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靴や指輪にも! 「CEATEC 2015」で見つけたバラエティ豊かなウェアラブルたち

 幕張メッセで開催されているIT・エレクトロニクスの総合展「CEATEC 2015」。そのCEATECで各社が多用していたキーワードが、「ウェアラブル」と「IoT」。

 多くの製品やコンセプトモデルが発表されている中で、今後のトレンドとなりそうなものやユニークな製品を紹介していく。

バンド部に機能を持たせた、ソニーのスマートウォッチ「wena wrist」

ソニーの新規事業創出部が開発するスマートウォッチ「wena wrist」

 出展を見合わせたソニーだが、クラウドファンディング中のスマートウォッチ「wena wrist」を開発している、同社の「wena Project」だけはブースを設けていた。クラウドファンディングでは1日で1,000万円以上の資金を集め、現在は9,059万円を越えている。

 「wena wrist」は大きく3つの機能に絞り込んだ時計。一般的になりつつあるスマートウォッチとは違い、時計のヘッド部ではなく、バンド部分に機能を持たせている。

 3つの機能は、FeliCaによる「決済」と、LEDと振動モーターによるスマートフォンの「プッシュ通知」、そして歩数やカロリー数を計測する「活動量の計測」。ヘッド部分は純粋な腕時計だ。

ソニー wena事業準備室 統括課長 對馬哲平氏

 プロジェクトを主導するのは、現在22歳でありながらソニー wena事業準備室 統括課長の對馬 哲平氏。wenaを着想したのは大学生の頃だという。ガジェットが好きな對馬さんは、両手にウェアラブルガジェットを着けて過ごしていたという。だが、そのあまりの不自然さを自覚し、なんとか自然な形で身に着けられないかと考えた。

 「時計のヘッド部は、時計の文化や腕時計としての美しさを象徴していますよね。そこは大事にしながら、ガジェットとしての機能を埋め込むとすると、バンド部しかないなと思い立ちました」

 ヘッドとバンドに機能を分散させることで、バンド部のバッテリーがなくなっても、ヘッド部は関係なく動き続けるのもメリット。ちなみにバンド部の連続動作時間は1週間で、時計ヘッド部はクロノグラフモデルで約5年動き続ける。

装着感はまったくの時計。ムーブメントは時計メーカーであるシチズンから提供されている
FeliCa決済/通知/計測などの機能は、ベルト部分に搭載
機能が凝縮された部分も厚みを感じない
同社の小型化技術を使い、機能を絞り込むことで腕時計として遜色ないコンパクトに
FeliCaに対応
スマートフォンとの連携で、活動量をグラフで確認できる

指輪で家電を操作する時代が、すぐそこに!

 16Labは、電子部品メーカーのアルプス電気のブースにて、開発中の指輪型ウェアラブルコンピューティングデバイス「OZON(オズオン)」を出展。ジェスチャーコントロールで、家電やPCの操作ができるという。

 もちろんスマートフォンと連携すれば、メールや電話着信時に通知してくれ、電子決済や電子鍵機能なども搭載。ワイヤレス給電にも対応する。

16Labがアルプス電気と共同開発している指輪型のウェアラブルデバイス「OZON」。内径側はチタン材の削り出し
実演はスマートフォンを使用していたが、家電などの操作も可能だという
指輪をタップしたり手首をひねったりすることで家電の操作も可能にする

シーンに合わせて選べる、ファッション性の高い「Huawei Watch」

10月1日に発表されたばかりのファーウェイの「Huawei Watch」

 通信機器メーカーのファーウェイは、Android Wear搭載のスマートウォッチ「Huawei Watch」の最新モデルを出展していた。

 これまでのようなブラックやシルバーなどオーソドックスな色使いのモデルから、金をベースカラーに採用したモデルまでラインナップ。

 ヘッド部と合わせるバンド部も、レザーやステンレス、メッシュメタルなどをバリエーション展開。スマートウォッチとしての機能性だけでなく、使うシーンやスタイルに合わせられることを訴求している。

メッシュバンドを用意するなど、ファッション性をアップ
文字盤にあたる部分が円形のディスプレイに。少し厚みが気になる

スマートフォンのプッシュ通知に特化した“ちょっとだけ”スマートなメガネ

 スマートフォンが大事な電話の着信、メールやSMSを受信した時に、レンズを光らせることで知らせてくれるメガネ「FUN'IKI」。これは、Bluetooth 4.0でスマートフォンと連携させ、専用アプリであらかじめ設定した通知を、内蔵のフルカラーLED 6基でレンズ全体を光らせることで知らせるという仕組み。

 38.5gのメガネの中には、通信デバイスやLEDのほかにも、照度や加速度センサー、小型スピーカーが内蔵されている。アプリ開発者向けのSDKの配布も開始されているため、今後、新たな使い道が生まれる可能性もある。

外観も掛け心地も一般的なメガネ
フレーム内に搭載したLEDによりレンズを光らせる。多彩なカラーを設定できるという

もの作り大国・ニッポンを実感できる部品の数々

 「ウェアラブル」や「IoT」などのキーワードに沿った製品を作り出すには、品質を保ったまま小型化された部品は重要だ。製品として完成されたものを展示するのと同時に、それらに搭載されるセンサーなどの部品を供給する、多くのメーカーが出展しているのもCEATECの面白いところ。

指の動きで文字入力も可能な指輪型ウェアラブル

 富士通研究所が試作中の小さな指輪の中には、モーションセンサーやNFCリーダーなどを内蔵している。空中に手書きするように、文字入力も可能だという。

富士通研究所が提案する指輪型ウェアラブル
ホワイト、グレー、ブラックなどのカラーも展開されていた

 同じく富士通研究所は、センサー内蔵のシューズを参考出展。足の親指と小指、かかとの部分に圧力センサーを配置。足の動きや圧力、曲がり方などの情報を収集。データ解析することで、健康面で役立てられるのではないかとしている。

 既にジョギングシューズに圧力センサーを内蔵し、ランニングフォームを確認するのに役立てようと試みているシューズメーカーもある。こうした試みは、ますます活発になりそうだ。

参考出展された圧力センサーを内蔵したスポーツシューズ
足の親指と小指、かかと部に圧力センサーを配置したモジュール
ミッドソールにモジュールを組み込んだシューズ
シューズの角度や向きまでがデータとして収集される

メガネの本場、鯖江市と協力して作ったスマートグラス

 福井県の鯖江市と言えばメガネが有名だ。その鯖江市と村田製作所とのコラボで作られたのが「スマート眼鏡」。レンズに情報を映すAR(拡張現実)機能を搭載。フレーム脇に配置したダイヤルボタンを使って、家庭内の家電を操作できるという。

 メガネの前面にはセンサーを内蔵し、例えばテレビに顔を向けるとテレビの操作メニューが、レンズ内に表示され、ダイヤルを使って電源やボリューム操作が可能に。エアコンに顔を向ければ、エアコンの操作が可能になるという。

鯖江のメガネフレームに村田製作所などの技術を組み込んだスマートグラス
フレーム前面のセンサーで対応する家電を照合。各家電の操作メニューをARで表示する
フレーム脇のダイヤルなどによって、家電製品の操作を可能にするという
スマートフォンと連携し、対応アプリを使ってグラス部に情報の表示もできる

 さらに腕時計型のウェアラブルデバイスも展示。これは同社の、多彩なセンサーをコンパクトにパッケージングできる技術を訴求したもの。

 時計型デバイスの中には、温度/照度/気圧センサーのほか、BluetoothやNFCなどの通信系、ワイヤレス給電用のチップなども内蔵されている。こうした技術を使い、カスタマイズすることで、プロダクツメーカーはより高度でファッショナブルなウェアラブル端末を完成できる。

温度や光、気圧センサーなどを内蔵し、BluetoothやNFCなどにも対応。それでいて、この薄さ
ワイヤレス給電にも対応している
味気ないアプリだが、検出データを見ることができる

センサーの小型化で、健康管理にも役立つ

 センサーの小型化や省電力化で、色々なデバイスに各種センサーが搭載されている。中でも注目されているのが、健康管理用デバイスへの応用だ。

 太陽誘電は、セラミックコンデンサやインダクタなどの生産している。ブースで展示されていたのは、圧電圧力波(脈波)センサーを搭載した腕時計型のデバイス。動脈硬化指数や痒みやストレス、点滴漏れなどを検出できるのではないかと、病院と共同で検証中だという。

圧電圧力波センサーによって、動脈硬化指数や痒みやストレス、点滴漏れなどを検出できるという

 先日の記事でも紹介したオムロンの「超小型 貼り付け体温測定技術」も、センサーの小型化によって、24時間、常時体温を測定することを現実にしそうだ。

深部温度センサーのチップサイズは、8.1×7.7mmという小ささ。一般的な体温計で計る温度よりも、正確な深部の温度を推定できるという
チップを覆う筐体をつけてもこの小ささ

「IT」と「農業」も急接近中

 センサーと通信モジュールを組み合わせて提案される製品には、植物を遠隔で管理するものも豊富に展示されていた。

 アルプス電気は、NTTドコモやeLAB、vegetaliaなどと共同で農業向けのIoTシステムを研究開発しているという。

気圧センサーと温湿度センサーを搭載したもの。データは、低消費電力で長距離のデータ転送が可能なWi-SUNと呼ばれる通信技術を使い、ドコモの中継基地に送られる。そこから3G/LTEによってクラウドに送信されるという
小型化したセンサーモジュールの参考出展品。温湿度や照度、気圧を計測しクラウドへデータを送信する
センサーが送信したデータをタブレットで確認し、最適な温度や水やりを調整できる

 「plantweet」は、植物の状態を計測するところまでは、ほかの試みと同じ。違いは、データを収集し、どんな状態だとおいしい実を作るかや、甘い実を付けるのかなどを調査するためのデバイスという点。

植物の状態を把握するためのデバイス
内蔵しているセンサー類
植物の茎に振動センサーを着け、植物がどれだけ水を吸い上げているかを計測。元気度がわかる
センサーには送信機が取り付けられ、受信機搭載のドローンでデータを収集していく
集めたデータは、タブレットで閲覧、解析できる

河原塚 英信