにかけたが、きっちりと時間を計ったわけではなく、見た目の混ざり具合で判断して終了した。タネを丸めて焼き上げ、ソースも作ってハンバーグが完成。実際に口にしてみると、運転時間が長すぎたのか、粗挽きハンバーグのはずがかなりキメの細かな仕上がりになった。とはいえ、味の方はバッチリ。買ってきたひき肉と違い、肉に脂身が少ないため、さっぱりとしているのも特徴だ。
息子たちが成長してしまったため、ハンバーグを作る回数も減ってしまったが、肉の配合を工夫したり、挽き方を変えて食感の違いを楽しんだりするという新たな料理の楽しみが広がりそうな予感。次は、粗挽きハンバーグをぜひ成功させたいとわくわくしてきた。
角切り肉で粗挽きハンバーグも。もう、ひき肉は買わない!
前回、きめ細かなハンバーグだねになってしまったので、次は豚の角切り+牛肉の薄切り肉の組み合わせでハンバーグを作ってみることに。食材を一度に入れず、角切り肉を粗挽きにしてから、牛肉、玉ねぎを投入し、卵やパン粉などは最後に入れて手で混ぜ合わせる方法に変更したところ、肉の歯ごたえの残る、ダイナミックな食感のハンバーグに仕上がり、家族にも好評。
その後も、たとえばマーボー茄子やミートソースなどを作る際も、薄切り肉を好みの挽き方でフードプロセッサーにかけて使うようになり、ひき肉を買うことは全くなくなってしまった。市販されているひき肉は脂身が多いので、炒めている際に脂がしみ出してきて、それをクッキングペーパーに吸わせたりしていたが、そうした手間もいらない。
また、大きめに挽いた肉で作るマーボー茄子は、舌触りがなめらかで味のなじみもよい。これまで、ひき肉を買い忘れた際に、薄切り肉を包丁でたたいて作ったことはあったが、フードプロセッサーを使えばわずか数秒で作業が終わり、ステンレスのカップにくっついてしまうこともなく、フライパンにサッと移せるのはかなり便利だ。
週末にまとめ買いするわが家にとって、ひき肉は持ちが悪いので週前半には使い切らないといけない食材の1つだったが、もうその心配はいらない。フードプロセッサーの導入で買い物の仕方まで変わるとは、自分でも意外な展開だった。
パンこねブレードでピザ生地も簡単にできる
SKF-A100には、パンこねブレードやおろしカッターなどアタッチメントと回転切り替えによって、さまざまな使い方ができる。
ホームベーカリーもずいぶん普及してきているので、パン生地をこねるのにフードプロセッサーを使おうという人は少ないかもしれないが、ピザを作る際には大活躍する。ステンレスカップにパンこねブレードをセットし、強力粉、薄力粉、ドライイースト、砂糖、塩、ぬるま湯、オリーブオイルを投入。カップが大きいので、1回で直径25cmのピザ2枚分の生地をこねることができる。低速運転後、高速・中速運転を繰り返す変速運転を行なう「パンこねコース」で約2分。ステンレスカップにくっつくこともなく、なめらかな生地がこね上がった。
これを丸く整えてボールに入れ、ラップをして2倍に膨らむまで発酵させる。室温が低めの時には、日当たりのよいところに置いておくと40~50分で2倍に膨らむ。その後、ガス抜きをして10分ほど休ませたら、ピザ生地作りは終了。2等分して円形に伸ばし、好みのソースや具材、チーズをのせて焼き上げればOKだ。
ピザ生地は発酵も1回でOKと手軽で、このフードプロセッサーを使うと分量的にもちょうどよいので、本当におすすめ。手でこねるよりも早く、ホームベーカリーよりも手軽にできる。カップの口が広くて、粉などの材料を入れやすいのも利点といえるだろう。
ディップづくりや長芋のすりおろしにも活躍
スモークサーモンとクリームチーズを使って、ディップも作ってみた。少量の食材を使う場合、カップに張り付いてしまってうまくできないのではと思ったが、20秒ほどで見事にかくはんされた。ステンレスカップの丸みがほどよいので、ヘラで取り出す際にも、とてもスムーズだ。
おろしカッターを使って、長芋のすりおろしも試してみたが、これも驚くほど使い勝手がよい。皮をむいて2~3cm角に切った長芋を円盤状のおろしカッターの上にのせてふたをし、「おろし・スープコース」で運転させる。
このコースは高速回転するため、かなり音はするが、あっという間にカッターの上にあった長芋が消えていく。ふたをとって、カッターを外すと、その下には見事にすりおろされたとろろがあり、思わず感激の声をあげてしまった。いつもはおろし金を使ってすりおろしているのだが、時間がかかるうえに、だんだん手がかゆくなってしまうのに、この手軽さ!
大根おろしの場合は、食材が硬いため、長芋よりは時間がかかる。食感はおろし金でおろした時よりもきめが細かく、ホイップ感があるので、好き嫌いが分かれるかもしれない。みぞれ鍋のように大根おろしをたくさん使う場合には便利だろう。
ちなみにおろしカッターでは、ショウガやセロリなどのように繊維質が多くて硬いものや、じねんじょのような粘りの強いイモ類は使えない。れんこんはOKなので、今度、れんこん団子を作ってみたいと思う。
お手入れも簡単で、出番の多いキッチン家電に
フードプロセッサーはお手入れが面倒だというイメージを持つ人も多いかもしれないが、このSKF-A100はカップの口が広く、ステンレス製なので洗いやすい。大き目の刃(チョッパーカッター)の汚れも、付属のカッターブラシ等で簡単に落とせる。
また、パンこねブレードやおろしカッターなどを本体にまとめて収納できるのも便利だ。いざ、使おうという時に、アタッチメントを探す必要がなく、気軽に使おうという気持ちにさせてくれる。
キッチン家電というのは、しまい込んでしまうと活躍させる機会が減り、ついには“死蔵家電”の仲間入りということにもなりかねない。このSKF-A100は、さすがに出しっぱなしというわけにはいかないが、収納棚の一番取り出しやすいところに置いて、毎日のように取り出しては、活躍させている。使うのが面倒にならないのは、やはり軽くて持ちやすいステンレスカップの使い勝手のよさと、お手入れのしやすさによるところが大きいように思う。何より、肉料理の幅が広がったのがうれしい。
コンパクトサイズのフードプロセッサーも増えてきているが、3~4人家族なら、この程度の大きさのもののほうが、一度に調理できる分量が多く、便利に使えるのではないだろうか。今回は試してみなかったが、スープやジュースづくりにも使えるこのSKF-A100は、幅広いメニューに役立てたい人にもおすすめできる1台だ。