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いつものごはんと違う! 象印「炎舞炊き」だけの技術とおいしさに納得しました

新製品の圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き NX-AB型」

いま、高級炊飯器の価格を見ると、10万円を超える機種も珍しくありません。それだけおいしいごはんを求める人がいるということでしょう。高価格帯製品のなかでも毎年高い支持を集めているのが、象印マホービンの「炎舞炊き」シリーズです。

今年6月に発売された最上位モデル「NX-AB10」も好調な売れ行きを見せているようです。新製品で炊いたごはんを食べてみると、しっかりとした甘みに加え、モチモチしながらも弾力があり、一粒一粒が口の中でふわっとほぐれる独特の食感。旨みと爽やかな香りも際立ち、ひと口食べただけで「これはいつものごはんとは違うぞ」と感じました。

象印によると、このおいしさを実現できる理由は、他社にはマネできない同社独自の技術にあるそう。そこで今回は、炎舞炊きならではの味を生み出す技術と、新製品で進化したポイントを同社にて取材。そのおいしさの秘密を探るとともに、実際に炊いたごはんを味わいました。

炊いたごはんをいただくと、米本来のおいしさが口いっぱいに広がりました

かまどの炎のゆらぎまで再現する「象印だけ」の構造

炎舞炊きの上位モデルと、ほかの高級炊飯器との一番の違いが、炊飯器の心臓部ともいえるヒーターの構造です。現在、高級炊飯器の多くはIHヒーターの電磁誘導によって内釜を発熱させるIH方式を採用しています。一般的なIH炊飯器は、発熱を促すコイルが円形ですが、炎舞炊きの最上位モデルはIHヒーターを6つに分割。それぞれを独立して加熱するという、ほかにはない「3DローテーションIH構造」を採用しています。

左が一般的な形状の底IHヒーター。右が炎舞炊き最上位モデルの6つに分割された底IHヒーター

この複雑な構造を採用した理由は、ズバリ「かまどで炊いたごはん」を再現するため。実は、象印をはじめ日本の多くの炊飯器メーカーは、薪を使った「かまどで炊いたごはん」の味を追求しています。象印によると、かまどごはんのおいしさに欠かせないのが「強い火力」と「不規則にゆらぐ炎」による複雑な対流なのだそう。そして、底IHヒーターを6つに分割した3DローテーションIH構造なら、加熱部を次々と切り替えることで、釜のなかに縦や横の複雑な対流を生み出すことができるのです。この複雑な対流が釜内の熱ムラをなくし、さらには米に含まれるでんぷんをしっかりと甘み成分に変えるサポートをしてくれます。

一般的な円形のIHヒーターだと単調な対流になりがちですが、炎舞炊きは加熱するIHヒーターを次々と切り替えることで釜のなかで複雑な動きを生み出せます

また、IHヒーターを6つに分割したことで、一般的なIH炊飯器では難しい大火力を生み出せるようにもなりました。新製品NX-AB10型の底IHヒーターは、定格消費電力1,400Wとそもそもパワフルなのですが、従来型の大きな円形のIHヒーターでは、釜全体を加熱できますが、お米一粒一粒に伝わる熱は弱くなってしまいます。一方、6分割された炎舞炊きなら、対面する2つの小さなIHヒーターだけを同時に加熱し、それを繰り返すことで縦・横の激しい対流を引き起こします。そうすることで、より狭い範囲へ電力を集中させ、単位面積あたりの火力を高められるのです。

簡単にマネできない理由は「自社製IHヒーター」にあり

ところで、上記で説明した「分割したIHヒーターを独立制御する」構造。理屈さえわかれば再現できそうな気もします。しかし象印によると、この複雑な形状のIHヒーターは想像以上に作るのが難しいのだとか。そもそも、6つのIHヒーターを本体下部に収めるには、1ブロックのIHヒーターを小さくしなければなりません。一方、1,400Wという高出力に対応するには、IHヒーターを太く、強固なものにする必要があります。つまり本来なら「大火力」と「小さなIHヒーター」は両立しないものなのです。

最終的にこれを可能にしたのが、象印が持つIHヒーターの開発・製造技術。象印は炊飯器の心臓部となるIHヒーターそのものを自社で開発・製造しています。既製のIHヒーターに合わせて炊飯器を設計するのではなく、炊飯器本体や内釜の形状に応じてコイル形状や巻き方までモデルごとに調整できるのです。3DローテーションIHは、過去の知見と試行錯誤により生まれた構造だといえます。

炎舞炊きのIHヒーターについて説明してくれた、象印マホービンの杉本恵里佳さん(右)

さらに、IHヒーターの素材にもこだわりがあります。炎舞炊きでは、アルミよりも電気抵抗が小さい純粋な銅線を使用しています。材料費は高くなりますが、最大1,400Wの高出力を効率よく内釜の発熱に生かすため、目に見えない部分も妥協していません。

もちろん、6つものIHヒーターを組み込むとなると製造も簡単ではありません。組み立てにかかる工数は同社従来機種の約1.5倍。ヒーター1つをとっても、開発の難しさ、高価な材料、複雑な製造工程と、「おいしい」を実現するまでには、簡単にはマネできないいくつものハードルがあることがわかります。

熱を蓄えるだけではダメ!? 独自IHだからこその進化を遂げた内釜

さて、高級炊飯器といえば外せないのが「内釜」の性能。高級炊飯器が次々に登場したころは、各社が競うように鉄や土、炭などの特徴的な素材を採用し、内釜の厚さや重さ、蓄熱性の高さをアピールしていました。今でも「厚くて重く、熱をしっかり蓄える内釜ほど、ごはんがおいしく炊ける」というイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。

釜厚は2.2mmですが、フチ部分だけ10mmと厚くして熱を逃がしにくくなっています

もちろん炎舞炊きでも、内釜はおいしさを左右する重要な存在です。ただし、加熱位置を次々と切り替える3DローテーションIHでは、高すぎる蓄熱性だけではおいしくできません。蓄熱性が高すぎると、加熱する位置を次々と切り替えても、前に加熱した場所へ熱が残り続け、やがて釜全体が同じような温度になってしまうからです。このため炎舞炊きに必要なのは、ヒーターで発熱した場所の熱を、素早く内側のごはんへ伝える熱伝導性の高さ。

そこで採用されたのが、鉄・アルミ・ステンレスを組み合わせた「豪炎かまど釜」です。優れた熱伝導率を誇るアルミによって部分的な集中加熱をしっかりと釜の内部に伝え、IHと相性が良く、発熱効率と蓄熱性が高い「鉄」素材を仕込むことで、大火力を活かすことができます。さらに外側には蓄熱性と耐久性に優れたステンレスを使用しています。

アルミとステンレスの間に、IHと相性が良く、発熱効率と蓄熱性の高い鉄を組み込んだNX-AB10の「豪炎かまど釜」

つまり豪炎かまど釜は、炎舞炊きの要となる3DローテーションIHを最大限に生かすために最適化されたもの。蓄熱性を追求してきた一般的な高級炊飯器の内釜とは、異なる発想から開発されています。

「蒸らし」工程も進化。時短にもつながる

大火力で激しく複雑な対流を起こし、炊飯を進化させてきた炎舞炊きですが、最新のNX-AB型では炊き上がり直前の「蒸らし」にも着目しました。

蒸らしは、炊き上がったごはんから余分な水分を飛ばし、ごはんをふっくらと仕上げるために欠かせない工程です。ただし、しっかり水分を飛ばすために加熱すると、内釜に近いごはんにばかり熱が伝わり、釜の中心部まではなかなか熱が届きません。とはいえ、中心部の余計な水分を飛ばすために長時間加熱すると、今度は釜に近い位置にあるごはんが加熱されすぎて硬くなってしまう……。

そこで新たに搭載されたのが、「集中加熱蒸らし」です。従来モデルでは、蒸らし工程で約1秒ごとに加熱位置を切り替え、釜全体をまんべんなく温めていました。しかし、新モデルでは同じ場所を約3秒ずつ集中加熱。小さなIHヒーターによる大火力を生かし、中心部まで一気に熱を届けるのです。しかも、加熱位置は次々と切り替わるため、一部だけを加熱しすぎることなく、釜全体の余分な水分を効率よく飛ばせます。

新搭載「集中加熱蒸らし」のイメージ。部分的な大火力によって、中心部まで熱を届けます

さらに、内ぶたの表面は新しくマット仕上げになりました。これにより、ふたに搭載されたヒーターの熱を効率よく伝えられ、上からも水分の蒸発を促します。底からの集中加熱と上からの加熱を組み合わせることで、べたつきを抑えながら、ふっくらと弾力のある食感に仕上がるのです。そのうえ、効率よく蒸らすことで、3合炊飯時の炊飯時間も従来機種より約5分短縮されました※。

※「炊き分けセレクト」メニュー(かたさ・粘り標準)

新しくマット加工を施した内ぶた

毎日使うものだから、細部まで使いやすさに配慮

ところで、ひと口においしいごはんといっても、好みは人によってさまざま。そこで炎舞炊きは、かたさや粘りを15通りから指定できる「炊き分けセレクト」を搭載。さらに、炊いたごはんの感想を入力する「わが家炊き」メニューを使えば、好みを学習して121通りのなかから家庭の好みに近い食感へと炊き方を変えてくれます。

多彩な機能を搭載していますが、操作には文字が見やすい大きめのカラータッチ液晶を採用。直感的でわかりやすいので操作に迷いません

また、毎日使う炊飯器だけに注目したいのがお手入れのしやすさ。炊飯後に毎回洗う部品は、内釜と内ぶたの2点だけ。独立した蒸気口セットがないため、細かな部品を取り外して洗う必要がありません。うれしいことに内ぶたは食器洗い乾燥機にも対応しています。

食洗機対応の内ぶた

面白いのが、掃除のしやすさを考えたさまざまな工夫です。たとえば、多くの炊飯器は庫内底面の中央に温度センサーを配置しています。このため、庫内に落ちた米粒や汚れが、センサー周辺の隙間へ入り込むことがあります。一方、象印は温度センサーを底面ではなく、庫内下部の側面に配置。底面にセンサーの出っ張りや隙間がないため、米粒などが落ちてもサッと拭き取れるのです。

内釜を外した本体の様子。写真左上にあるのがセンサー。内釜をうける底面は凹凸がなくすっきりとしているのがわかる
個人的に気に入ったのが、内ぶたを外すと蒸気口の中まで掃除できる構造。蒸気口内部はまったく掃除できない構造の炊飯器も多いのです

トップパネルや内釜を収めるフレーム部分も凹凸が少なく、汚れを拭き取りやすい形状を採用。炊飯技術だけでなく、日常的な使いやすさにも細かな配慮が感じられます。

使いやすさもおいしさも。高価格でも選ばれる理由

毎日のごはんを、もっとおいしく味わいたい人に

今回の取材で見えてきたのは、炎舞炊きのおいしさを支える、他社には簡単にマネできない象印の高い技術力です。6つのIHヒーターで独立制御を可能にした独自の技術、ヒーターの特性に合わせて設計された内釜など、一つひとつの技術が大火力と複雑な対流を生み出すことにつながっています。実際に炊いたごはんからも、しっかりとした甘みや旨み、弾力がありながら一粒ひと粒がほぐれる、米本来のおいしさを感じました。

そして実際に使ってみると、追求しているのは味だけではないこともわかります。自分の好みに合わせた炊き分け、わかりやすい操作、お手入れしやすい構造など、毎日無理なく使い続けるための工夫がさりげなく盛り込まれているのです。NX-AB10を試したことで、おいしさを生み出す技術力と日常的な使いやすさ、その両方を備えていることが、「炎舞炊き」が高価格でも選ばれている理由なのだと実感できました。

撮影:トヨサキジュン、フードスタイリング:渡会順子

(提供:象印マホービン)