ニュース

月面着陸した探査機SLIM 三菱電機がシステムを開発

SLIMのイメージ図 (C)JAXA

三菱電機は、小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon、以下 SLIM)に関して、日本時間の1月20日午前0時20分に、月面への着陸が確認されたことを発表した。

なおSLIMは、同社が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注し、全体のシステム開発を担当。今回のSLIMによる月面着陸は、日本初であり、旧ソ連、米国、中国、インドに続く、世界で5カ国目となる。

SLIMプロジェクトの主な目的は2つ。1つは、小型の探査機による月への高精度着陸技術の実証。また軽量な月惑星探査機システムの実現による月惑星探査の高頻度化を目的とする。SLIMは、そのために開発された小型の探査機で、2023年9月7日にH-IIAロケットによって打ち上げられた。

SLIMプロジェクトにおける三菱電機グループの担当領域

三菱電機は2015年度にSLIMのシステム開発をJAXAから受注。主に鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)でSLIM全体の設計・製造・試験を担当してきた。SLIMを構成する以下の搭載機器等について、当社と同社子会社である三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ株式会社(以下 MEDS)が開発した。

SLIM構成の搭載機器は、着陸レーダーと統合化計算機および搭載ソフトウェア、通信系機器、電力制御分配器。なお着陸レーダーのアンテナと計装系は三菱電機、電気ユニットはMEDSが開発担当。通信系機器においては、Sバンドトランスポンダ、Sバンドダイプレクサ、Sバンドアンテナは三菱電機、SバンドハイブリッドはMEDSが開発を担当。電力制御分配器は、MEDSが担当している。

SLIMは、これまでの海外の探査機に比べて、着陸地点の精度を数kmから100mオーダの精度でピンポイントに着陸。岩石やクレータなどの障害物を自動で検知することで、障害物を避けた安全な地点に着陸することが可能だとする。また質量を数分の1以下の730kgに軽量化している。

同社は、今後も保有する先端技術の更なる強化を図り、国際協力で推進されているアルテミス計画等への参画を通じて、持続的な宇宙探査活動の確立や人類の活動領域の拡大等に貢献していくとしている。

なおJAXAは、SLIMが月面へ着陸したことと、着陸後に通信が確立していることも確認。ただし、太陽電池が電力を発生していない状況で、現在、月面からのデータ取得を優先して実施する。今後、取得できたデータの詳細な解析を進め、状況等を随時発表していく。