ケイ・オプティコム、家庭向け電力見える化サービス開始

~補助金利用により、実質5,000円で導入が可能
Smart Ecowatt for eoパッケージは、スマートエコワット、スマートELセンサ、スマートゲートウェイがセットされている

 関西電力の子会社であるケイ・オプティコムとエネゲートが、2012年6月11日から開始した「Smart Ecowatt for eo」が、簡単に電力を見える化できる家庭向けサービスとして注目を集めている。

 政府のエネルギー管理システム導入促進事業費補助金制度と、ケイ・オプティコムが実施するキャンペーンとの組み合わせによって、初期投資費用を大幅に削減できるとともに、9月までの期間限定ながら無料で利用できる点も見逃せない。ケイ・オプティコムのサポートエリアである関西地区に限定したサービスとなるが、関西電力は、7月2日以降、一般家庭において、平日に15%以上の節電協力を掲げているだけに、その点からも、同サービスへの関心が高まっているといえよう。

 ケイ・オプティコムに「Smart Ecowatt for eo」の狙いなどを聞いた。

 Smart Ecowatt for eoは、ケイ・オプティコムが、2012年6月1日から開始した「eoスマートリンク」のサービスの1つとして提供している一般家庭向けの電力見える化サービス。

 eoスマートリンクは、ケイ・オプティコムが提供する光ファイバーインターネット接続サービス「eo光ネット」の利用者を対象に、カスタマイズ仕様のSony Tablet Sを「eoスマートリンクタブレット」として提供。「新しいライフスタイルを提案する暮らし向上サービス」と位置づけているもの。タブレット端末は実質価格として16,320円で提供。月々の利用料は300円としており、タブレット端末を24回の分割払いにすると月々980円で利用できる。

 eo光ネットは関西地区において、約130万人の利用者を誇り、eoスマートリンクは今後3年で10万件の契約を予定。この6月末までの1カ月間で、すでに約5,000人の契約が見込まれている。

 同社では、「Smart Ecowatt for eoは、エネルギーの見える化をきっかけに、省エネおよび節電につなげることができるサービスであり、eoスマートリンクが目指す『暮らし向上』を実現するものになる。将来的には、eoスマートリンクにおける主要サービスの1つに育て上げたい」としている。

 Smart Ecowatt for eoでは、家庭の分電盤に設置する「スマートELセンサ」1台と、家電機器に取り付けるコンセントタイプの計測器である「スマートエコワット(AC100V用)」を3個、使用電力量データなどをネットワークを通じて集計する専用装置「スマートゲートウェイ」1台を、「Smart Ecowatt for eoパッケージ」として提供。

電気機器とコンセントの間に取り付けるスマートエコワット分電盤に取り付けるスマートELセンサデータを収集するスマートゲートウェイ

 タブレット端末に、家庭全体の電気使用量を表示するほか、エアコンや薄型テレビ、冷蔵庫など、計測したい機器の個別の電力使用量、月別、日別、時間別の使用量も表示。過去の履歴と比較したり、目標設定に対する達成度もグラフで確認することができる。また、当月使用分の電気料金やCO2排出量への換算なども表示される。

 「電力使用量は、電流と電圧を計測することでより正確になる。スマートエコワットは、誤差が少ないのが特徴。市販されているもののなかには数10%の誤差が発生しているものもあるが、5%の誤差で集計できる」という。

eoスマートリンクタブレットに電力使用量、ランキングなどを表示する電力使用量を比較することもできる

 スマートELセンサの分電盤への設置は工事が必要だが、スマートエコワットは利用者自身が接続したい機器に接続。さらに計測する対象機器を増やしたい場合には、別売りのAC100V用(7,500円)、AC200V用(9,500円)を別途購入すれば、最大10台まで増設できる。スマートエコワットやスマートELセンサーで計測したデータは、無線でスマートゲートウェイに送信され、ルータを通じてタブレット端末に表示。また集計したデータは、ルータを通じて、エネゲートのデータセンターに収集される。

「Smart Ecowatt for eo」の仕組み。各機器に接続したスマートエコワットが使用電力などを計測。スマートゲートウェイにそれらのデータが送信され、ルータを通じてタブレット端末に表示される。また、集計したデータはエネゲートのデータセンターに収集される

 Smart Ecowatt for eoパッケージの価格は105,000円だが、同パッケージは、政府の「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(HEMS導入事業)」制度の補助金対象製品に採択されていることから、同サービスを1年間利用する場合には、10万円の補助金を申請することが可能。実質5,000円で導入できる計算になる。

 また、ケイ・オプティコムでは、9月30日までの期間限定で、取付工事費用17,850円と、月額利用料315円を無料とする「節電応援キャンペーン」を実施。導入しやすい環境を提案している。

 同社では、「家庭内で電力量の見える化を行ないたいが、初期費用に数10万円を投資するにはハードルが高いという声も多い。また電力量を測るだけで、月々費用を払い続けることに対する抵抗もある。工事費を無料にし、利用料も初期の一定期間を無料にすること、また、補助金制度の利用により、機器を導入しやすくすることで、多くの人に利用していただき、結果として、家庭における節電につなげることを狙っている」とする。

 さらに、タブレット端末を利用するというメリットを生かして、単に電力量を見える化するだけに留まらない提案も同時に進めていく。

省エネアドバイスとして、節電ノウハウを定期配信する

 具体的には、省エネアドバイスとして、省エネに関するノウハウなどを定期的に配信。これをタブレット端末上に表示するほか、省エネランキング機能を用意し、同様の設定の利用者のなかで、節電レベルがどの水準にあるのかを、最上位のSランクと、A~Dランクの5段階で表示する。

 「Sランクは上位5%のユーザー。Aランクは上位6%~30%のユーザーが対象になる。こうした機能を通じて、利用者の合理的な省エネをサポートしていく」という。

 そのほかタブレット端末には、関西電力が提供する電気使用率や、関西地区の気温などの情報も表示しており、これらの情報も節電に活用してもらうという。

 Smart Ecowatt for eoの申し込みは、eoスマートリンクを契約し、eoスマートリンク専用マーケットであるeoアプリマーケットから、「Smart Ecowatt for eo」のアプリケーションをダウンロードし、そこから手続きを行なう。

 ケイ・オプティコムでは、年度内に1,000人の利用を見込んでいるという。






(大河原 克行)

2012年6月27日 12:13