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夫婦の排便問題も解決。パナソニックが開発した消臭剤「ニオフ」とは
2018年2月27日 14:52
パナソニック エコソリューションズ化研は、便臭などを分子レベルで分解する消臭剤「nioff(ニオフ)」の技術セミナーを開催した。医療・介護向け「nioff」、人工肛門を使うオストメイト用「nioff 消臭潤滑剤」、犬のトイレまわり向け「nioff FOR DOG TOILET」を展開しており、価格は700円~2,600円(税抜)。
排泄物のニオイを分子レベルで分解する消臭剤。分子構造そのものを組み替えて消臭する「リコンビネーション法(ニオイ分子分解消臭)」により、香りで覆い隠さず、消したニオイが戻らない点が特徴。実際に使用した人からは、“すぐにニオイが消えて驚いた”、“無香料なのが良い”など、好評を博しているという。
パナソニック エコソリューションズ化研の中心事業は塗料の製造だが、30年にわたりニオイケア技術の研究も行なってきた。これまでに、空気清浄機用の消臭フィルターや、消臭剤メーカー向けの消臭原液、ポータブルトイレ用の消臭液などを展開。シーンに応じて変化する消臭ニーズに応える技術開発を続ける中で、プロの現場で求められる高いレベルの消臭力、とくに局所で発生するニオイ対策を研究し、ニオフが生まれたという。
排泄物のニオイに特化した消臭剤
パナソニック エコソリューションズ化研 開発・渉外グループ長 永安 孝弘氏は、ニオフの特徴について次のように語った。
「医療・介護現場での困りごととして多く挙げられるのが、尿臭と便臭です。現状のニオイ対策として市販の消臭剤を使われている施設が多いのですが、約8割が消臭効果に不満を持っています。排便時のニオイの元を調べると、約9割が硫化水素で構成されていることがわかりますが、市販の消臭剤では硫化水素の消臭率が悪いのが現状です。そこでニオフでは硫化水素の消臭に特化した配合設計にし、スプレー後からすみやかに消臭することを可能としました」
医療・介護現場向けのニオフでは、硫化水素(便臭)に反応する物質として亜鉛イオンを配合。これにより、硫化水素が化学反応で分解され、ニオイがない物質である硫化亜鉛と水に組み替えられ、消臭できるという。第三者機関の調査によると、硫化水素の10分後の消臭率は、家庭用消臭剤が3%、医療用消臭剤が8%なのに対し、ニオフは95%を実現している。
ラインナップによって配合されている物質は異なる。人工肛門を使うオストメイトの人は、尿や便を集めるために付ける「ストーマ袋」の処理時に、トイレに便臭がこもってしまうことが悩みだという。
そこで、オストメイト用「nioff 消臭潤滑剤」では、亜鉛イオンにくわえて「銅イオン」を配合。便臭を構成する複数のニオイ分子への対応力を向上している。また、潤滑剤を配合しており、ストーマ袋になじませて使うため、便の処理をスムーズにできる点も特徴。
ペット向け「nioff FOR DOG TOILET」では、亜鉛イオンのほか「無機塩」を配合。犬の体臭の元となるノネナールも分子レベルで分解する。消臭に使われる材料は、人と犬にやさしい成分「酸化亜鉛」「界面活性剤」「水」「無機塩」で構成。外部機関でのさまざまな安全性試験をクリアしたという。
オストメイトの実体験も。夫婦のニオイの問題を解決
オストメイト用のニオフを使う女性の実体験も紹介された。彼女はニオフを使うまで、ストーマ袋に溜まった排泄物を処理する際、トイレにこもるニオイが気になっていたという。しかし、そのことを夫に言えず、夫婦でトイレのニオイについて話をしたことはなかった。ニオフを使うようになってから、数日後に勇気を出して夫にトイレのニオイについて聞いてみたところ、夫も気づいていたらしく「最近はニオイがしないと思っていた」と言われ、話すきっかけができたという。
「夫婦でニオイの問題は話しづらいと思いますが、ニオフを通して解決するきっかけができたらと思います。また、夫婦間だけでなく、介護やペットがいる家庭など、さまざまな人に不自由なく過ごしてもらえるように、今後もニオフを市場に展開していきます」(永安氏)