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エアコン風量は弱or自動のどっちが節電? ダイキンが検証
2024年5月3日 09:05
ダイキン工業は、節電方法として誤解されやすい4つのケースについて、効果的な節電方法と具体的な節電効果を検証した。また「切タイマー運転」と「つけっぱなし運転」についても、暑さ指数「WBGT」の観点から検証している。
風量設定は「自動」の方が節電に。「弱」は涼しくなるまでに時間がかかる
エアコン冷房の風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8時~19時)つけっぱなしにして消費電力量を計測したところ、風量「弱」が3.85kWh、「自動」が2.79kWhと、風量「自動」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になった。1カ月あたりの電気料金では、風量「自動」は「弱」と比べて電気代が約990円少なくなる。
理由は、風量「弱」にすると、室内機の中にある冷たくなった熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかるためである。風量「自動」に比べて風量「弱」の方が、エアコンの消費電力の約8割が使われているという圧縮機の運転にかかる負荷が増加し、より多くの電気を使ってしまう結果となった。
風向設定は「水平」が正解。空気の温度による重さの性質がカギ
エアコン冷房の風向設定「ななめ下」と「水平」それぞれで、日中11時間(8時~19時)つけっぱなしにして消費電力量を計測したところ、「ななめ下」が3.76kWh、「水平」が2.77kWhと、風向「水平」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になった。1カ月あたりの電気料金では、風向「水平」は「ななめ下」と比べて電気代が約930円少なくなる。
理由は、冷たい空気は重く、床付近にたまる性質があるためである。風向を「ななめ下」にすると、床付近に冷たい空気がたまる一方で、天井付近には暖気がたまる。天井に暖気がたまっていると、一般的なエアコンは高い位置にある室内機内部の温度センサーで室温を判断するため、床付近が十分涼しくなっていても、エアコンはさらに部屋を涼しくしようと必要以上に運転してしまう。
風向を「水平」にすると、冷たい風が天井付近から床方向に自然に下りていくため、余計な電力消費を抑えながら、部屋全体を涼しくすることができる。
消費電力量は約半分! 設定温度を下げるより、風量設定を「強」に
エアコン冷房を使っていても暑く感じることがある真夏の日中(13時~15時)、設定温度を1℃下げるのと、風量設定を「強」にするのとではどちらが節電になるのか、消費電力量を計測したところ、設定温度を1℃下げると1.13kWh、風量「強」にすると0.52kWhと、風量「強」の方が消費電力量が約半分になる結果となった。
理由は、設定温度を下げたとき、エアコンは室内の空気中からより多くの熱を集めるために、圧縮機の運転を強めるからである。風量を「強」にすると室内機のファンの音が大きくなり、電気をたくさん使っているように感じるが、ファンが使う電力は、圧縮機が消費する電力と比べるとわずかという。
室外機に濡れタオルは不要。余計に電力を使う結果に
近年SNSで話題となっている、エアコンの室外機の上に濡れタオルを設置すると節電になるという噂も検証。
室外機の上の濡れタオル「あり」と「なし」それぞれで、日中11時間(8時~19時)つけっぱなしにして消費電力量を計測したところ、濡れタオル「あり」が3.87kWh、「なし」が2.77kWhと、濡れタオル「なし」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になった。1カ月あたりの電気料金では、濡れタオル「なし」は「あり」と比べて電気代が約1,020円少なくなる。
理由は、濡れタオルが室外機側面の吸込口や吹出口の一部に垂れ下がり、空気の通り道をふさいでしまったためと考えられる。エアコンは、室外機の吸込口や吹出口の空気の流れを妨げられると運転効率が落ち、その分余計に電力を使ってしまうという。
エアコンは、室外機周辺の空気の温度や、室外機の側面や背面にある熱交換器の温度が下がれば、効率的な運転につながるため、室外機に日陰を作ったり、室外機周辺に打ち水をしたりすると節電効果が期待できるとする。
睡眠時は朝まで「つけっぱなし運転」の方が快適
また夏場の睡眠時にエアコンを使う際のおすすめは「切タイマー運転」(就寝後3時間でエアコンOFF)か、朝まで「つけっぱなし運転」かを、暑さ指数「WBGT」の観点から調査した。
なお暑さ指数「WBGT」は熱中症のリスクを評価する指標で、気温/湿度/日射・輻射/風をもとに算出される。単位は℃。室内では暑さ指数「WBGT」が25℃以上で熱中症「警戒」とされている。
調査の結果、つけっぱなし運転の場合は、睡眠時の暑さ指数「WBGT」が23℃ほどに抑えられた一方で、タイマー運転の場合の暑さ指数「WBGT」は、明け方には熱中症への警戒が必要とされる25℃近くにまで達する結果となった。
夜間の温度上昇は、夜中の目覚めや睡眠の質の低下にもつながる可能性もあるため、注意が必要とする。