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シャープ、乾燥フィルターを自動掃除できるAIoT「ドラム式洗濯乾燥機」

 シャープは、新開発のAIoTクラウドサービス「COCORO WASH」と連携するほか、乾燥フィルターを自動掃除できるドラム式洗濯乾燥機「ES-W111」を11月29日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は34万円前後(税抜)。

ドラム式洗濯乾燥機「ES-W111」

新開発「COCORO WASH」対応、スマホとスマートスピーカーに連携

 洗濯/乾燥容量が11kg/6kgのドラム式洗濯機。新開発のAIoTクラウドサービス「COCORO WASH」と連携し、乾燥フィルターを自動掃除できる点が特徴。AIoTクラウドサービスとして、新規に「COCORO WASH」が追加され、これに対応する初の洗濯機となる。

 無線LANを搭載し、専用スマートフォンアプリ「COCORO WASH」での操作が可能。洗濯機の電源を入れると、クラウド上の天気情報とともに、洗濯のアドバイスをしてくれる。例えば、花粉が飛散していれば乾燥機の利用を促したり、天気が良い日にはカーテンの洗濯を勧めたりする。洗濯時は、アイテムや汚れの種類から、コースを選んで実施する。

 また洗濯コースのダウンロードも可能で、カーテンコースやペット用品コースなど、全32コースが利用できる。ダウンロードできるコースの一覧画面が用意されているわけではなく、電源を入れたときに洗濯をおすすめされた場合、アイテムや汚れを選んだ場合など、いずれも画面に従って進んでいくことで、コースをダウンロード仕組み。ダウンロードしたコースは、洗濯機に1つのみ保存でき、別のものを使う場合は常に上書きされる。

 またスマートフォンでは、洗濯の残り時間の確認したり、洗濯完了やお手入れ時期の到来、エラーなどの通知に加え、各回の洗濯レポートが通知される。洗濯レポートでは、各種センサーでの計測結果に基づき、例えば「すすぎ水の濁りが少なかったためにすすぎを1回にした」といった結果や、「洗剤が多かったようです」といったアドバイスもされる。スマートスピーカーにも対応し、Googleアシスタント、Amazon Alexa、Line Clovaを搭載するスピーカーで、残り時間確認のお知らせにも対応する。

洗濯機の電源を入れると、天気情報とともに、洗濯のアドバイスをくれる
スマートフォンアプリ「COCORO WASH」を起動すると、天気と洗濯アドバイスが表示される
洗濯時は、アイテムや汚れの種類からコースを選ぶ
洗濯時に、選択可能なアイテム例
洗濯時に、洗濯可能な汚れの種類例
アイテムで「ペット用品」を選択。洗い方のアドバイスも表示
「ペット用品」で「おすすめコースを見る」をタップすると、「洗濯機へ送信」と表示され、ダウンロード可能となる
本体で「ダウンロードコース」を押すと、ダウンロードが開始される
洗濯レポート
Googleアシスタント、Amazon Alexa、Line Clovaを搭載するスマートスピーカーに対応する

乾燥フィルター自動お掃除でゴミ捨ては週1、乾燥時間のズレも防止

 乾燥機の課題だった"乾燥フィルターのホコリ"について、自動お掃除機能が新搭載された。通常、フィルターのゴミは網目に張り付く形で溜まるが、「乾燥フィルター自動お掃除機能」では、この網目を扇の弧のように立体的に配置し、中心部から伸びたヘラでこそげ取り、ダストボックスに溜まる仕組み。溜まったホコリは、およそ週1程度の頻度捨てる必要があるが、つまんで捨てるだけなので手軽に行なえる。

 引き続き、洗濯の給水で送風経路を自動洗浄する「乾燥ダクト自動お掃除機能」、ヒートポンプにサポートヒーターを組み合わせた「ハイブリッド乾燥」も搭載。2つのお掃除機能で乾燥性能の低下を防げるため、湿度センサーでの検出結果から算定された"洗濯の予想終了時刻"がズレることも、軽減されるという。またふっくらした仕上がりが特徴の「ハイブリッド乾燥」は引き続き、シワの低減、消費電力の低減を行なうとする。

乾燥フィルターは、本体の右奥にある
「乾燥フィルター自動お掃除機能」では、フィルターの網目が扇の弧のように配置される
フィルターをヘラ状のもので、右から左に向けてこそぎ取っていく
フィルターのホコリが左側に集まった
週に1回、フィルタ左側のダストボックスに溜まったホコリをつまんで捨てるだけでよい
写真上は、取り外したフィルター部の底部には歯車がある。本体に設置された歯車と噛み合うことで、へらを動かす
「ハイブリッド乾燥」はふっくらした仕上がりが特徴

10分で洗濯可能な「時短コース」を新搭載

 毎秒約38,000回で振動する「超音波ウォッシャー」を搭載し、ドア内部に置くだけで充電できる。また同社独自の「マイクロ高圧洗浄」も引き続き搭載し、「超音波ウォッシャー」との合わせ技で、10分で洗濯が完了する「時短コース」が新搭載された。洗濯2kg以下となっているが、洗い忘れたものを追加で洗う際などに便利としている。

 温度、湿度、水位、重量、振動、光、泡を検出する7つのセンサーとそれによる洗濯のコース変更やアドバイス、プラズマクラスター機能、洗濯槽をお手入れできる「槽クリーンコース」、水で洗えない衣類に便利な「消臭コース」などは、引き続き搭載される。

 本体サイズは、640×728×1,104mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約82kg。6kgの洗濯~乾燥時について、消費電力量は590Wh、標準使用水量は52L、運転時間は約150分。カラーはシルバー系。

搭載される「超音波ウォッシャー」
「超音波ウォッシャー」は、ドラムの下側に設置されている
「超音波ウォッシャー」の充電中は、ドアの外側が点滅する
各種汚れの「超音波ウォッシャー」での洗浄前後
新搭載された、10分で洗濯が完了する「時短コース」
温度、湿度、水位、重量、振動、光、泡を検出する7つのセンサーが搭載される
洗剤・柔軟剤投入口
天板を外した本体、水位センサーやAIoTアダプタが見える

洗濯機のクラウド化は完了、買い替えなしでアップデートも

 製品発表会では、同社のAIoT事業と洗濯機事業の方向性について、IoT HE事業本部 メジャーアプライアンス事業部長・檜垣 整氏が説明。同社ではAIoT事業について、対応機器の拡大と商品力の強化、プラットフォームの拡大と強化、連携サービスの強化とともに、データ利活用の強化を実施しているという。

 今回の新製品と同時に「COCORO WASH」も発表。AIoT対応は、同社製品カテゴリーとしては洗濯機が10個目となる。これで、全150機種がAIoTに対応したことになるという。白石氏は、「シャープでは2年ほど前から、白物・黒物家電のAIoT化に取り組んでいます。製品のクラウド化により、スマートフォン連携以外にも、ユーザーの利便性向上や、例えば「ヘルシオデリ」のように、有償ながら高い付加価値をご提供するといったことも可能です」と語った。

 洗濯機の業界動向としては、2016年度が消費税増税後の消費低下からの回復で前年比110.3%、2017年度が消費前増税後の回復が1段落した状態で、前年比100.5%となったという。2018年は、大きな変動要素がなく前年同と予想する一方で、2008~2013年に毎年70万台のドラム式洗濯機が販売されており、それらの買い替え需要期にあたっていることは好調要因であるともした。

 同社の洗濯機に関するAIoT戦略としては「この製品で洗濯機のクラウド化が始まるわけですが、現在は、ユーザーが便利になる機能やサービス、シャープらしい価値をご提供すべく、付加価値を検討しているところです。とは言え、本体の物理的な機能はソフトウェアで制御できる状態になっていますので、製品がクラウド化されているわけですから、製品を買い替えることなしに、アップデートをお届けすることができるようになっています」と語った。

IoT HE事業本部 IoT HE事業本部 メジャーアプライアンス事業部長・檜垣 整氏
シャープのAIoT事業の方向性
洗濯機は、製品カテゴリーとしては10個目のAIoT対応
2016~2018年の洗濯機の業界動向