そこが知りたい家電の新技術

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る

「感動の、おいしさを。」をコンセプトにしたGRAND Xシリーズ

 タイガー魔法瓶は、「GRAND X(グランエックス)」シリーズの新たな製品を、2017年9月に発表した。IHホームベーカリー、スチームコンベクションオーブン、コーヒーメーカーとともに、ラインアップされているのが土鍋圧力IH炊飯ジャー「THE 炊きたて JPG-X100」である。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る タイガー魔法瓶の高機能調理家電「GRAND X(グランエックス)」シリーズ。左上から時計周りに、コーヒーメーカー、IHジャー炊飯器、IHホームベーカリー、スチームコンベクションオーブン
タイガー魔法瓶の高機能調理家電「GRAND X(グランエックス)」シリーズ。左上から時計周りに、コーヒーメーカー、IHジャー炊飯器、IHホームベーカリー、スチームコンベクションオーブン
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 土鍋圧力IH炊飯ジャー「THE 炊きたて JPG-X100」
土鍋圧力IH炊飯ジャー「THE 炊きたて JPG-X100」

 同製品に採用しているプレミアム本土鍋の素材に、新たに「炭化ケイ素」を配合し、熱伝導アップを2.5倍に向上。これまで以上に、米本来の甘みと香りを引き出すことに成功した。だが、炭化ケイ素は、陶器づくりにおいては、「タブー」とされる素材のひとつだ。なぜ、禁断の素材を使ってまで、新たな土鍋づくりに挑んだのか。そこには、ご飯のおいしさにこだわるタイガーの徹底した姿勢があった。

 タイガー魔法瓶が展開している「GRAND Xシリーズ」は、2014年9月に、「食卓に新たな価値を提案するブランド」として登場。「感動の、おいしさを。」をコンセプトに、同社が長年培ってきた調理家電技術の集大成として製品化したものだ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 炭化ケイ素を配合し、熱伝導アップを2.5倍に向上した
炭化ケイ素を配合し、熱伝導アップを2.5倍に向上した
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る タイガー魔法瓶 商品開発グループ統括マネージャー・金丸 等氏
タイガー魔法瓶 商品開発グループ統括マネージャー・金丸 等氏

 今回発売した新たなGRAND Xシリーズは、これまでの経験を踏まえ、「五感に響きわたる、おいしさと上質感を。」をテーマに、さらなるおいしさの追求に加えて、デザインや音、操作性にまでこだわったのが特徴だ。

 「GRAND Xシリーズ全体としては、40代のDINKSにターゲットをおいて開発を進めてきたが、今回のGRAND Xシリーズでは、とくに明確な年齢のターゲットは設けず、食にこだわる、幅広い年齢層に訴求することにした」と語るのは、タイガー魔法瓶 商品開発グループ統括マネージャー・金丸 等氏。

 新製品の土鍋圧力IH炊飯ジャー「THE 炊きたて JPG-X100」は、「おいしさにこだわりがあり、日々の生活に追われていても、豊かな食生活を楽しみたい人に向けた製品」と、商品の基本姿勢を示す。

 そして、「新たな技術を採用することで、ご飯のおいしさを追求するという本質価値を実現すること、リビングやダイニングなどの見える場所に設置しても、違和感がないデザインを採用したことが、今回の進化のポイントになる」とする。

“タブー”と言われる炭化ケイ素を土鍋の素材に採用

 その進化のポイントを具体的に見てみよう。

 まずは、ご飯のおいしさを実現する本質価値の追求だ。

 タイガー魔法瓶では、2006年に初代土鍋IH炊飯ジャーを発売して以降、土鍋にこだわり続けてきた。2011年には圧力を採用。さらに、2014年には、土鍋を「プレミアム本土鍋」へと進化させてきた。今回の2017年の新製品では、プレミアム本土鍋の材料に「炭化ケイ素」を配合し、土鍋の持つ蓄熱性に加えて、「炭化ケイ素」の熱伝導の高さを活用。熱伝導は従来製品に比べて、約2.5倍に高めることができるようになり、これまで以上にお米にしっかりと熱を伝え、甘みや香りを引き出すことに成功した。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る THE 炊きたて JPG-X100とプレミアム本土鍋
THE 炊きたて JPG-X100とプレミアム本土鍋

 「素材にたどり着くのに11年。約3年をかけて、ようやく実用化できるようになった」と、金丸統括マネージャーは振り返る。

 だが、この素材を使用するには大きな困難を伴った。それは、陶器の業界では、炭化ケイ素は「タブー」と言われる素材だったからだ。

 タブーと言われる理由は明白だ。「陶器を作る際に、炭化ケイ素を材料のなかに混ぜると、焼いたときに気泡が生まれ、焼きあがった陶器に小さな穴ができてしまうという課題があった。陶器を作るには適していない素材」(同)だからだ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る タイガー魔法瓶 ソリューショングループ商品企画チーム副主事の井上 友見氏
タイガー魔法瓶 ソリューショングループ商品企画チーム副主事の井上 友見氏

 しかし、タイガー魔法瓶の開発チームは、この素材を使うことにこだわった。

 2.5倍の熱伝導率にまで高めることができれば、蓄えた熱を素早くしっかりとお米に伝えられ、よりおいしいご飯を炊き上げることができるのに加え、高い熱伝導率による「余力」ともいえるものが生まれるメリットがあったからだ。

 タイガー魔法瓶 ソリューショングループ商品企画チーム副主事の井上 友見氏は、「熱伝導率の高さによって、熱の制御に余裕が生まれ、おいしいご飯を炊くために、最適な火加減制御を行なえるようになる」というわけだ。

品質の高い土鍋を作るために到達した「四度の焼き工程」

 だが、タブーとされる素材を使用した土鍋を量産するには大きな苦労を伴った。

 タイガーのプレミアム本土鍋は、陶器の本場である三重県四日市市の「四日市萬古焼」を使用している。同市に本社を持ち、すでにタイガー魔法瓶とは、10年以上の取引があるミヤオカンパニーリミテドとの協業により、新素材を配合し、土から成形したプレミアム本土鍋づくりを開始したのだ。

 試行錯誤の結果、到達したのが「四度の焼き工程」だった。

 従来のプレミアム本土鍋の工程は、成形した土鍋を、最初に素焼きを行ない、その上に釉薬を塗って焼き、さらに底面にIHに反応させる発熱体を貼って、じっくりと焼き上げるという三度焼きの工程で完成していた。だが、「炭化ケイ素」を配合したプレミアム本土鍋は、最初の工程の前に、「仮焼き」という新たな工程を設けた。ここでは、炭化ケイ素による泡が生まれない低い温度で焼くことで、全体を固め、その後、上薬を塗って、素焼きを行なうことになる。これによって、禁断の素材を配合した素材から、品質の高い土鍋を作ることができたという。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 「遠赤特大土かまど」は従来モデルに比べて表面積を約11.4%向上
「遠赤特大土かまど」は従来モデルに比べて表面積を約11.4%向上

 また、プレミアム本土鍋は、熱対流を実現するために口絞り構造を採用。最大5.0mmの厚さを持たせるとともに、内側底面には、「波紋底」を採用して、土鍋のなかの泡立ちを均一化。お米をムラなく、よりふっくらと炊きあげる。そして、蓄熱性と沸とう力を高める「表面6層コート仕上げ」もこだわりのひとつだ。

 プレミアム本土鍋を覆うような「かまど」の役割を果たす本体側の「遠赤特大土かまど」も、従来モデルに比べて、上方向にかまどの高さを引き上げ、表面積を約11.4%向上。IH発熱による熱を、プレミアム本土鍋全体にしっかり伝えることができるようにした。

 「遠赤特大土かまど」と「プレミアム本土鍋」の二重発熱構造は、おいしいご飯の実現に欠かせない技術だ。

「しゃっきり」から「もっちり」まで5段階の「ねばり加減」を選択

 そのほか、大小2つのボールによる可変圧力機能「可変W圧力炊き」を搭載。炊きあげ時には、1.25気圧の圧力をかけ、一粒一粒に粘りともちもちした弾力を引き出す一方、炊きあげ直後に1.05気圧まで減圧。約280℃の熱で、ごはん粒を「炊きしめ」て、べたつきをおさえた弾力のあるごはんに仕上げることができる。炊きあげの蒸らし工程では、「高温蒸らし」を行ない、ふっくらとした香りの高いご飯を実現している。

 さらに、内ぶたは「つや艶内ぶた」として、親水効果のある加工を採用。水分がしずくになりにくく、内ぶたに薄く膜をはることから、加熱時には素早く蒸発し不要な水分を取り除くことができる。また、保温時には内ぶたの水分の膜がごはんをしっとり保温。保温ごはんもつやつやに維持できるという。水滴になりにくいため、炊きあがり後や保温時の気になるつゆだれを防ぐことが可能だ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 内蓋部分の様子
内蓋部分の様子
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 内蓋部分を取り外したところ
内蓋部分を取り外したところ
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 内側に設置されたスチームキャップを取り外す
内側に設置されたスチームキャップを取り外す
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る スチームキャップを取り外したところ
スチームキャップを取り外したところ

 また、同社独自の「米チューニング(マイチューニング)」では、従来モデルは3段階だったが、新製品では、「しゃっきり」から「もっちり」まで、5段階の「ねばり加減」を選ぶことが可能になった。

 「チャーハンやカレー用には『しゃっきり』、おにぎらずを作ったり、煮物などの和食のおかず時に食べるごはんならば『もっちり』といったように、料理に合わせて好みのご飯を炊くことができる」(タイガー魔法瓶 ソリューショングループ 商品企画チーム副主事の井上 友見氏)とする。

 また、「3段階の火かげん調節」も可能としており、火かげんを「強」にすれば、「土鍋のおこげ」を味わうことが可能だ。

「押麦」と「もち麦」の2種類のメニューを用意した麦飯へのこだわり

 一方で、特筆すべきは麦飯へのこだわりだ。

 JPG-X100では、「押麦」と「もち麦」の2種類のメニューを用意。2種類の大麦の特性に合わせた独自の炊飯プログラムでニオイを抑制することで、毎日麦飯を続けられるおいしさを追求したという。

 ここでは、無理なく始められる「麦1割」と、健康効果の高い「麦3割」を選べる麦専用計量カップを標準で添付。本土鍋には麦めし専用水目盛を採用しているため、マニュアルを見なくても、おいしく簡単に炊きあげることができる。

 「押麦メニューでは、白米と大麦、それぞれに合わせた2段階吸水を行ない、もち麦メニューでは、しっかりと吸水し、高温で炊きあげてニオイを抑制する。穀物メーカーのはくばくとの協業によって、それぞれに最適な麦飯を炊き上げることができる」という。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る プレミアム本土鍋には麦飯や麦がゆなどの水分量表示もある
プレミアム本土鍋には麦飯や麦がゆなどの水分量表示もある

 井上氏が、麦飯はちょっと苦手とする人にもお勧めとするのが、「麦がゆ」である。

 「麦飯特有のニオイがなく、おいしく食べられる。JPG-X100では、麦がゆのコースも用意しており、ぜひ試してほしい機能のひとつ」とする。

 なお、麦飯以外にも、豊富な栄養を手軽に補えるして人気が高まっている「雑穀米」のほか、「炊き込みごはん」「おかゆ」「玄米」「おこわ」など、それぞれのおいしさを引き出す土鍋ならではの多彩なメニューを用意しており、様々な炊き方が楽しめる。

 こうした技術を、おいしいご飯につなげるためのレシピづくりも、努力の繰り返しだ。

 「約10人で構成されるソフトウェアチームのうち、ご飯を担当する社員が、毎日炊き上げたご飯を食べて、最適なご飯が炊けるように努力をしている」という。

 同社が、炊飯器開発のために購入している米は、年間11tにも及ぶという。さらに、昨今では玄米まで購入して、何度も実験を繰り返している。こうした地道な努力が、最先端の技術を生かした、おいしいご飯の実現につながっている。

アイランドキッチンに置いても美しく見える「360°デザイン」を実現

 JPG-X100の開発において、開発チームがこだわったもうひとつのポイントが、使い心地やデザインの追求だ。

 開発チームがデザイナーに要求したのは、「コンパクトで、シンプルであること。それでいて、高級機としての緊張感を持ったデザイン。使うたびに満足感が得られる佇まいと操作性を実現すること」だった。

 なんとも、贅沢な要求だが、デザイナーをそれに応えてみせた。

 天面は、黒一色のフラットな形状を採用。従来モデルでは天面にあったスチームキャップの位置を上ぶた内側に移し、上ぶた外観の形状にもこだわった。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 従来モデル(左)との比較。新製品は黒一色の天面デザインと進化
従来モデル(左)との比較。新製品は黒一色の天面デザインと進化

 また、使用しない時には、操作内容を表示するディスプレイや操作ボタンがまったく見えない状況にしておきながら、使用時には手をかざすだけで必要な情報が点灯する「モーションセンサー」機能を搭載。背面もヒンジが見えないフラットなデザインを採用することで、アイランドキッチンに置いても美しく見える「360°デザイン」を実現している。

 「背面をすっきりさせた新たなヒンジ構造は、開発、設計部門と、組立を行なう工場が、同じ敷地内にあるというメリットを生かしたもの。ヒンジ部の組立は、その構造上、難しいものになっているが、両部門の協力によって、後ろから見てもすっきりとしたデザインを実現できた。また、従来モデルでは、操作パネルの部分に『生活感を感じる』という意見があった。今回の製品では、液晶パネルも見直し、使っていないときには黒一色しか見えないようにした」(井上氏)という。

 さらに、天面部は微妙な曲線構造としており、「水滴が一滴垂れるだけでも、水が溢れ出すような表面張力の限界のようなデザインを採用し、高級機としての緊張感を実現している」(金丸氏)という。

 高さも従来モデルに比べて低くし、アクセントとなる360度つながっている「帯」の位置も低くした。体積は、従来モデルに比べて約4%の小型化を図っている。そして、本体カラーには、新たなGRAND Xシリーズで統一したフロストホワイトを採用した。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 新製品は高さが若干低くなり、体積は4%減少している
新製品は高さが若干低くなり、体積は4%減少している

オンキヨーとの連携によりタッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造を採用

 使い勝手の追求という点では、選択したメニューや、操作内容を音声で読み上げる「音声ガイド」機能を採用。お知らせ音は、「シンプル」、「クラリティー」、「リッチ」の3種類を選択でき、これに音声ありと、音声なしが選択でき、合計で6種類のなかから選ぶことができる。

 さらに、オンキヨーとの提携により、タッチパネル全体がスピーカーとして機能する新構造を採用。音声がクリアに聞こえるのが特徴だ。オンキヨーも、まさか炊飯器にこのスピーカー技術が採用されるとは思っていなかっただろう。天面全体がスピーカーとなっている炊飯器は、世界初といえるものだ。

 タッチパネルに触れると、この全面スピーカーを利用して、振動が指に伝わる点もユニークだ。決して強い振動ではないが、タッチした感覚が得られるという点で、操作性を高めることに成功している。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 天面の表示部分。これ全体がスピーカーの役割を果たし、触ると軽い振動が伝わる
天面の表示部分。これ全体がスピーカーの役割を果たし、触ると軽い振動が伝わる

 一方で、使い方に配慮して細かい工夫も見逃せない。上ぶた内側に移したスチームキャップを着けないままだと裏蓋が閉まらず、炊飯の操作ができないが、内釜を洗うために取り出しているときだけは、上ぶたがを閉まるようにするといった安全性と利便性を両立した構造にしている。

 そして、プレミアム本土鍋(内釜)をおひつ代わりに使えるように、土鍋ふたを用意。熱伝導性の良さを生かして、そのままご飯を保存できるようにしたのも利便性の追求によるものだ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る プレミアム本土鍋に蓋をしておひつとして利用できる
プレミアム本土鍋に蓋をしておひつとして利用できる

購入者だけに用意されたサプライズも

 実は、JPG-X100の購入者には、ちょっとしたサプライズがある。

 これをバラしていいものかどうか、書く側としても少し気が引ける部分もあるのだが、記事化については、タイガー魔法瓶の許可も得ているので、ここで紹介しておきたい。

 なんと、梱包箱を開けると出てくるのは、風呂敷に包まれたJPG-X100なのだ。大阪府門真市の本社工場で組み立てられているMADE IN JAPANのJPG-X100が、日本人の心である「おもてなし」を表現するような佇まいで箱のなかから登場するのだ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 「THE 炊きたて JPG-X100」の梱包箱。シンプルなデザインだ
「THE 炊きたて JPG-X100」の梱包箱。シンプルなデザインだ
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 梱包箱を開けると風呂敷に包まれたJPG-X100が現れる
梱包箱を開けると風呂敷に包まれたJPG-X100が現れる

 しかも、この風呂敷は、白地に布に、「GRAND X」を象徴するGXの文字が刻まれているものだ。その文字のデザインはさりげない感じであり、高級感も漂わせる。

 そして、この風呂敷包みは、思わぬ効果も発揮している。梱包箱から取り出す際に、風呂敷の結び目を持つと、かなり取り出しやすいのだ。

 ちなみに、この風呂敷の結び方は、炊飯器をしっかりと固定できるものとなっており、生産工程で作業者が結び方を学習し、持ち上げても結び目がほどけないように、風呂敷に包んでいる。ちなみに、広げたあとの風呂敷は、「ぜひ、様々なシーンで再活用してほしい」とのことだ。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 風呂敷の結び目を持って、取り出すことができる
風呂敷の結び目を持って、取り出すことができる
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る こちらには計量カップが包まれている
こちらには計量カップが包まれている
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 梱包箱の下には、付属品などが入る
梱包箱の下には、付属品などが入る
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る レシピ集や土鍋の蓋などの付属品
レシピ集や土鍋の蓋などの付属品

おいしさとデザインの追求で大きな進化を遂げた「GRAND Xシリーズ」

 このように、「GRAND X(グランエックス)」シリーズの新たな土鍋圧力IH炊飯ジャー「THE 炊きたて JPG-X100」は、ご飯のおいしさと、デザインの追求という点で大きな進化を遂げている。

 もともと土鍋ごはんは、口に広がる甘みと抜けるような香りが特徴であるが、JPG-X100では、新素材による「プレミアム本土鍋」と「つや艶内ふた」、「高温蒸らし」のトリプル効果によって、米の粒と粒の間に残った余分な水分をとばし、甘みを凝縮し香りを引き出す一方、 「遠赤特大土かまど」の蓄熱性と、プレミアム本土鍋『波紋底』の泡立ちによって、濃厚な甘みと豊かな香りを実現することができる。

 その一方で、プレミアム本土鍋の進化においては、先にも触れたように、新たな素材を配合し、生産工程を増やすなど、コスト増の要素も抱えながらも、困難に挑戦した。また、上ぶた内側に移したスチームキャップの採用による新たな構造の採用や、天面部のフラットな構造や360°デザインを実現するための新たなヒンジ構造の採用なども、コスト増に跳ね返っているのは確かだろう。

“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る レシピ集にはおにぎらずや五平餅などのユニークなメニューも掲載
レシピ集にはおにぎらずや五平餅などのユニークなメニューも掲載
“禁断の素材”を使って新たな土鍋作りに挑んだタイガーの炊飯器に迫る 風呂敷には「GX」のデザインが記されている
風呂敷には「GX」のデザインが記されている

 だが、初代モデルの市場想定価格が11万円であったのに対して、今回の製品は12万円と、1万円増に抑えている。コスト低減の取り組みがあちこちで行なわれた結果である。

 9月11日の発売前に、事前予約を行なったところ、100台以上の予約実績となり、従来製品とは比べものにならないほどの反響があったという。また、同社サイトにGRAND Xの専用コーナーを設けているが、新たなサイトでは、従来比で約3倍のアクセス数に達しているという。

 金丸氏は、「幸せな団らんの象徴ともいえる、おいしい笑顔の食卓を実現するための中心的な役割を果たしたい」とすれば、井上氏は、「自宅で手軽に、土鍋ごはんを味わえる豊かな暮らしをお届けし、家族みんなが家でご飯を食べたいと言ってくれるような製品にしたい」とする。

 おいしいご飯にこだわるタイガー魔法瓶のこだわりが結実した一台といえそうだ。

大河原 克行