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OMEGA、15,000ガウスの磁気に耐える唯一の機械式腕時計「シーマスターアクアテラ」
~今後はOMEGAの機械式時計全モデルに反映
(2013/7/3 00:00)
OMEGA(オメガ)は、15,000ガウスの磁気に耐える唯一の機械式時計「シーマスターアクアテラ“15,000ガウス”」の技術説明を都内で開催した。ステンレススティールの「ブレスレットタイプ」とブラウンレザーの「レザーストラップタイプ」の2種類が用意され、価格は順に619,500円、588,000円。日本での発売は11月を予定している。
時計の精度を狂わせる磁気に対応した機械式腕時計。OMEGA スイス本社プロダクト開発担当副社長のジャン=クロード・モナション氏によると、電機製品やマグネットから発生する磁気は、時計の精度に影響するもので、修理に持ち込まれる多くの時計は磁気の影響を受けているという。
「時計製造業にとって、磁場に影響をうけない時計の開発は命題だ。磁気は常に我々の側にあり、スマートフォンやラップトップパソコン、ラジオ、タブレット端末をはじめとするデジタル機器はもちろん、例えばハンドバッグのファスナーやマグネット、アクセサリー、キッチン設備でも、磁気は発生している。
例えば、AppleのiPadをオリジナルカバーと一緒に使った場合、合わせて30以上の磁石に触れることになり、日常生活で普通にiPadを使っているだけで、腕時計を強力な磁気に常時近づけていることになる」と話し、バッグのマグネットに機械式時計を近づけると、秒針が止まるという実演を行なった。強い磁気にさらされると、機械式時計のムーブメントが瞬時に止まってしまうのは、当たり前の事象だという。
OMEGAを始めとする時計メーカーはこれまでも、磁気に対応した機械式時計の開発に努めてきた。代表的な磁気対応の腕時計としては、ムーブメントを軟鉄性のインナーケースで覆ったものがあり、OMEGAでも同様の構造を採用した『レイルマスター』を1951年に発売している。しかし、同様の方式の時計が耐えられる磁気は900ガウス程度で、より強い磁気にさらされると、磁気を素通りさせてしまうという。また、ムーブメントケースが分厚くなってしまう、日付時計を設けられないなどの問題もあった。
ジャン=クロード・モナション氏は、これらの問題を踏まえながら、新製品について「磁気の問題を一気に解決できる画期的な製品。同製品は、世界最大級のムーブメント製造メーカーであるETA社ほか、スウォッチグループのエンジニア達によって制作されたもので、これまで磁気に反応していた全ての強磁性体部品を非磁性体部品に変更している」と話す。
会場では、ETA社の摩擦学・素材学エンジニア マシュー・ウルヴェ氏も登壇。ムーブメントの具体的な部品について説明した。「今回のムーブメントでキーとなったのは、シリコン製のバランススプリングと、チタン製のバランスホイールを持つ『8500』キャリバー(ムーブメントの設計のこと)です。このバランスホイールは、毎秒25,200回振動し、パワーは60時間持続します。さらに、15,000ガウス以上の磁気に耐えることができます」と話し、実際、強力な磁気を発生する磁石と接触しても何の問題もないことを実演した。
ジャン=クロード・モナション氏は、「これまでの時計が、浮き輪をつけないと泳げない子供だとしたら、シーマスターアクアテラ“15,000ガウス”は、北京五輪で前人未到の8冠を成し遂げたマイケル・フェルプスだ」し、「同機構は今後全てのOMEGAの機械式時計に反映される」と明言した。
本体サイズは41.5×12.95mm(直径×厚さ)。水深150mまでの防水性能を持つ。カレンダー機能も備える。