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サーモス、モンベル、ニトリ どの保温ボトルがお湯を熱々のまま持ち運べる?

登山用ボトルの保温力を試してみました

春が訪れて、アウトドアにも出かけやすい気温になりました。アウトドアといえば、そこで食べるごはんも楽しみのひとつ。例えば登山なら、山頂で食べるカップラーメンは格別のおいしさです。

山でカップラーメンを食べるとき、アウトドア用のガスバーナーを使ってお湯を沸かす方法もありますが、より手軽なのが保温性能の高いボトルにお湯を入れて持って行くこと。今回は登山用の保温ボトルの性能をチェックしてみます。

サーモス、モンベル、ニトリを比較。特徴的な二重の中栓も

チェックするのは、ニトリの「軽量N-HEATEX 真空断熱 超保温・保冷ボトル」、サーモスの「山専用 ステンレスボトル(FFX-501)」、モンベルの「アルパイン サーモボトル」の3種類で、いずれも登山を想定して作られた製品です。今回はカップラーメン1杯とコーヒー1杯を楽しめるように、容量500mlのものを購入しました。

左からニトリ「軽量N-HEATEX 真空断熱 超保温・保冷ボトル」、サーモス「山専用 ステンレスボトル(FFX-501)」、モンベル「アルパイン サーモボトル」

ニトリ

ニトリの「軽量N-HEATEX 真空断熱 超保温・保冷ボトル」は真空層に銅ホイルなどを重ねた5層構造となっています。断熱材入りの中栓は二重構造で、飲み物を注ぐときは上の栓だけを半回転させます。

本体サイズは70×250mm(直径×高さ)。306g(実測値)。価格は2,990円。容量は370ml/500ml/750mlの3サイズ展開。

サーモス「山専用 ステンレスボトル」

サーモスの「山専用 ステンレスボトル」は、ステンレス製の真空二重構造に、中栓はニトリ同様、二重の「ダブルスクリューせん」を採用しています。

本体サイズは70×235mm(直径×高さ)、重さは281g(実測値)。価格は6,050円。容量は500ml/750ml/900mlの3サイズ展開。

モンベル

モンベルの「アルパイン サーモボトル」もステンレス製の真空二層構造。保温材入りの中栓はシンプルな構造です。別売でボトルから直接飲めるキャップが用意されていますが、こちらを装着した場合は保温性能が低下するそうです。

本体サイズは70×240mm(直径×高さ)。重さは265g(実測値)。価格は3,850円。容量は350ml/500ml/750ml/900mlの4サイズ展開。

ニトリとサーモスの中栓は二重構造。左側2点がニトリ、右側がサーモス
モンベルの中栓

いずれも仕様表での容量は500mlですが、取扱説明書には中身が溢れないように満杯より1cmほど低い位置まで入れるように書かれています。この指示に従って水を入れてみたところ、実際の容量はニトリが約483ml、サーモスが約474ml、モンベルが約495mlでした。

3製品を並べるとニトリだけ少し背が高くなっています。中栓を外した口径はニトリが最も狭く約41mm、サーモスが約44mm、モンベルが約45mm。

共通しているのは、底部にシリコンのカバーが付いていること。衝撃から守ったり、地面に置いたときの滑り止めとして役立ちます。またフタはコップとしても使えるため、ホットドリンクを入れて飲む際も便利です。

サーモスはグローブをした状態でも開けやすいように、底だけでなく胴体にもシリコンリングが付いています。コップも握りやすい形状で使い勝手がいいです。

いずれもフタがコップになります
底には滑り止めのシリコンカバー
サーモスはグローブをしたままでもフタが開けやすい

夏の富士山を想定した環境で保温力チェック

それでは保温力をチェックしていきましょう。今回は冷蔵庫に入れて8月の富士山頂の気温、6℃前後を再現しました。

沸かしたてのお湯を入れ冷蔵庫で放置し、6時間後に取り出しました。ボトルの表面はひんやりしていますが、中栓を開けると湯気が立ち上ります。温度を計ってみると、高い順にニトリ82.1℃、モンベル81.5℃、サーモス81.5℃、製品間の最大差は0.6℃という結果に。念のため再度テストしてみると、今度はニトリ81.8℃、モンベル81.4℃、サーモス81.3℃で最大差は0.5℃。結果は大きく変わらず、いずれも高い保温力を確認できました。

沸かしたてのお湯を入れ、6℃前後の冷蔵庫に放置。6時間経っても80℃以上をキープ(写真左からニトリ、モンベル、サーモス)
再度テストしてみましたが結果は大きく変わらず。保温力抜群です

同様に冷蔵庫に入れ、今度は12時間放置してみると、サーモス68.9℃、ニトリ68.3℃、モンベル68.1℃となりました。6時間と比べると12℃ほど下がりましたが十分温かく、スープやドリンクを飲むのにも問題ないでしょう。

12時間経過すると68℃台に下がりましたが、それでもかなりの保温力!

なお、より保温力をアップするにはボトルをあらかじめ温めておくと効果的とのこと。少量のお湯を入れておき、しばらくしたら捨てて改めてお湯を入れ放置すると、何もしなかったときと比べていずれも0.5℃ほど高くなっていました。

ボトルのお湯でカップラーメンを作る

それでは実際にカップラーメンを作ってみます。普段は熱々のお湯で作りますが、少し冷めたお湯でもおいしく食べられるでしょうか。

今回は日清のカップヌードルを使用。日清食品のサイトには「ポットの保温湯(95℃以下設定)では、めんがうまく湯戻りしません。おいしくお召し上がっていただくため、『熱湯』(沸かした直後のお湯)をお奨めします」と記載されていますが果たして……。

まずは6時間放置したお湯(約81℃)。普段通りお湯を入れて3分待ったところ、見た目はいつものカップヌードルです。箸を入れてみてもそれほど違和感はありません。

約81℃のお湯で作ったカップヌードル。麺も具もしっかり戻っています

いつもは熱々なので冷ましながらでないと食べにくいですが、こちらはもとから少しぬるめなので食べやすい。麺のやわらかさも、熱湯で作ったときと大きな差はなさそうです。山頂でお湯を沸かす手間をかけずに食べられるのであれば、かなりアリだと思います。

次に12時間放置したお湯(約68℃)で作ってみます。こちらは3分経過後に箸を入れてみると、明らかに麺がほぐれにくく、食感もかためです。とはいえ麺も具も「戻っていない」というほどではなく、おいしく食べられる範囲内という印象。食べているうちに麺がやわらかくなってきたので、お湯を入れたら3分より長めに待ってみるのもいいかもしれません。

約68℃のお湯で作ったカップヌードル(シーフード)。見た目は普通
麺がかためで少しほぐれにくいですが、十分おいしいです

しかしこちらはスープのぬるさが気になります。食べているうちにどんどん冷めてくるので、早めに食べきりたいところ。一方6時間のお湯は熱々とはいきませんが、最後までおいしく食べられる温かさでした。

どれも優秀。あとは価格やデザインで選んで

手入れするパーツの量はほとんど変わらず、いずれもパッキンや底のシリコンカバーを外して洗えます。ニトリだけ少し口径が狭いので、ブラシを入れにくいかもしれません。

保温力は試した通り、3製品とも優秀! サーモスやモンベルはさすがといった感じですが、魔法瓶やアウトドアの専門ではないニトリがこれだけの保温力を備えているのに驚きました。

あとは価格や重さ、デザインなどのバランスで選ぶことになりそうです。カラー展開はサーモスがマットブラック、クリアステンレス、サンドベージュの3色、モンベルがステンレス、ダークグレー、グリーン、レッドの4色、ニトリがホワイト、ブラックの2色です(いずれも500mlの場合)。

バーナーなどの道具を揃えていくのも楽しいものですが、まずは気軽に登山を始めてみたいという人は、参考にしてみてください。

いずれもかなりの保温力。登山ビギナーのおともによさそうです(重さと温度は実測値)
鄭 恵慶