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炭酸水は料理にも活躍!? 日本上陸したソーダストリームの工場を見てきた
2021年6月22日 08:00
海外では古くから愛飲されている「炭酸水」。レストランや飛行機などでも、ジュースやミネラルウォーターと同様に“Gas Water”も用意されているのが一般的だ。
日本で甘くない「炭酸水」そのものを飲むようになったのは、5~6年前にコンビニで500mlの炭酸水が販売されるようになってからだろう。
その後、一気に注目を集め出したのが自宅で炭酸水が作れる「SodaStream(ソーダストリーム)」。炭酸水メーカーの会社はいくつもあるが、人気ランキングの上位を占めているのが同社製品だ。
ソーダストリームが人気の秘密とは?
SodaStream社は1903年に誕生し、もともとは貴族が愛飲する炭酸水を作っていた。そして創業からおよそ120年経つ今では、世界ナンバーワンの老舗炭酸水メーカーとなっている。人気の秘密の一つは、数種類ある炭酸水メーカーの機械(それぞれにカラーバリエーションもある)の中から自分にぴったりのモデルを選べる点。
交換が必要になる炭酸のシリンダー(ボンベ)は、家電量販店やホームセンター、さらには通販でカンタンに入手できる。さらに1本のシリンダーで500mlのペットボトル120本分(強炭酸水を作ると半分程度)の炭酸水が作れるので、1本あたりの価格はなんと18円というリーズナブルさだ。コンビニなら100円、格安店でも50円ほどするので、どれだけお得か分かるだろう。
機械は手動で溶かす炭酸の量を調整するリーズナブルなものから、微炭酸、通常、強炭酸をボタンひとつで自動的に作れる電動式まである。
さらに同社が販売するフレーバーにも注目だ。作った炭酸水に専用のシロップを入れると、オーガニックなフルーツテイストからコーラ、ジンジャエールまでできる他、お酒を割るのに便利なレモンやライムのフレーバーをつける香料も販売している。
老舗の炭酸水メーカーの会社として、自分にピッタリの美味しい炭酸を安く提供する。それがSodaStreamなのだ。
環境問題を考える「プラスチック ファイター」という考え
すべてのペットボトルを地球上からなくすことはできないが、ソーダストリームを使うとマイボトルに炭酸水を作れるので、ペットボトルの大幅削減ができる。同社の売り上げは、世界中で高まるプラスチックごみ削減の流れで2020年に比べ145%増になったという。結果としてそれまで「670億本のペットボトルを削減する」という目標を「およそ20%増の780億本」に上積みしたほどだ。
筆者は毎晩焼酎の炭酸割りを飲むので、ペットボトルとカンのゴミ箱は1週間もしないうちにパンパンになっていた。しかし炭酸をソーダストリームで作るようになってから、ゴミ捨ての回数は半分に減ったほどだ。
また同社によれば、世界で累計すると年間800万tのプラスチックがゴミとして海に流れ込んでいるという。800万tというとピンと来ないが、スカイツリー222基分だという。これは全世界で30秒に8tと一般的なトラック2台分が排出されているのと同じだ。
こうしてリサイクルできずにゴミとして海に流れ込んだプラゴミは、やがて5mm以下の小さなプラスチックに分解され、魚たちはこれを食べてしまっているという。
このような情況を踏まえてSodaStream社は「プラスチック ファイター」という取り組みを始めている。これは全世界で海に流れ着いたゴミを拾ったり、リサイクルの啓蒙をする活動だ。
日本で高まる「炭酸水」需要と環境保全のために岐阜にガス充填工場を新設
このように環境への配慮を考えるSodaStream社が、カーボンゼロ(CO2排出量ゼロ)を目指して行なったのが、岐阜県土岐市に新設したボンベ充填工場「ソーダストリーム ジャパンシリンダーファクトリー」だ。6月1日から運営が開始されている。
炭酸水に必要不可欠な液化炭酸ガスは、頑丈なプリングルズ(ポテトチップ)サイズのシリンダーで提供されている。500mlの炭酸水120本を作れる量なので、かなり高圧でシリンダー自体も頑丈なのが想像にたやすいだろう。
そのためソーダストリームのような大きなシリンダーを使う機種は、必ず使用済みのシリンダーと交換で新しいガスを購入するようになっている。つまりシリンダー自体にデポジットが含まれているというわけだ。回収された空のシリンダーは、再び充填工場に送られ再充填されて、店頭や通販で販売される。
しかしこれまでソーダストリームの再充填工場は日本になく、シリンダーはオーストラリアをはじめとした海外を往復していたのだ。そのため輸送にかかる燃料や排気を同社は問題として捉えていた。そこでプラスチック ファイターの旗を掲げるSodaStream社は、日本にガス再充填工場を開設し、輸送による地球環境への問題にも着手したということだ。
新設された工場は、岐阜県土岐市の山を切り開いた工業団地にある。青空に映える白い工場には、巨大な液化炭酸ガスのタンクがそびえ、コーポレートカラーの水色が冴え渡る。
現在は充填ライン1本が稼働中であったが、すぐ脇には増設用のラインの機材などもあり逐次拡充していくようだ。さらに巨大なストックヤードも備えているので、徐々に国内のみで「空シリンダーの回収→再充填→出荷」のリサイクルが構築できそうだ。
料理にも重宝! ソーダストリームを楽しむためのワンポイントアドバイス
ここで工場新設の話題から少し離れるが、発表会の雑談などで出た「炭酸水ワンポイント豆知識」を説明していこう。
強炭酸にするなら冷たい水を使う!
常温の水で炭酸水を作り冷蔵庫で冷やすのではなく「冷たい水で炭酸を作る」のがベスト。冷水の方が炭酸が溶けやすいので、強炭酸水を作る場合はキンキンに冷やした冷水を使おう!
天ぷらの衣がお店のようにサクサクに!
天ぷらの衣は氷水を使うと良いとされているが、炭酸水を使うと揚げた時に炭酸ガスが熱を持ち衣の中から加熱できるだけでなく、衣がサクッとワンランク上の天ぷらになる。
煮物に使うと煮込み時間が短縮でき味が染み込みやすく
たとえば肉じゃがや筑前煮、カレーやシチューなどに炭酸水を使うと、水で煮込むより短時間で具材を柔らかくできる。さらに味の染み込みも良くなるので、おでんなどにダシの味が染み込みやすい。ごはんを炭酸水で炊くという人も多く、ふっくらと炊きあがり冷めても美味しいごはんになる。