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LG、4Kチューナー内蔵のIPS液晶テレビを、43インチ・11万円から ~普及帯ながらAI搭載で音声操作のほか各種自動調整も

 LGエレクトロニクスは、2019年モデルのIPS液晶テレビ5シリーズ・10モデルを4月25日に発売する。価格はオープンプライス。49~75インチをラインナップし、店頭予想価格は110,000円~430,000円前後(税抜)。

LGエレクトロニクスのIPS液晶テレビ2019年モデル、5シリーズ・10モデル

 IPS液晶テレビ新シリーズの大きな特徴は、全モデルに広視野角を実現したIPS 4Kパネルを採用したことと、新4K衛星放送対応チューナーを内蔵した点にある。リビングのどこにいても、新4K衛星放送を含めたさまざまな映像コンテンツを高精細な映像で楽しめるという。

 2018年から搭載しているLG独自のAI(人工知能)プラットフォーム「LG ThinQ(シンキュー)」もさらに進化。音声アシスタントの「Googleアシスタント」と連携しながら、自然な会話感覚での音声操作が可能になった。Amazonの音声アシスタント「Amazon Alexa」を利用した音声操作にも対応する。

 全モデルに映像エンジン「α7 Gen2 Intelligent Processor」を採用し、視聴コンテンツに合わせて自動的に最適な画像処理を行なう「AI映像」と音質調整を行う「AIサウンド」を搭載している。

LG独自のAIプラットフォーム「LG ThinQ」もさらに進化した
全モデルに映像エンジン「α7 Gen2 Intelligent Processor」を採用する

 LGエレクトロニクス マーケティングチーム 部長の金 東建氏は「昨年同様、幅広いラインアップを維持しながらAIで画質・音質を強化し、有機ELテレビと液晶テレビの全19モデルに新4K衛星放送対応チューナーを搭載しました」と語った。

LGエレクトロニクス マーケティングチーム 部長の金 東建氏

2019年は、2010~2011年以来の大きな商戦が見込まれる

 LGエレクトロニクス マーケティングチーム 課長の金 敬花氏は、2019年の日本市場について、2011年のアナログ放送停波以来の大きな商戦になるとして、以下のように語った。

 「国内におけるテレビ製品販売台数は(アナログ放送停波を控えた)2010年、11年から低迷してきましたが、2019年は実質的な買い替えサイクルである9年目にさしかかります。ベゼルが細くなり、薄型化が進んだことや、映像コンテンツ環境の変化もあり、より高解像度かつ大型化の道を進む見通しとなっています」

 また大型テレビ市場では、55インチの規模が大きくなっているだけでなく、2015年にLGが販売開始した55インチ有機ELテレビが牽引することで有機EL市場が急速に拡大しているという。

 「65インチ、70インチといったさらに大型なテレビ製品の販売台数も直近の数年で急激に伸びており、今後は『大型テレビ』の概念が55インチではなく、65インチ、さらには70、80インチというようになっていくものと思われます」(金 敬花氏)

LGエレクトロニクス マーケティングチーム 課長の金 敬花氏

 2019年にはFIFA 女子ワールドカップ フランス 2019、ラグビーワールドカップ 2019 日本大会などの世界的なスポーツイベントがあり、10月には消費増税も予定されている。さらに2020年には東京オリンピックが開催される予定だ。2010年、11年頃には32インチや37インチクラスが主流だったが、狭額縁化が進んだことから同じスペースでも40インチ、50インチといった大画面テレビを置けるようになった。

 こうした市場環境を背景に、LGが液晶テレビのラインアップにおいて選択したのは「手の届きやすい液晶テレビでも高画質な4K放送を楽しめる(金 敬花氏)」というコンセプトだ。

4KチューナーとAIによって手軽に高画質・高音質を楽しめる

 新シリーズの大きなポイントは「新4K衛星放送対応チューナー搭載」と「LG ThinQ AIによる画質・音質・使い勝手の最適化」にある。

 ケーブルテレビなども含め、従来のBS放送を視聴できる環境であれば、2018年12月にスタートしたBS 右旋 4K放送6チャンネル(BS 日テレ 4Kは2019年9月開始予定)を、アンテナをつなげるだけで視聴できる。BS 左旋、110度CS 4K放送は別途アンテナなどの設備が必要だが、4Kコンテンツの視聴がより身近になった。

 LG ThinQ AIはLGが独自に開発したAIプラットフォームで、2018年モデルよりも進化した「α7 Gen2 Intelligent Processor」を搭載。

 「ディープラーニング技術を活用することで、操作性や快適性だけでなく、画質も音質もすべてAIが認識してプロセッサー側でより最適に処理します。テレビが放送だけを映すだけのデバイスではなくなり、今まで以上にさまざまな方法でさまざまなクオリティーのコンテンツを楽しみ、自ら選んで見るようになりました。そういった時代への新しいアプローチです」(金 敬花氏)

 「AI映像」をオンにすると、4K映像や2K映像などさまざまな映像を認識し、その特性に合ったノイズ低減やシャープネス調整などの画質処理方法を選択する。「映像に合った処理をすることで、よりリアルで臨場感あふれる視聴体験を提供します」(金 敬花氏)

AI映像のイメージ

 「AI輝度」をオンにすると視聴環境の明るさを認識し、映像の特性に合わせて輝度を細かく自動調整してくれる。昼間などの明るい部屋で視聴する際には暗い部分がつぶれて見えなくなる場合があるが、AIが映像全体を明るくするのではなく、暗部の輝度を最適化することで見やすくするようになっている。

AI輝度の有無の比較

 音質面では、通常のステレオ音声をバーチャル5.1サラウンドに変換する「AIサウンド」を搭載。全モデルで本格的なサラウンド体験を楽しめる「Dolby Atmos」に対応しているのも魅力だ。

リモコンに話しかけるだけで自動的に音声アシスタントを選択

 年を追うごとに高機能化・多機能化が進むテレビだが、それを手軽に使いこなせるという意味でも進化している。

 新モデルでは音声アシスタントとしてGoogleアシスタントとAmazon Alexaの両方に対応するが、LG ThinQ AIがその前段に入るようになっている(Amazon Alexaはリモコンのボタンを押して呼び出す仕組み)。

 「リモコンのマイクボタンを押して音声指示することで、まずはLG ThinQ AIがその音声を受け取り、Googleアシスタントが得意な部分はGoogleアシスタントの情報を提供します。反対にGoogleアシスタントではできないテレビの細やかな動作などはLG ThinQ AIが自ら操作をするという仕組みです」(金 敬花氏)

独自の音声アシスタント「LG ThinQ AI」を搭載し、GoogleアシスタントとAmazon Alexaの両方に対応する
「今日の天気は?」と話しかけると、自動的にGoogleアシスタントの結果を表示する

 LG ThinQ AIは会話形式の音声認識にも対応するとのことだ。例えば「スリープタイマーをかけて」と話しかけると、LG ThinQ AIがスリープタイマーを起動する。その後に「30分に設定して」と話しかけると、その前に指示した「スリープタイマー」という言葉からスリープタイマーを30分に設定する。その後に「やっぱりオフにして」と話しかけると、AIはその前の「30分」、さらに前の「スリープタイマー」という言葉の記録から、スリープタイマーをオフにできるという。

「スリープタイマーをかけて」と話しかけると、本体の操作が得意なLG ThinQ AIがメニューを開く
以前の会話内容を記憶し、その内容から機能を選択できる

 そのほか、リモコンの「Netflix」ボタンを押したり、Amazonプライムビデオ機能を起動したりしなくても、最新のコンテンツを一覧表示できる「AIランチャー」や、今までの視聴履歴からおすすめの番組やアプリなどをお知らせしてくれる「AIお知らせ」なども搭載する。

 さらに新モデルでは、テレビに接続された機器はもちろん、同じホームネットワークにつながっているAI家電やスマートフォンなどを一つに集約した「ホームダッシュボード」も新たに搭載した。テレビを見ながら子画面でWebブラウザーを立ち上げて調べ物などをしたり、スマートフォンの画面を子画面としてテレビに表示するといった使い方も可能だ。また、ソフトウエアアップデートによって、アップルのワイヤレス再生機能「AirPlay 2」への対応も予定している。

「AIランチャー」を開いたところ。リモコンで「Amazonプライム」にカーソルを当てると、自動的にコンテンツリストがポップアップ表示されるのが便利だ
AI家電やスマートフォンなどを一つに集約して表示する「ホームダッシュボード」の画面

画質を追求したモデルと普及価格帯モデルに分かれる

 新モデルは画質を追求した「LG NanoCell TV AI ThinQシリーズ」3シリーズ6モデルと、普及価格帯の「LG UHD TV AI ThinQシリーズ」2シリーズ4モデルに分かれる。

4つの「ナノテクノロジー」を採用する「LG NanoCell TV AI ThinQシリーズ」

 「LG NanoCell TV AI ThinQシリーズ」は、65/55インチの2機種をラインナップする「SM9000Pシリーズ」、75インチ1機種のみの「SM8600Pシリーズ」、65/55/49インチの3機種をラインナップするを「SM8100Pシリーズ」の3シリーズからなる。店頭予想価格は順に300,000円前後、220,000円前後、430,000円前後、230,000円前後、180,000円前後、150,000円前後(いずれも税抜)。

SM9000Pシリーズの65インチモデル「65SM9000PJB」
SM9000Pシリーズの55インチモデル「55SM9000PJB」
SM8600Pシリーズの75インチモデル「75SM8600PJB」
SM8100Pシリーズの65インチモデル「65SM8100PJB」

 最上位モデルのSM9000Pシリーズのみ、細かい部分制御が可能な直下型LEDバックライトによって明暗をコントロールする「NanoBlack」を搭載。3シリーズとも1ナノメートルの極小粒子を精密に敷き詰めた独自の「Nano Cell Display」によって色ノイズを抑え、赤や緑の色の純度や濃さをアップした「NanoColor」を採用する。さらにSM8600シリーズを除く2シリーズはフレーム幅を極めて細くした「NanoBezel」も採用している。

 そのほか、SM9000P/SM8600Pシリーズは4KのHFR(High Frame Rate)規格にも対応し、秒間最大120フレームの表示が可能だ。新モデル全シリーズが新4K衛星放送などにも採用されるHDR(High Dynamic Range)規格に対応するが、SM9000P/SM8600Pシリーズはベースとなる「HDR10」や4K衛星放送に採用される「HLG」に加えて、Ultra HD Blu-rayなどに採用されている「ドルビービジョン」や「Advanced HDR by technicolor」にも対応する(SM8100PシリーズはHDR10、HLGのみ対応)。

LG NanoCell TV AI ThinQシリーズは4つのナノテクノロジーを採用する

普及価格帯ながらHDRやDolby Atmosにも対応する「LG UHD TV AI ThinQシリーズ」

 「LG UHD TV AI ThinQシリーズ」は、65/55/43インチの3機種をラインナップする「UM7500Pシリーズ」、49インチ1機種のみの「UM7100Pシリーズ」の2シリーズ。店頭予想価格は順に、210,000円前後、160,000円前後、110,000円前後、130,000円前後(いずれも税抜)。

 普及価格帯モデルながら、4K放送などのHDR規格に対応(HDR10、HLGに対応)し、サラウンド規格のDolby Atmosにも対応する。UM7500Pシリーズは2倍速相当の倍速機能を搭載するが、UM7100Pシリーズは搭載していないという違いがある。

UM7500Pシリーズの65インチモデル「65UM7500PJB」
UM7500Pシリーズの43インチモデル「43UM7500PJB」
UM7100Pシリーズの49インチモデル「49UM7100PJB」

有機ELテレビもさらなる普及を狙う

 また、有機ELテレビ4シリーズ・9モデルも同時に発売される。ハイエンドモデルについて金 敬花氏は「ハイエンドの『LG SIGNATURE』 W9Pシリーズは家電の本質と価値を追求し、新たなライフスタイルを提案していくLGのプレミアムブランドです。壁に貼り付けたようなデザインを踏襲した形で今年もデザインを展開しています」と語った。

 「LG SIGNATURE OLED」は、「OLED W9Pシリーズ」が77/65インチの2機種、「OLED E9Pシリーズ」は65/55インチの2機種、「OLED C9Pシリーズ」は77/65/55インチの3機種、「OLED B9Pシリーズ」は65/55インチの2機種をラインナップ。店頭予想価格は順に、1,700,000円前後、750,000円前後、550,000円前後、400,000円前後、1,200,000円前後、500,000円前後、350,000円前後、450,000前後、300,000円前後(いずれも税抜)。

 E9Pシリーズはガラスの上に有機ELパネルを貼り付けたような「Picture on Wall」デザインを採用するモデル。

 C9Pシリーズは「今後ますます拡大する有機ELテレビ市場の牽引役となるシリーズで、スタンダードモデルにもかかわらず55、65インチのほか75インチもラインナップしています」(金 敬花氏)とのことだ。

 B9Pシリーズは新4K衛星放送対応チューナー搭載の有機ELテレビをリーズナブルな価格で欲しいというユーザー向けに映像エンジンやチューナーなどを少しシンプルにし、「気軽に使える有機ELテレビとして提供します」と金 敬花氏は話していた。

LG SIGNATURE OLED W9Pシリーズ
左からOLED E9Pシリーズ、OLED C9Pシリーズ、OLED B9Pシリーズ