三洋の「ウイルスウォッシャー」技術、新型インフルエンザへの効果を実証

「ウイルスウォッシャー」技術を搭載した空調製品群

 三洋電機は、同社が空気清浄機などに搭載している電解水技術「ウイルスウォッシャー」機能が、新型ウイルスを抑制する効果があると発表した。ウイルス抑制に効果がある技術は各社が開発しているが、新型ウイルスへの効果を明確に謳ったケースはこれが初めて。

 新型インフルエンザは、今年初めに世界的に流行し、8月時点で世界で17万人超、日本で約5千人の感染者を出している。WHO(世界保健機構)では6月に、もっとも警戒を必要とする段階を定義する「フェーズ6」に指定。爆発的な感染が懸念されている。

 今回、三洋電機は群馬県衛生環境研究所と共同で、培養した新型ウイルスを使って、ウイルスウォッシャーの効果を検証。電解水とウイルスを混合した液体で実験した結果、99.9%抑制できることを実証した。

水を電気分解するのが特徴民生用機器と業務用機器で発生方式が異なるウイルスや浮遊菌を抑制する効果がある
新型ウイルスについて実証実験の概要。電解水を薄め、ウイルスと混ぜ合わせて効果を検証した新型インフルエンザウイルスについて、99.9%除去する効果があったというOHラジカルの強い酸化力でウイルスを無力化する
群馬県衛生環境研究所の小澤邦寿氏

 実験に用いたのは、業務用機器に搭載される「除菌エレメント方式」のユニット。実験に当たった群馬県衛生環境研究所の小澤邦寿氏は、「類似ウイルスではなく、新型インフルエンザそのものを使って実証したのは、我々の知りうる範囲では、世界初」としている。

 ウイルスウォッシャー技術は、水道水を電極に通し、生成されるOHラジカルを飛ばし、ウイルスや菌を無力化するというもの。同社の空気清浄機や加湿器、ファンヒーターなど民生用機器のほか、オフィスや劇場など大空間向けの機器に搭載されている。これまでも同社は鳥インフルエンザウイルスやノロウイルス、大腸菌、カビ、ダニ、花粉などについて効果があることを第三者機関とともに実証してきた。


ウイルスウォッシャー技術のデモ。食紅を含んだ水を、電解水で満たされたエレメントに拭きかけると……すぐに分解され白くなった
三洋電機 エコロジー技術研究所 部長の井関正博氏

 こうした抗ウイルス、除菌技術は、電機各社が独自技術で争っているが、他社比較での優位性について、三洋電機 エコロジー技術研究所 部長の井関正博氏は「他社は放電によりイオンを生成する、イオン・放電系の技術。我々は電解水を使った技術で、イオンとは一線を画する」と技術の違いを解説した。


他社技術との比較。他社の技術では浮遊菌が減らなかったという

 さらに、他社技術との比較実験データを公開。三洋が行なった実験によると、4畳程度の空間に浮遊菌を噴霧した場合、ウイルスウォッシャーでは5分でほぼ、菌が除去できたのに対し、他社技術ではなにもしない状態とほぼ変わらなかったという。

 三洋電機は今後も、第三者機関との連携を強め、ウイルスウォッシャー技術の効果検証に取り組むという。






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2009年8月18日 18:01