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太陽光発電をもっと効率的に使い電気代節約、パナソニックの新HEMSコントローラー

AiSEG3の7型モニター付きモデル

パナソニック エレクトリックワークス社は、太陽光発電の有効活用などを可能にするHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の中核機器「AiSEG3(アイセグスリー)」を2025年3月24日に発売する。

7型モニター付きを2モデルと、モニターなしのゲートウェイ型を用意。価格は、モニター付きでACアダプター同梱の「MKN7140」が101,420円、モニター付きで壁付電源同梱の「MKN7141」が112,200円、ゲートウェイ型「MKN706」は68,640円。

7型モニター付きモデル
モニターなしのゲートウェイ型

電気やガスの料金が高騰する中、太陽光発電システムで作った電気を自宅で使い切る自家消費が注目され、住宅のエネルギー使用量の見える化や、家電や電気設備をトータルで制御するHEMSが重要な役割を果たす。

AIでエネルギーを管理するパナソニックのHEMS機器「AiSEG」は2012年より展開し、これまで約24万件の住宅の生活データを蓄積し、活用して進化してきた。

新モデルの大きな進化点は、AI判断の改善による電気代節約(買電の抑制)や、車のバッテリーを家の蓄電池のように活用するV2Hシステムとの連携強化など。

この新しいAiSEG3は神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンのネクストモデルハウスにおいて12月より先行展示予定。

HEMSのコントローラーとしての役割を持ち、AIで賢く制御
家のドアホンや給湯リモコンなどと連携。AiSEG3対応インターホンをAiSEG3モニターとしても使える
家の照明やエアコンなど様々な家電、住宅設備と連携

電気の再エネ活用率向上で電気代削減、生活シーンに合わせた設定も

AI判断の改善ポイントは、家庭内電力需要と翌日の発電量の予想などで、太陽光発電のうち売電せず自宅で活用する自家消費率を向上し、電気代削減に貢献するという点。これにより電気の再エネ活用率76%を実現する。他社製エコキュートにも対応し、コロナやダイキンの製品をサポート予定。

AiSEG3の新機能。AI活用で再エネ活用率76%を可能にして電気代削減をサポート

従来は、翌日の天気予報が晴れの場合にのみ、エコキュートの沸き上げを昼間にシフトしていたが、AiSEG3では発電予測に日射量を使うことで予測を細分化。くもり予報でも太陽光発電の余剰電力が見込めて電気代にも効果がある場合に昼間の沸き上げを実行。昼間へのシフト量を拡大することで、買電をさらに減らすことにつなげる。

電力需要予測の精度も向上。蓄積したAiSEGデータを活用し、AI(機械学習)の手法を改善。AiSEG3は実際の平日と休日の電気使用量や気象データなどから需要を予測することにより精度を高めた。

そのほか、非常時に備えた蓄電池への充電量を確保/調整しながら、日射量にあわせて電気代の効果が出るように充放電のパターンを細分化した。

従来モデルAiSEG2は、つながった機器を一括操作するシーン数を従来の8シーンだが、新しいAiSEG3は48シーンまで拡大。生活の細かな変化に合わせたコントロールが可能。たとえば従来は平日と日曜で設定を分けていたのに対し、新モデルでは平日と土曜、日曜、さらに春夏秋冬のそれぞれに合わせて機器コントロールを変えるといった設定が可能になり、より使う人の操作が減ることにもつながる。

機器制御シーンを48に拡大

電気自動車のバッテリーを家の電気に活用するV2H連携強化

電気自動車(EV)普及により見込まれるV2H(Vehicle to Home)との連携も強化。V2Hは太陽光発電の電気などをEVの充電に使いつつ、EVのバッテリーを逆に住宅の電気としても使えるようにするシステム。EVを蓄電池のように活用することで、電力会社から電気を買う量を減らしつつ、非常時なども電気を確保できる。

EVを大容量蓄電池として活用

AiSEG3ではパナソニックのV2Hシステムとの連携を強化したことで、EVの日常走行時の充電量を維持しながら、蓄電池として活用可能。遠出の場合などは事前に利用日時設定することで、目標充電量を確保する。

また、AIソーラーチャージPlus機能で、夜間の安い電気や太陽光発電の余剰電力を活用して、EVの電気を自動で充放電。車を使わない日はEVを蓄電池として利用し、買電を抑制可能にする。

パナソニックのV2Hシステムeneplatと連携

あらかじめ電気自動車の利用日時と目標充電量を設定しておくと、夜間の安い電気や太陽光の余剰電力を使用して自動で充電する。

EVのバッテリーを家の電気として使うことにより、太陽光発電が多くない時間も買電をより抑えて電気代を少なくできる

本体デザインも新しくなり、フラットなデザインを採用。タッチパネルのモニターもカラーからシンプルなモノクロへ変更し、住宅になじみやすくした。画面デザインもピクトを用いたUIで直感的な操作を可能にするという。

操作面では、AiSEG3の画面起動時、利用可能な機能を一覧表示可能になった。設定状態が一目でわかり、設定漏れ防止をサポートする。

デザイン面の特徴

施工会社向けのメリットとしては、施工時の無線LAN(Wi-Fi)ルーターの準備が不要になった。そのほか、スマートコスモ分電盤回路設定機能を搭載し、AiSEG3の画面で設定変更が可能。設定変更にスマートコスモ自体を触ることなく、AiSEG3の画面を操作するだけで、スマートコスモの回路と機能を直接設定でき、操作の手間を省ける。

芝浦工業大学 建築学部長の秋元孝之教授(上写真)と、社会起業家の石山アンジュさん(下写真右)、パナソニック エレクトリックワークス社 エネルギー・IoTソリューションセンター ビジネス推進室 野村仁志室長(同左)によるトークセッションを実施。電気の地産地消やカーボンニュートラル、デマンドレスポンスの重要性や、身近な節電につながるAiSEG3の活用などについて語られた