読者投稿「e-bikeな人々」

ミニベロe-bikeで自分なりにアシスト性能を検証してみました

e-bikeオーナーたちのリアルなe-bikeの楽しみ方や購入理由などをご紹介する読者投稿コーナーです
Google Pixel 8 Proの夜景モードで撮影した愛車のターン「Vectron S10」

ターン「Vektron S10」でe-bikeライフを楽しんでいるわやまです。前回はe-bike大賞 2022でボッシュ製e-bike専用ディスプレイ「Kiox」に当選し、換装に苦労した話やその他のカスタムなどをご紹介しました。今回は実際にどのような活用をしているのか、私なりにちょっと踏み込んだe-bikeのアシスト検証結果などが参考になればと思っています。

一般的な電動アシスト自転車とe-bikeは何が違うの? と私もよく聞かれます。日本の法律的な内容やしくみはまったく同じです。それではなぜ分けられるの? とも聞かれますが、電動ではない通常のペダルバイクのロードバイクやミニベロ、実用車のシティサイクルと同じく、「走る楽しさ」「生活での実用性」という点での違いかな、と考えています。スポーツシューズで例えるならば、陸上用シューズで通勤しても、革靴でランニングをしても良いですし、そんな印象です。

スポーツバイクを楽しむ方はご存じでしょうが、自電車はダイエットに効果的な有酸素運動の心拍の範囲で運動することが多いです。ただし、発進時や坂など立ち漕ぎをして力を入れると筋トレになり、息切れや筋肉痛の原因となります。しかし、e-bikeは効果的な有酸素運動になるように、かなりのサポートを行なってくれます。ラクに長く健康的に動け、走行中の流れる景色や体感で飽きにくく続けやすい。そして、有酸素運動や初心者が始めやすいスポーツだとあらためて実感しました。

エンデューロ→ロングライド→ブルべと参加して現在はミニベロメイン
とあるブルベの記録

e-bikeのアシストを自分なりに検証

Kioxを換装したことで自分の自転車走行データをボッシュ「eBike Connect」に送れるようになりました。しかし、(プレゼントなのに大変申し訳ないですが)Strava(ストラバ)Garimin(ガーミン)とは異なり、データ連携が非常に分かりにくいのです。何とか他のシステムと連携できないかと考えたところ、Stravaに手動でデータを送信できることが分かりました。

そこで、入力されたパワーデータを上手く活用し、「どれだけ坂でラクをできるのか」を数値化できるのではないか……と考えて検証を行なってみました。Kioxで記録されるデータは、ライダー自身の入力パワーのみです。具体的なアシスト表記や自分のパワーの合計ではありません。読者のみなさんが疑問に思っているかもしれない「ボッシュ製ドライブユニットのアシスト力」を大まかに表せることを目的としました。

Kioxを装着した愛車。当初はディスプレイは右ハンドルでしたが左ハンドルへ移動しました

ちなみに、KioxはANT+(Bluetoothと同じ近距離無線通信プロトコル)ですが、ガーミンは心拍系のANT+については昔から他社製品との連携が厳しい印象を持っています。Mio(ミオ) FUSE(フューズ)は心拍計が繋がりましたが、ガーミン「Forerunner(フォアランナー) 955」には計測できませんでした。正確に言えば確認するが動作はしない状況で、そのためForerunner 955とeBike Connectで計測したパワーと速度を織り交ぜて表記していますのでご参考までに。

検証開始です

検証環境

車体:ターン「Vektron S10」※カスタム後の推定車体重量23kg
心拍計:ガーミン「Forerunner 955」、ミオ「FUSE」
本人サイズ:身長172cm、体重65kg、FTP(1時間維持できる最大出力)はおそらく170前後、ブルベ(自己責任の長距離サイクリング)200数回完走経験あり
アシストモード:Eco、Tour、Sports、Turbo、ノンアシスト
検証場所:距離0.4km、高度50m、平均勾配10.8%(すべて推定)という小さな山で行なっています。

【検証その1】坂を上るアシストについて

各モードで8.5km/hで坂を上ると、どれくらいのアシストが行なわれるのか。到達時間は約3分20秒でした。縦軸は自己最大パワーと自己平均パワー、最大心拍数を記載しています。

各モードで同じような速度で上った際のアシストの違いを体感ではなく数値化を目的としました。平均斜度10%ほどの坂で、私がVektron S10でぎりぎりアシストOFFで上れる速度が約8.5km/hでしたので、それに合わせて各モードでKioxの表示が8.5km/h前後になるように見ながら調整して走りました。ただし、お恥ずかしいことにアシストOFF計測時は私が貧脚のために心拍数194前後が続き、終了後は20分ほど動けずにEcoモードの記録を断念しました……(笑)。

坂を上るアシストについての検証データ

【検証その2】心拍数の変化について

各モードで同じように自パワー前後の表記で走った場合の到達時間と最大心拍数の変化について。表示出力約180W走行での調査を踏まえて、各モードで自分の出力を合わせたらどうなるかなと考え、Kioxの表示が180W前後になるように見ながら調整して走りました。当然ですが、頂上に到達する時間・平均速度が異なり、最大心拍数はほぼ変わりません。ちなみに、アシストOFFで180Wで上ろうとすると【検証その1】からも私の雑魚足では坂に負けてしまいます(笑)。

約180W走行での検証データ

【検証その3】後日、別の日にもっとキツい坂で再チャレンジ

【検証その1】でグラフ作成後にEcoモードを計測できませんでした。そして、各モードの特性はもう少し斜度が高くなると出力分布も見やすくなるのでは? と考えて1週間後に同じ小さな山での頂上への異なる裏ルートを上ることに。スタートの高度が少し低く距離はほぼ同じで、高度53m、平均勾配11%、途中に斜度16%、すべて推定で計測しました。こちらもアシストOFFは計測していません。

後日、あらためて斜度がキツいルートで検証した結果

検証後の個人的考察

体感と同様に各モードでキレイにアシストの違いが出ていました。平均斜度が約10%の場合はSportsモードがベターかも。以下、心拍酢や出力、アシストモードについての考察です。

心拍数について

個人差があるため目安となりますが、平均ではなく最大の理由は平均が安定した数値にならなかったこと。坂に対しての大変さの尺度として大変さが伝わるかな、と考えたためです。平均はもっと低いため、有酸素運動の枠を考えるとTourかSportsモードあたりかな、と思います(上記で紹介した数値ではSportsとTurboが同じくらいですが……)。

出力について

体感としては平均Wが出力として一番力を出した感覚に近かったです。90~100Wの出力具合は、いわゆるママチャリを平地巡行で漕いでいる感覚に近いです。つまり、SportsとTurboモードは多少力を入れた最大値の出力の違いはありますが、おおむね同じ感覚で走行できる印象でした。上記の表示出力のグラフでも、SportsとTurboモードでの計測値はほとんど変わらなかったため、斜度が10%より高いと変わるのではないかと考え、一部激坂があるルートに変えました。結果として最大出力のWに差が出ましたので、やはりTurboモードは10%を超えるあたり、逆に言えばSportsモードは体感で10%前後が良い(最大出力161Wは結構力が入りました)と考えました。

Ecoモードについて

今回の検証ではEcoモードはほとんど出てきませんでした。かなりの坂を「ラク」に走ることでは注目されませんが、逆に考えると、最大出力を縛る「トレーニング」として、ローディーの冬場の運動にも持って来いかもしれません。冬場は運動量が強すぎてケガをしたり、汗冷えで体調を崩すケースも珍しくありません。Ecoモードは有酸素運動の上限あたりの「ちょうど良い」運動として坂を上れるのは、シリアスライダーのシーズンオフの体力維持にもぴったりなのでは? というのが個人的見解です。

バッテリーの消費について

走り方や気温、そもそものバッテリー状況などの要因もあるので推測レベルにすぎません。今回の私の上りについては、Kiox充電100%表示での消費比率の感覚は、Ecoが3.5、Tourが4~4.5、Sportsが4.5~5.5、Turboが5~6.5ほど消費した印象です。ガンガンにアシスト任せで大まかに斜度10%の坂を高度1,000mまでSportsモードで上れる計算ですが、私はすでに数年走っていますので、新車や新車に近い状態ならばもう少し長く上れるのではないでしょうか。

まとめ

素人計測ですので偉そうに言えることではありませんが、アシストモードを細かく分けていることでパワー補助の最大値の異なりを実感しました。当然ですが、法的な制御があるために「アシストが強い」印象をどう出すかはメーカーのポイントなのかなと思います。

平地では出だしから巡航になるまで強めにすると、瞬間的に「アシストが強い」と感じやすいと思います。しかし、斜度の変化を入力パワーから上手く計測するボッシュ製のドライブユニットは、日本の法律に沿いながら安全性も考慮してアシストのパワーを上手く調整していることが分かりました。特にTourやSportsモードはバッテリー消費量、ユーザーの体感を含めてかなりバランスも重視しているのでは。一般的にはSportsモードがベターなのかも、と思いながらも個人的にはやっぱりTurboモードをよく使ってしまうのですが(笑)。また新しい発見がありましたらご報告したいと思います。

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