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ホタルの光を人工で再現、病原菌検出に 名古屋大と産総研
2025年1月14日 07:05
名古屋大学大学院生命農学研究科の西川俊夫教授らは、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究で、ホタルの発光物質であるルシフェリンを環境負荷の低い簡便な方法で合成することに成功。2024年12月25日に発表した。
ホタルは、発光物質D-ルシフェリンと酵素ルシフェラーゼとの反応によって発光する。この発光反応はノイズが少なく、高感度で検出できるため、病原菌などの簡便で迅速な検出法や、生命科学研究における遺伝子組換え実験やバイオイメージングで欠かせない技術として広く利用されている。しかしこれまで、ルシフェリンは、多段階での化学合成によってしか得られなかった。つまり手間がかかり、環境負荷も高く、非常に高価なものだという点が課題だった。
今回の方法は、多段階ではなく、単一の反応容器内で複数の変換を連続的に進行させるワンポットプロセスのため、後処理や精製によって生じる廃棄物が非常に少なく環境負荷を抑えられる。また原料はすべて市販されている安価なもので、反応は全てが常温、常圧という温和な条件で進行。それでいて高純度のD-ルシフェリンを得られるとする。
厳密な条件を必要とせず、実験操作も簡便であるため、今後商業ベースの生産だけでなく、合成化学者でなくても気軽に使える合成法として、広く利用されることが期待される。
なお、本研究成果は、12月25日19時(日本時間)付で英国ネイチャーパブリッシンググループ「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。