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顔熱いのに足寒い? 室内の寒暖差対策にはサーキュレーター併用を

室内寒暖差には様々なケースがある

冬になると多くの人が悩む室内の寒暖差への対処方法を、三菱電機のエアコンのプロである空調冷熱システム事業部 久田優美さんと、住環境の専門家である東京大学大学院東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 准教授 前真之さんがケース別に解説。快適に過ごすためのエアコンの上手な活用方法などを紹介している。

三菱電機が全国の30~50代の男女600名に対し行なった調査によると、室内寒暖差が気になったことがあると答えた人が80.5%に達しており、「顔まわりは熱いのに、足元などの床付近は寒い」「リビングはあたたかいのに、洗面所は寒い」などの悩みが挙げられたという。

部屋内の寒暖差対策

室内寒暖差が発生する主な要因としては、日本の住宅の断熱性能や気密性能が低い点が挙げられる。また「暖かい空気は軽く、冷たい空気は重い」という空気の特性が関係し、部屋内では暖かい空気が天井付近に溜まり、足元が冷える現象が発生しやすいという。

対策としては、暖気をまんべんなく部屋に行きわたらせることが重要とし、エアコンの機能やサーキュレーターを使用することを推奨している。エアコンの風向きを60度以上の下向きに設定し、風量を強めにすることで暖気が床近くまで届くように調整することができるという。

エアコンの風向きを60度以上の下向きに設定し、風量を強めにするとよい

サーキュレーターは、部屋全体の空気を循環させる効果が期待できる。エアコンの対角線上に配置し、吹き出し口に風を送る形で使用することを推奨する。また家具の配置にも注意が必要で、エアコン暖房の気流を妨げないよう工夫する必要があるという。

サーキュレーターを併用し、部屋全体の空気を循環させるのも効果的

また熱の流出が最も多いのは窓からだという。対策として最も効果的なのは内窓を設置することだが、難しい場合には断熱性の高いカーテンやハニカムスクリーンの利用、またはポリカーボネート板を窓に取り付ける方法も有効とする。特にポリカーボネート板は、試験により熱の流出を53%抑える効果が確認されているという。

厚みがあり、裏地がついているカーテンは断熱性が高い
ポリカーボネート板は、試験により熱の流出を53%抑える効果が確認されている
家具の配置も工夫が必要

布団内と寝室の寒暖差対策

夜間に地面から熱が放出されることで気温が下がる放射冷却により、深夜から明け方にかけて気温が最も低くなる。そのため、断熱性能が低い家や、エアコン暖房を寝る時に消す場合、寝ている間に寝室の温度が大きく下がってしまうという。

対策としては、エアコンを一晩中運転させることが推奨される。設定温度は18~23℃が目安。電気代が気になる場合は、起床1時間前にタイマーをセットして部屋を暖めておくことを勧める。

寝ている間はエアコンを一晩中運転させることが推奨される

部屋ごとの寒暖差対策

部屋ごとの寒暖差は、日本の住宅の断熱性能不足と特有の間取りのために、簡単に解決することが難しいのが現実という。

室内全体の寒暖差を減らすには全館空調の導入と併せて断熱改修を行なうことが効果的ではあるが、より手軽にできる対策として、浴室や洗面所など寒さを感じやすい場所では、小型ヒーターを使用することを推奨している。