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スプレー缶の誤った使用で火災の危険。「穴あけ禁止」の地域も
2022年9月8日 10:05
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、スプレー缶の取り扱いに気を付けるよう注意喚起している。夏によく使われた殺虫剤や冷却剤などのスプレー缶は、使い方や処理を誤ると火災や破裂といった事故につながりかねない。NITEに寄せられた実際の事故情報をもとに、スプレー缶を取り扱う際の注意点を紹介する。
車内にスプレー缶を放置し破裂
車のダッシュボードにスプレー缶を置いていたところ、缶が破裂しフロントガラスが割れる事例が発生した。直射日光によりスプレー缶が加熱され、内圧が上昇して破裂したものと思われる。
スプレー缶は高温にさらすと破裂の危険がある。直射日光や火気の近くに置かないよう呼び掛けている。夏であれば車内は高温になるためスプレー缶を放置するのは危険という。
冬季は、暖房器具のそばにスプレー缶を置かないよう注意が必要だ。破裂の危険だけでなく、破裂して噴き出たガスに引火する危険もある。石油ファンヒーターの前にスプレー缶を置いていたために破裂し、窓ガラスが割れて天井に穴が開き、布団が焦げた事例も報告されている。
スプレーのガスが引火することも
スプレーを使用するときは、使用する場所にも注意がいる。ある事例では、浴室の壁内部に発生したシロアリを駆除するために屋外から壁内部に向けて殺虫剤を噴射したところ、周辺を焼損する火災が発生した。殺虫剤を使用した付近に給湯器の排気口が設置されていたため、可燃性ガスに引火したものと考えられる。
スプレー缶には可燃性ガスが充填されている製品もあるため、火気の近くで使用すると引火の危険がある。上の事例で引火した排気口付近は、温度が50~200℃にのぼると言われている。他の事例では、殺虫剤がガスこんろや風呂釜に引火して火傷や火災に至っている。
また、NITEの再現実験では、冷却スプレーを身体にかけたあとにライターを使用したところ、シャツに引火した。スプレーを使った後に近くでライターやこんろを点火しないよう呼び掛けている。
スプレー缶の穴あけ中に火災も。穴あけは自治体の指示を確認
洗面台付近でスプレー缶の穴あけ作業を行なっていたところ、火災が発生した事例も。換気の悪い場所でガス抜き作業を行なったため、洗面台周辺に可燃性ガスが滞留し、衣類の静電気の火花が着火したものと考えられる。
スプレー缶の中身が残った状態で穴を開けると、漏れた可燃性ガスに引火するおそれがある。スプレー缶を捨てる前に、スプレーを押して中身を出し切るよう注意喚起している。スプレー缶を振って「シャカシャカ」と音のする場合は中身が残っているという。
なお、自治体によっては、穴あけ中の事故防止のためスプレー缶の穴あけを行なわないよう呼び掛けていることもある。例えば、東京都23区はすべて、スプレー缶を処分する際に穴を開けるよう指示しておらず、「できるだけ中身を使い切って、容器には穴を開けずに出してください」(千代田区)等と推奨している。自治体の指示に従ってスプレー缶を処分してほしい。