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モバイルバッテリーが雨に濡れて発火も 梅雨に注意したいポイント

持ち運びやすいモバイルバッテリー。水濡れには注意(編集部注:写真は事故の起きた製品とは異なります)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は5月28日、雨で濡れて起こるリチウムイオン電池の事故事例を発表した。リチウムイオン電池は水との相性が悪いため、特に梅雨時期はモバイルバッテリーなどの持ち運びに注意が必要としている。

【事例1】電動工具用バッテリーの事故

車両内にバッテリーを装着した電動工具を置いていたところ、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。使用者は事故発生前日に、電動工具に当該製品を装着した状態で軽トラックの荷台に載せ、1時間程雨に濡らしていた。

当該製品は電池セルの焼損が著しく、製品起因か否かを含め事故原因の特定には至らなかったが、雨水の浸入によりリチウムイオン電池セルの外部でショートした可能性が考えられる。

【事例2】充電式のスティック型電気掃除機の事故

充電式のスティック型電気掃除機及び周辺を焼損する火災が発生した。使用者は当該製品を廃棄する予定で、約1年半前から屋外の軒下外壁に立て掛けて放置しており、事故発生当日は雨が降っていた。

当該製品を長期間屋外に放置したため、雨水等が当該製品内部に浸入して制御基板に付着し、リチウムイオン電池セルに接続されているリード線の接続部間でトラッキング現象が発生。電池セルがショートして発熱し、出火に至ったものと推定される。

【事例3】モバイルバッテリーの事故

火災警報器が鳴動したため確認すると、モバイルバッテリー及び周辺を焼損する火災が発生していた。当該製品は棚に収納されていたが、事故発生時は床上にあり、約30cmの炎を上げて焼損。使用者は事故発生の2日前に外出した際に当該製品を雨で濡らしており、当該製品が正常に動作しなくなったため棚に保管していた。

当該製品は焼損が著しく、製品起因か否かを含め事故原因の特定には至らなかったが、雨の影響で内部のリチウムイオン電池セルが異常発熱し、出火した可能性も考えられる。

リチウムイオン電池搭載製品の使用時の注意

リチウムイオン電池の内部にいったん水が侵入すると、放置しているだけでも内部の回路基板のショートやトラッキング現象が起こり、発熱、出火に至る可能性があるという。

NITEはこうした事故を防ぐため、リチウムイオン電池搭載製品を使用する際は以下に注意するよう呼びかけている。

  • リチウムイオン電池搭載製品を水に浸したり、過度の湿気にさらしたりしない
  • リチウムイオン電池搭載製品は、水に濡れやすい場所から離れた、乾燥した安全な場所に保管する
  • 湿気が懸念される環境にリチウムイオン電池搭載製品を持ち運んだり保管したりする場合は、防水ケースまたはカバーを使用する

もし水没させたり、水が掛かったりした場合は、取扱説明書を確認するかメーカーや販売店に連絡し、再度使用して問題がないかを確認する。また濡れた直後に電源を入れると、ショートして異常発熱、発煙などが発生するおそれがあるため注意が必要としている。