藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

「3COINS 圧縮バスタオル」心配性の災害対策グッズその16

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
3COINS 圧縮バスタオル2枚セット

この夏は何年ぶりか、十何年ぶりにか、傘をさしているのにずぶ濡れになる経験をした。普通程度の雨の中テクテク移動中、あれよあれよという間に雨脚がガンガン酷くなり、ゲリラ化。雨粒は縦にではなく、真横からバケツをひっくり返したように吹き付けてくるなどして、傘など何の役にも立たなくなった。

まずい、雨宿りをしなければ、という判断すら間に合わない勢いの雨だった。半ばやけくそに駅までたどり着いたときには、下半身を中心に水滴が垂れる程度にビショビショで、もうどうしようかとは思ったが、身体が濡れたショックもありぼんやりそのまま電車に乗って帰宅した。

幸い電車のダイヤは乱れていなかったので風邪も引かずに済んだけれど、これはシチュエーションがちょっと何かまずい方にズレていたら、えらいことになるな、と後から思った。

当たり前だが普段の外出時にバスタオルなんか持っていない。が、このようなシチュエーションでは、バスタオル的なものが欲しかった。そうしてこのずぶ濡れ体験から程なく、たまたま通りがかった原宿の3COINS旗艦店(原宿本店)で見つけたのが「圧縮バスタオル2枚セット」だった。

約100×70cm(横×縦)のバスタオルが圧縮して梱包されている
圧縮バスタオルのパッケージ裏

これは3COINSの“もしも・いつもそばに備えておきたい「防災グッズ」”というコンセプトの防災グッズシリーズ「SOBANI」の商品の一つで、330円ではなく550円だ。

それでも圧縮されて手のひらに軽く乗るサイズの「バスタオル」なるものに惹かれ、一体どういうものかと有事ではないが実験的に圧縮を解いてみることにした。

圧縮バスタオルの中身。白いバスタオルが入っている
圧縮バスタオルを広げていく

体が濡れた時など、拭くのに使いたいバスタオルながら、水を使って濡らさなければ圧縮が解けないという点にはそれなりに「解せぬ」と思いはしたが、量にしてコップ半分程度の水でカチカチのバスタオルはあっという間にモリモリと膨らんだ。

そして微かに濡れてはいるものの、何故か圧縮のきつい部分から発熱していたために、案外カラッとした状態で広がった。ああ、なるほど、確かに、これは、「バスタオル」だ。

コップ半分程度の水をかけるとモリモリ膨らみ「バスタオル」に

勿体無いのでそのまま干して再利用することにしたが、商品として洗濯は勧められていないので再利用という想定はないのだろう。

手のひらサイズでも「もしも」の想定で普通バスタオルを持ち歩くべきかどうか……は正直なところ分からないのだが、とにかく、ここ最近の災害はこれまでの当たり前といった感覚を超えてきている。

残念ながらSOBANIラインナップは数が少ないらしく、筆者が旗艦店で発売初日に見つけてから二十日も経たずにネットショップでも「在庫なし」になってしまった。ただ、チラリチラリと新しいものが店頭に出てくる。災害対策が手薄な人が「あっ」と、気づきを与えられるような商品群だ。

「いざという時」は存外来るし、でもそれでいて「今」がその「いざ」なのかどうかはハッキリ判断しにくい。

平和ボケというのかショックによる思考停止というのか分からないが、「いざ」のとき適切に動けるのかは、自分でもよくわからない。

でも、だからこそ「練習」をしなければと思う。手近なスリコでたまたま「SOBANI」ラインナップを見つけたら、それが、災害の心構え、「練習」のチャンスなのかも知れないと思うのだ。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。