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【エコプロダクツ2013】CO2と水と光からエネルギーを生み出す人工光合成

12月12日~14日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「エコプロダクツ 2013」

 12月12日~14日の3日間、東京ビッグサイトで日本最大級の環境展示会、「エコプロダクツ 2013」(以下、エコプロ)が開催される。今年で、14回目となるエコプロは、開催テーマに「今つくる地球の未来」を掲げ、最新のエコ関連製品を展示。

 入場は無料(登録制)で、会場には、社会見学などで訪れる小中学生の姿も多く見られる。子供が楽しめるような展示が多いのも、特徴だ。家電Watchでは、電機メーカーの展示を中心に紹介する。

小中学生の社会見学などが多く見られる。ブースでも子供が楽しめるような展示を多数行なっている

パナソニック、人工光合成装置を初披露

パナソニックのブース

 パナソニックのブースでは、同社が数年前から取り組んでいる人工光合成を展示していた。人工光合成とは、水と光、CO2(二酸化炭素)から燃料や化学原料を作り出す仕組み。パナソニックの人工光合成では、LED電球などにも用いられている半導体や、金属などを使うことで、約0.2%と、植物と同等のエネルギー変換効率を実現させた。この変換効率は、世界最高だという。

 このシステムは、CO2の削減とエネルギー問題を一挙に解決するものとして、注目を浴びている。担当者は「単なる技術としてだけでなく、実際の事業として確立できるような仕組みを模索中」だと語る。

一般初公開された人口光合成
実際の太陽の下でも実験を行なっている
二酸化炭素を使って、燃料や化学原料を作るという

 パナソニックのブースではこのほか、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)も展示。ZEHとは、政府が2020年までの指針としている住宅で、太陽光発電などのシステムを用いることで、自宅で使うエネルギーを全て自宅で創るという取り組み。パナソニックでは屋根と太陽光パネルが一体になった住宅「エコ・コルディス」をブースに再現。エネルギーを創るだけではなく、なるべくエネルギーを使わないための機構を展示していた。

屋根と太陽光パネルが一体になった住宅「エコ・コルディス」をブースに再現。パネルと屋根を一体とすることで、軽量化でき、スペースの有効活用ができる
ゼロ・エネルギー・ハウスとは、自宅で使うエネルギーと自宅で創るエネルギーが同等、もしくは創るエネルギーの方が上回る住宅のこと
パナソニック「エコ・コルディス」では、使うエネルギーよりも創るエネルギーが多い状態を目指す

 地熱を使った換気システムでは、地表の熱エネルギーを有効活用することで、外気温と室内温度の差を少なくし、冷暖房にかかるエネルギーを少なくする。同システムには、外気温と室内の温度差が10℃以上になると自動で運転が切り替わる仕組みを搭載するなど、省エネを徹底する。

地熱を用いた換気システムでは、床下に地熱を得られる空間を確保
地熱換気システムを導入した住宅。長野の住宅も室内と床下の温度差がほとんどない
左の白く細長いのが、室内の換気システム。温度差によって自動で運転を制御する「エコナビ」機能を搭載する

 パナソニックが展開する冷蔵庫や炊飯器、食器洗い乾燥機なども、省エネ製品として展示されていた。いずれも、センサーを用いて自動で運転を制御する「エコナビ」機能を備える。

エコナビ機能を搭載したパナソニックの製品群

 そのほかブースでは、家電製品のリサイクル工場に導入されている最新のプラスチック選別システムのデモを行なっていた。回収した家電製品を粉砕して、そこからプラスチックの種類別に分けるためのシステムで、選別後のプラスチックを用いて、また新たな家電製品部品を作る。

プラスチック選別システムのデモ
種類の異なるプラスチックを一緒に入れる
出口では、きちんと判別されて出てくる
実際の工場でも稼働しているシステム
判別後のプラスチックを使ってエアコンのフィルター枠など新しい家電製品を作る

阿部 夏子