益田建設、風力/太陽光/蓄電/HEMSを採用した次世代スマートハウス
次世代型スマートハウス「イデアホーム CoCoLo」 |
益田建設は、日本マイクロソフトのクラウドサービスである「Azure(アジュール)」を活用したホームマネジメントエネルギーシステム(HEMS)を導入した次世代型スマートハウス「イデアホーム CoCoLo」を7月14日から発売。それにあわせて、東京・立川市の「ハウジングワールド立川」でモデルルームを公開した。
同HEMSは、富士ソフトが開発した、Azureを活用したエネルギーマネジメントシステム「FSGreen EMS」をベースに、イデアホーム向けにカスタマイズを行ない、これを独自ブランドの「i-HEMS」として採用。富士ソフトが持つセンサー機器への組込技術を活用することで、住宅内の消費電力や、太陽光発電や風力発電などによる自然エネルギー発電量、気温や室温といった環境情報の見える化を実現するほか、スマートフォンやタブレット端末を通じて、空調、給湯、床暖房を遠隔操作できるようになる。
iPadで「i-HEMS」による情報を表示する | 時間ごとの電力使用量などの推移を表示している様子 | iPhoneを通じて外出先から家のなかの電気機器をコントロールできる |
益田建設 企画課・坂本建士氏は、「単に電気の使用量や発電量を見える化するだけでなく、クラウドを活用することで、購入している電気がどれ位少なく済んだのかを認識したり、電気機器の制御が遠隔地からできる点が特徴。暑い日は帰宅時間にあわせて風呂を沸かしておくといった使い方もできる」とする。
同社が公開したイデアホーム CoCoLoのモデルルームは、エコを強く意識したものとなっている。
象徴的なのが、日本の一般家庭としては珍しい風力発電を備えていることだ。
2階フロアからみた風レンズ風車 | 風力発電システムと屋根の上に設置された太陽光発電システム |
ここでは、ウィンドレンズの「風レンズ風車」を採用。風車に取り付けられたデフューザー(レンズ)が発生する渦により、風車後方の圧力を低下させることで、それに伴い取り付けられた特殊ダクト内の風速が1.4倍に増速。発電量は風速の3乗に比例するため、約3倍の出力が得られるという特徴を持つ。
「九州大学の研究成果を製品化したもので、ローターの直径が2.5m、集風レンズ外径が3.4mと、小型でありながらも、効率的に発電できる。静音性にも優れており、高さは13.4mと建築基準法の適用外となっている点も、住宅地での設置性を高めている」(益田建設 企画課・坂本建士氏)という。
5kWの発電が可能であり、「モデルルームでは、3.5kWの太陽光発電システムも屋根に設置しているが、モデルルーム開設以降の計測でも、風力発電の発電量の方が大きい」という。
発電した電気は、5kWのリチウムイオン酸鉄バッテリーによる蓄電システム「GE-VENUS 5000」に蓄えることが可能で、非常時の使用だけでなく、常時使用での利用も行なえる。USBポートを搭載しており、非常時には、スマートフォンなどの直接充電もできる。これにより、自然エネルギーと深夜電力との組み合わせによって、エネルギーコストの削減を図れるという。非常時でも約2秒で蓄電システムでの稼働に切り替えられる。
イデアホーム専用の蓄電システム。グローバルリンクの製品をベースとしている | USBポートも搭載しており、スマートフォンなどの充電も可能 |
部屋には温度センサーを設置している | 温度センサーを引っ張り出したところ |
また、蓄熱式床暖房冷房「イデアおんどる」を採用。外壁の内側に通気層を設けることで、室内と床下、屋根裏とを一体の空気環境にし、壁のなかで起こる内部結露を防止。住宅の寿命を長期化することができるという。
こうした風力発電、太陽光発電、蓄電システム、蓄熱式床暖房冷房の管理などが行なえるのが「i-HEMS」だ。
i-HEMSでは、日本マイクロソフトの小型機器向けの開発・実行環境「.NET Micro Framework」や、組み込み機器向けのOS「Windows Embedded」を、様々なセンサーに実装。日本マイクロソフトのクラウド基盤「Windows Azure Platform」を活用することで、スマートフォンやタブレット端末などからもセンサーで収集した環境情報を確認できる。
系統電力として利用している風力発電のコントロールボックスや、太陽光発電に直結した蓄電システムを通じて、それぞれの発電情報をホームゲートウェイを通じてAzureプラットフォーム上にデータとして蓄積。iPadやiPhone、Android端末、Windows Phoneなどのタブレット端末やスマートフォンに、風力発電や太陽光発電の発電量や、消費電力、買電力や売電力、蓄電池放電・充電・残量といった情報を表示する。今後、Windows 8のメトロインタフェースにも対応し、Windows 8搭載のタブレット端末やPCでも利用できるようにする。
分電盤の様子。一番奥がホームゲートウェイ | 「i-HEMS」をWindows 8搭載タブレットで表示させたもの | こちらでも太陽光や風力の発電量や消費電力の現在値および累積値などを表示する |
Windows 8のメトロ対応アプリケーションも提供する予定 | Windows 8搭載端末からも電気機器をコントロールできる |
さらに、各OS向けに電気機器を制御するためのアプリケーションを開発。同アプリケーションを通じて、各種デバイスからエアコンや給湯器、蓄熱式床暖房冷房などのコントロールを行なえる。
市販のエアコンでも、リモコン機能を読み込ませる赤外線スイッチコントローラを通じて、外出先からのコントロールも行なえるようになる。
エアコンなどのリモコン情報を読み込ませて使用するコントローラ | 市販のエアコンも外出先からコントロールできるようになる |
モデルルームのシステムでは、1分30秒ごとにAzureにアクセスしており、最大で1分30秒後には電気機器のオン、オフの操作などができるという。
富士ソフトでは、「プラットフォームにAzureを採用したのは、ウェブトリガーでの操作に対応できないデバイスへの対応や、アプリケーション開発面での汎用性が背景にある」としたほか、「同じデータでも、デバイスにあわせて見せ方を変えるといった、最適な表示方法の提案も可能になる」としている。
CoCoLoではこのほか、フルフレームダンパーシステムによる耐震と制震を可能にする超制震住宅であるほか、全熱交換型換気装置、屋上緑化、屋根断熱、オールLED照明などの機能を搭載。外壁はカナダ産ウエスタンレッドシダーを採用し、木のぬくもりを感じられる家にしているという。
イデアホームCoCoLoの価格は、1坪あたり63万円からとなっている。
1階のリビングの様子 | リビングの照明には、シャープのさくら色LED照明を使用 | ダイニングの様子 |
キッチンの様子 | バスルームの様子 | ドレッシングルームの様子 |
和室の様子 | 家族が共有して利用するスタディスペース | 屋上ガーデンにはヒノキのチップをまいている。ヒノキの香りが広がる |
2階フロアの洋室の様子 | 階段の様子。室内も木の温もりを感じさせるものになっている |
(大河原 克行)
2012年7月17日 14:09