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三菱の宇宙用バッテリー、月を周回する有人拠点へ

写真右が月周回有人拠点「ゲートウェイ」で、左がゲートウェイ補給機の構想図 (c)JAXA

三菱電機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から、月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」向けの、宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注したと発表した。

米国が主導する月面探査プログラム「アルテミス計画(Artemis Program)」では、日本の貢献分野として、ゲートウェイ居住棟への機器(バッテリー等)の提供に向けた協力について合意されている。

そのアルテミス計画において、同社は既に居住・ロジスティクス拠点(Habitation and Logistics Outpost)向けと、国際居住棟(International Habitation Module)向けの宇宙用リチウムイオンバッテリーを受注している。今回の受注が3例目となり、これまで日本が担当した宇宙用リチウムイオンバッテリーの全ての製造を、同社が担うことになる。

今回受注したリチウムイオンバッテリーの概要は、本体サイズが623×245×359mm(幅×奥行き×高さ)で、重さが61.4kg。主に190Ahリチウムイオンバッテリーセルとバイパススイッチで構成され、設計寿命は15年以上。

ゲートウェイ向けリチウムイオンバッテリー

同社の宇宙用リチウムイオンバッテリーは、ロケットでの打上げ時の強い振動と、ロケットから衛星を切り離す時に起こる衝撃、真空・放射線環境、排熱などを考慮し、局所的な応力集中を緩和するシェルフレーム構造を採用。また、エネルギー密度の高い長楕円円筒形の大容量セルを効率的に個別で実装し、内部温度を均一化することで、機械耐性と熱耐性を確保し、万が一の搭載部品の故障に対応するための保護機能を保有しているとする。そのうえで、モジュール性を考慮した構造とし、拡張性を実現。

さらに独自のバイパススイッチを採用することで、バッテリーセルが故障した場合でも、バッテリーの充放電経路を確保することで、バッテリー機能を維持するという。

なお同社は、宇宙用リチウムイオンバッテリーを、海外衛星向けに2005年以降に300台以上を納入済み。その全てが正常に動作し続けているとする。