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三菱の新技術、プラスチックのリサイクルコスト削減を可能に
2024年11月29日 06:05
三菱電機は21日、プラスチックのケミカルリサイクルにおける「マイクロ波加熱」を効率的に制御する、新技術を開発したと発表。これにより、プラスチックリサイクルにおけるコスト削減などを見込んでいる。
同技術は、マイクロ波を特定領域へ集中照射し、その領域内で均一に加熱できるため、加熱時間を従来方式の約1/3に短縮し、効率よく再生原料を取り出せるというもの。
プラスチックのリサイクル方法としては、日本ではプラスチックを燃料として活用する「サーマルリサイクル」が主流。一方で、プラスチックを製品の原料として再利用する「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」の重要性が高まっていると同社は説明する。
「マテリアルリサイクル」は、選別工程が多く処理可能なプラスチックの種類が限られる。プラスチック以外の素材が混在している場合でのリサイクルが困難で、リサイクルしても強度や色調などの品質が低下する。そのためリサイクル後の用途が限られてしまうという課題がある。
一方の「ケミカルリサイクル」は、化学的に分解するため、異なる素材が混在したプラスチックのリサイクルが可能で、品質も維持される。だが、加工には大量の電力が必要になるほか、従来の「外部加熱方式」では、加熱効率が悪いのが課題だった。これに対して「マイクロ波加熱」は、マイクロ波を直接プラスチックに当てるため、外部加熱方式に比べて加熱効率が良いが、加熱ムラが発生することが課題とされていた。
今回の三菱電機の新技術は、この「マイクロ波加熱」にあった従来の課題に取り組んだもの。金属で囲まれた狭い空間におけるマイクロ波の強さと広がりを調整することで、特定領域へのマイクロ波の集中照射と、その領域内での均一加熱を可能にした。これにより、加熱ムラがなくなり、外部加熱方式や従来のマイクロ波加熱に比べて約3分の1の加熱時間で、効率的に再生原料を取り出すことができる。
新技術によるプラスチックリサイクルの効率化は、新たな原料の採掘などを不要とし、非再生可能エネルギーを使用する採掘設備でのCO2排出量を削減。資源を有効活用し廃棄物を削減するサーキュラーエコノミーの実現が期待されている。