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三菱電機、摩擦帯電で10年間メンテナンス不要の空気清浄デバイスを新開発

 三菱電機は、静電気を利用して約10年間メンテナンス不要で使える、世界初となる摩擦帯電方式の空気清浄デバイスを開発したことを発表した。2020年度の事業化を目指すという。

摩擦帯電方式の空気清浄デバイスを新開発

 オフィスや住宅向けの換気空調システムに装着する空気清浄デバイス。摩擦帯電による静電気を利用して、大気中のPM2.5や花粉、ホコリなどを除去する。

 本体にはプラスチック製の捕集板と不織布ブラシが備えられ、それらの摩擦により静電気を発生、プラスに帯電したPM2.5や花粉などを、マイナスに帯電した捕集板に付着させる。ブラシは自動で動き、溜まったゴミはダストボックスに集められる。ダストボックスのゴミ捨て頻度は10年に1回としている。

 これにより、摩擦帯電方式集塵部で約70%のダストを捕集し、フィルター部を含めた空気清浄デバイス全体では捕集率90%以上を実現。フィルターの目詰まりが起こりにくく、通常のフィルターでは約2年で交換が必要になるのに対し、約10年間手入れが不要になったという。また、世界保健機関の環境基準(PM2.5濃度10μg/m3以下)を満たす清浄空気による換気も実現している。

オフィスや住宅向けの換気空調システムに装着する
プラスチック製の捕集板と不織布ブラシを搭載
プラスに帯電したPM2.5や花粉などを、マイナスに帯電した捕集板に付着させ、ブラシで自動清掃

10年間メンテナンス不要で、換気空調システムの課題を解決

 三菱電機 先端技術総合研究所 環境システム技術部長 古川 誠司氏は、新デバイスについて次のように語った。

 「ビルや住宅に設置されている換気空調システムにおいて、最大の課題は空気清浄フィルターの目詰まりでした。目詰まりすると、換気・空気清浄機能と省エネ性の低下を招くため、2年に1回はフィルター交換する必要があります。今回開発した摩擦帯電方式では、静電気と自動清掃ブラシによりフィルターの目詰まりを防ぎ、省メンテナンスを実現できました。手入れは10年に1度で良いため、メンテナンスに掛かる手間や費用を軽減できます」

三菱電機 先端技術総合研究所 環境システム技術部長 古川 誠司氏
従来の換気空調システムの空気清浄フィルターは目詰まりしやすく、2年に1回交換する必要がある

 また、これまでの集じん技術においても、ホコリなどを帯電させる方法はあったが、電極を使った放電による帯電がメインだったという。放電させる場合、電極が劣化する、火花による火災のリスクがあるといったデメリットがあったが、今回の方式は摩擦(非放電)による帯電なため、持続性・安全性ともに高いとしている。

 2020年度の事業化に向けて、まずは中国で換気空調システムを設置し、フィールド試験を開始する。現在は、ビルや住宅などの換気空調システムへの搭載を想定しているが、将来的には家庭用の空気清浄機などへの搭載も視野に入れているという。

摩擦(非放電)で帯電するため、持続性や安全性が高いという