ニュース

住宅用太陽電池で火災事故? 未然に防ぐポイント

過去10年の住宅用太陽電池発電設備の事故件数の推移

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、住宅用太陽電池発電設備の事故を防ぐための注意点を紹介している。

NITE製品安全センターが受け付けた製品事故情報のうち、2015年度から2024年度までの10年間に発生した「太陽電池発電設備の事故」は260件あり、うち約9割の239件が火災事故だという。

事故を起こさないために気をつけるポイント

住宅・マンションに設置されている出力10kW未満の太陽電池発電設備において、NITEに報告された事故は、太陽電池モジュール、接続箱、配線系(パワーコンディショナから太陽電池モジュール間)、パワーコンディショナに関する事案となっている。このことから、各設備の気をつけるポイントを紹介している。

住宅用太陽電池発電設備のイメージ図

太陽電池モジュールの注意点

前年同月の発電量と比較することで事故の前触れを察知できる場合があるため、発電モニターの電力量をこまめにチェックする。また台風などが来て、飛来物などによりパネルに損傷が出た場合においても、その後の発電電力量が大きく変わっていた場合は異常の可能性があるため、販売店・工務店・メーカーに相談する。

太陽電池モジュール(ソーラーパネル)に異常がないかをチェック

パワーコンディショナ、接続箱などの注意点

屋外設置タイプの場合、設置している場所が雨や砂塵の侵入、虫の侵入などを受けやすい状態になっていないか、周囲の環境に注意を払う。また、可能な範囲で機器の外観異常や異音・異臭がないかをチェックする。

新規導入の場合、屋外設置・屋内設置ともに、雨や水分、湿気、ホコリの多い場所に設置されないように、施工業者との事前の打ち合わせの際に確認を行なう。

定期点検について

設置後1年目、その後は住宅用では4年に1度の定期点検が推奨されている。点検項目は、設置後の年数やその間の使用・故障状況により異なるため、販売店・工務店・メーカーなど専門業者に相談する。

製品寿命について

太陽電池モジュールの製品寿命は20年以上、パワーコンディショナは10~15年と言われている。太陽電池モジュールと同じ寿命間隔で、パワーコンディショナなどの設備を長期使用していると、基板や電子部品などの劣化から事故の発生率も高くなるため、交換時期には注意が必要。

破損した発電設備を見かけた場合の対応

損壊した発電設備は大変危険で、けがや感電のおそれがあるため、むやみに近づかない。対処は電気工事士や販売施工業者等の電気の知見のある者が作業を行なう。

太陽電池発電設備は破損や浸水した場合であっても、光が当たれば発電することがあり、破損箇所やケーブルに接触した際に感電する危険性がある。このような場合は、関係者以外が不用意に立ち入らないような対策を行ない、破損した設備が飛散しないようにシートで覆うなど、二次被害の発生防止にも努める。

緊急対応の事前準備について

事前に販売店・工務店・メーカーなど専門業者の連絡先を確認し、破損事故発生時には迅速な連絡や処置ができるように準備しておく。

出力10kW未満の太陽電池発電設備の新設について

住宅・マンションで使用されている出力10kW未満の太陽電池発電設備について、経済産業大臣が技術基準に適合していないと認めるときは、その所有者等に対し技術基準適合命令を行なう場合があるため、新規に設置する場合は注意する。

また太陽電池発電設備は、電気事業法に基づく立入検査を受けることがあるため、普段から適切な管理を心がける。