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シャープ、ロボット型スマホ「RoBoHoN」など、ともだち家電を強化

ロボット型スマートフォン「RoBoHoN」

 10月7日に開幕するCEATEC JAPAN 2015に先立ち、シャープは会場での出展内容や、今後の事業戦略を説明した。

 併せて、同社が推進する「こころプロジェクト」の象徴的な存在として位置づける、モバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」を紹介。

 ロボホンは高さ約19.5cm、重さ約390gとコンパクトで、二足歩行できるモバイル型のロボット電話。ロボットクリエイターの高橋 智隆氏との共同開発で生まれた。

 3G/LTEの電話機能やカメラのほか、頭部にはレーザープロジェクターを内蔵。写真や動画、地図などを、その場にある机や壁に投影できる。仕様は開発中の現段階のもの。発売は2016年の前半を予定している。

頭部にはレーザープロジェクターを内蔵
ロボホンで電話をしているところ

 シャープ 代表取締役の長谷川祥典氏は、「ロボホンは、こころエンジンの音声対話技術などを凝縮していて、持ち歩き、話しかけることでユーザーの嗜好を理解していきます。小型化技術を含めシャープの技術を全て詰め込んだ、こころプロジェクトの象徴的な存です在。携帯電話がタッチUIで急速な進化を遂げたように、ロボホンの愛らしい姿や動き、音声対話インターフェイスによって、電話のあり方が変わります」と語った。

 デモでは、「ロボホン、立ち上がって!」と話しかけると、座っていたロボホンが「立ち上がるね」と答え、体全体を動かしながら立ちあがった。

 目の前にいるユーザーを見ると「阿部さん、こんにちは」と挨拶を始めた。ロボホンに顔を登録しておくと、こうした挨拶が可能になる。

ロボットが活躍するには人工知能が鍵

ロボットクリエイター 高橋 智隆氏

 会場には、ロボホンを共同開発したロボットクリエイターの高橋 智隆氏も登場。現在の人型ロボットの限界と、その可能性を語った。

 「今、かつてないほどロボットが注目されています。私はこうした人型のロボットを約20年間にわたって研究開発してきました。多くの方が、そうした人型ロボットが家の中に入ってきて、家事をしてくれると想像してしまいます。しかし人型ロボットは、著しく進化しているお掃除ロボットには勝てないと思います」

 高橋氏はロボットに加えて、現在注目されている技術として人工知能を挙げる。「コンピューターの中では、人工知能が、人間が思い描くものに近い形で動くようになってきました。そんな今、その人工知能技術に、ロボットの体を与えてあげれば、現実世界で活躍できるんじゃないかと考えられています」

人型ロボットは、掃除の面ではお掃除ロボットに勝てない
コンピューターの中では、人工知能技術が進化している
スマートフォンに代わるモバイル端末は、いまだ売られていない
そもそもスマートフォンは携帯電話とパソコンを合体したもの

 技術的に進化する一方で、スマートフォンは今後も技術的な進化を続けていくのか? という疑問が湧いてきているという。そのため、スマートフォンに代わるモバイル端末として、腕時計型やメガネ型などのウェアラブル端末が考案されてきたという。

 こうした状況について、高橋氏は「現状では残念ながらスマートフォンに匹敵するような端末は、まだ売られていません。そもそもスマートフォンは、ケータイとパソコンを合体したもの。このスマートフォンの中で動く様々なアプリが生まれています。近年では、スマートフォンの中で動く、こうしたアプリで全てのイノベーションが起こっていると言って良いと思います」と話す。

 今後もスマートフォンをプラットフォームにしていても、アイデアは徐々に枯渇していくと予測。既に、スマートフォンアプリは、飽和状態になっているとする。

 そこで、新しいハードウェアプラットフォームとして、開発したのがロボホンだという。

1人1台、ロボットをポケットに入れて暮らす未来

 高橋氏は続けて、「音声認識技術は既存のスマートフォンにも組み込まれていますが、普段の生活の中で使う機会は少ないです。一方で家に帰ると、飼っている金魚や亀、あとはクマのぬいぐるみなんかにも話しかけてしまいます」と語った。

 人間は、どれだけ性能が良くても、四角い箱に話しかけることに心理的な抵抗を感じてしまうのだという。ロボホンを人型ロボットにすることで、人間から話しかけてしまうことを期待している。

 これまで製品化されたロボットとは違い、ロボホンは高さ約19.5cmと小型。あくまでパーソナル端末として生まれたと語る。

 「これをきっかけにして、ロボットを1人1台、ポケットの中に入れて暮らす、そんな日が近づいたのではないでしょうか」(高橋氏)という。

スマートフォンの音声認識があまり使われていない一方で、飼っている金魚や亀などに話しかける人は多い
CEATEC会場ではロボホンが動く様子が見られる

IoTとAIを融合させた新しいビジョン「AIoT」

シャープ 代表取締役 長谷川 祥典氏

 また、長谷川氏によれば、様々な機器をインターネットとつなげる「IoT」と人工知能とを融合させた「AIoT」を、今後同社がリリースする製品に積極的に組み込んでいくという。

 AIoTにより、これまでとは違う「買った後でも進化していく」製品を目指す。AIoTがもたらすユーザーメリットとしては、ユーザーの好みや使い方に、家電がジャストフィットしていく点。さらにユーザーの好みを学習して必要な時に、家電が即座にサービスへの案内役になっていくということを挙げた。

 インターネットにつながる「ともだち家電」として、音声対話に対応したプラズマクラスター冷蔵庫「SJ-TF50B」と、ウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XP2WF」を、10月30日に発売する。市場想定価格は順に、36万円前後、21万円前後(税抜)。

プラズマクラスター冷蔵庫「SJ-TF50B」
ウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XP2WF」

 プラズマクラスター冷蔵庫は、音声対話による食品管理を実現。冷蔵庫に保存する食品を声で登録。使用期限が近づくと「そろそろ使った方がいい食品が3個あるよ」などと知らせてくれる。また、「おしえて?」と聞くと、「ハムは明日が期限だよ」と冷蔵庫が答えてくれるという。

 さらに音声対話で作成した「買い物メモ」は、買い物中にスマートフォンで内容を確認でき、買い忘れや重ね買いを解消してくれるという。

 ウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XP2WF」は、音声対話によるメニュー提案を実現。「鶏肉を使ったメニューを教えて?」と、使いたい食材を話すと、食材に応じたメニューを提案。メニューを決めると、自動で調理データをダウンロードし、最適な調理を行なえるようになる。

河原塚 英信