ダイキンのストリーマ放電、新型インフルエンザウイルスを100%分解


ダイキンが9月11日に発売した加湿空気清浄機「うるおい光クリエール MCK75K」にも、ストリーマ放電技術が搭載されている
 ダイキン工業は、同社の空気清浄機に搭載されているストリーマ放電技術が、新型インフルエンザウイルス(A型 H1N1)を4時間で100%分解、除去できると発表した。100%の分解・除去効果が実証されたのは、同社では「世界初」としている。

 ストリーマ放電技術は、同社の加湿空気清浄機「うるおい光クリエール」シリーズなどに搭載されている放電ユニットのこと。ユニット内で発生した高速の電子と空気成分が合体することでできた、強い酸化力を持つ「ストリーマ」という活性種が、ウイルスや菌類、アレル物質やニオイを分解、除去する効果がある。同社はこれまでにも、鳥インフルエンザウイルスや弱毒性インフルエンザウイルス、ノロウイルスなどを不活性化する効果を実証してきた。

 今回の実験は、ベトナム国立衛生疫学研究所との共同で行なわれた。実験内容は、ストリーマ放電に4時間照射した新型インフルエンザウイルスと、ストリーマ放電を照射しなかった同ウイルスを、実験用の細胞に接種し、7日間培養した後、ウイルスの残存状態を観察するというもの。ストリーマで照射しなかった方の細胞は、同ウイルスによって完全に破壊されている一方、ストリーマを4時間照射した方では、細胞は正常なままだったという。同社によれば、ストリーマによりインフルエンザウイルスのタンパク質が酸化分解され、インフルエンザウイルスの感染性が失われたという。

 同社ではこの結果を受け、新型インフルエンザウイルスを100%分解し、除去できたとしている。

ストリーマ照射による、新型インフルエンザウイルスの残存率の変化。照射ありでは、細胞は正常なままだが、照射なしでは細胞が破壊されている。試験期間は9月6日~9月14日とのこと

新型インフルエンザウイルスへの反応のメカニズム。ストリーマが、ウイルス表面の赤血球凝集素、ノイラミニダーゼといったタンパク質に反応。感染性を失わせる効果があるという 

 実証実験を行なったベトナム国立衛生疫学研究所のレ・ティ・クイン・マイ博士は、この結果を受け「鳥インフルエンザと同様、短期間で100%分解できることを確信していましたが、期待通りの結果でした」とのコメントを発表。今後は実証結果を論文として発表するという。なお、同研究所は、ストリーマ放電の鳥インフルエンザウイルスに対する効果を既に実証している。

 新型インフルエンザウイルスに関しては、三洋電機の「電解水技術」が、新型インフルエンザの感染を99%以上抑えるとの検証を発表している。

ストリーマ放電中の画像ストリーマ放電技術は、ダイキンの空気清浄機に標準的に搭載されている。2009年からは、「光速ストリーマ」というブランドネームを使用するダイキンと共同で調査をすすめた、ベトナム国立衛生疫学研究所のレ・ティ・クイン・マイ博士(写真は7月に来日した当時のもの)

ダイキンのストリーマ放電技術が、第三者機関によって実証された試験項目


(正藤 慶一)

2009年9月15日 17:24