長期レビュー
シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-X2」 最終回
~ヘルシオは気楽に付き合える便利な調理器具だった!
シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-X2」 |
最終回となる今回は、ヘルシオの使用感などを、まとめてお届けしたい。
■「つゆ受け」の水はこまめに捨てよう
これまでの調理レビューでは触れて来なかったが、ヘルシオを使う上で無視できない部分がある。それは使用される「水」の行方だ。蒸し料理のみならず、ウォーターグリルやウォーターオーブンでも水を使うヘルシオは、調理中に大量の水分を使う。調理するものによっては、水滴がドアの内側を伝わるくらいだ。
これらの水滴を受け止めているのがフロントに装着している「つゆ受け」である。焼き鮭でも、天ぷらのサックリあたためでもかなりの量が溜まる。130mlまで溜められるがうっかりしているとすぐ一杯になってあふれてしまうので、調理後は必ず「つゆ受け」の水を捨てる習慣を身につけたい。またタンクの水は1日1回必ず捨てるよう心がけよう。
また、庫内にも若干水が残っている時がある。衛生面も考慮し都度拭き取るほうがよい。以下に使用後の庫内の例と、排出された水の量をご紹介するので参考にしていただきたい。
・蒸し野菜の例
「蒸し物[強]」で20分加熱した野菜。仕上がりには大満足だった | 蒸し野菜調理後の角皿の様子 |
蒸し野菜調理後の庫内の様子。水たまりが確認できるほかに、ドアの周辺にも水滴が多数確認できる | 左は「つゆ受け」に溜まった水。右は角皿から移した水分 |
蒸し野菜の調理中、「つゆ受け」に水滴が落下している |
・中華まんの例
中華まんをスポットスチームで温めている様子。やはり大量の水が使われているのが分かる |
「スポットスチーム」機能で約10分加熱した中華まん。仕上がりに大満足で、よく使っている機能の1つだ | 中華まんを温めたあとの庫内の様子。こちらもかなり水分が残っている |
・焼き鮭と天ぷら
ヘルシオで調理した塩鮭。調理時間は約25分 | 焼き鮭もウォーターグリルを使うのでご覧の通り若干水が残る | 焼き鮭でも65cc程度の水分が「つゆ受け」に溜まっていた |
お総菜の天ぷらや冷えてしまった天ぷらを揚げたての天ぷらのようにさっくりと仕上げてくれる天ぷらのサックリあたため | 天ぷらのサックリあたために至っては、100ccを超える水分が排出された |
■カラー液晶がタッチパネルになるとかなり嬉しい
当初はカラー液晶で写真が見られるというだけで胸が高鳴っていたのだが、使い続けるうちにいくつかの不満や要望も出てきた。
1つ目はふたを閉じた後、メニューが出るまで待たされること。レンジ機能だけでも、ふたを閉じてからスタートボタンが有効になるまでの数秒間がもどかしい。従来のシンプルな電子レンジ操作に慣れていると、メニューなどがアニメーションする時間ですら指が遊んでしまうのだ。
2つ目は、ダイヤル操作に対するメニューの反応がやや遅い点だ。一瞬待たされるので、動きを確認しながらゆっくり回さなければならない。可能であればダイヤルよりはボタンやタッチパネルにしていただけると操作がより直感的かつスピーディになりそうだ。
3つ目は、初期設定で調理中のライトがオフになっていること。調理中に中の様子がほとんど見えないので不安になる。消費電力を抑えるための配慮のようだが、いきなり初期不良かと一瞬焦ってしまった。調理中に点灯するよう設定変更できるが、シンプルな電子レンジから乗り換えを検討されている方は覚えておいたほうがいいかもしれない。
そのうちメモリカードスロットを搭載し、インターネット経由でダウンロードしたメニューを追加できるようになったり、「マイメニュー」なんて機能ができそうな……ヘルシオならそんな進化もあり得るんじゃないかとカラー液晶を見ながら妄想しがちなこの頃である。
■運搬と設置は計画的に
今回ご紹介している「ヘルシオ AX-X2」はサイズとしてはシリーズ最大ではないが、約24kgという重さはかなりインパクトがある。余計なお世話かもしれないが、女性一人では難しい場面も多々あるため、導入を検討されている方は運搬と設置にも気を配ったほうがいいだろう。
筆者の場合、配送担当者の男性がヘルシオの箱を玄関に置くと「じゃ、あとはよろしくね!」と言って去って行った。あえて言われたのだなというのは、キッチンに移動させようとして思い知らされた。
運搬と設置はまさに命懸けであった。所定の台に乗せるにも相当の力を要した。あのヘルシオを肩の高さまで持ち上げねばならないのである。ぎっくり腰などにならなくてよかったと真剣に思った。
■ヘルシオのおかげで食べながらダイエットできた!
知人に「ヘルシオ買ったんだ」というと、「何ができるの?」「ヘルシオといえば蒸し物でしたっけ?」「ヘルシオって電子レンジも使えるんですか?」などと質問されてしまった。ヘルシオのイメージはかなりバラバラなようだ。
本誌の過去の記事でも誤解を払拭したいという思いが述べられているが、かくいう筆者もじっくり向き合うまでは知っているようで知らないというのが正直なところだった。
今でも全体の機能を一言で説明するのは難しいと感じる。「水で焼けるんで、健康を意識した料理ができるんです」といってもキツネにつままれたような顔をされるだけだからだ。レンジとオーブンとグリルの違いを説明し、さらにスチームとの違いを含めて「過熱水蒸気」とは何かを説明し……というハードルを越えねばならない。全く難儀なヤツである。
しかし、過去に何台か電子レンジまたはオーブンレンジを購入してきたが、ここまで機能を使う気になったのはヘルシオが初めてだ。これまでのオーブンレンジは結局レンジ機能や解凍くらいしか使わず、宝の持ち腐れ状態だった。そんな凝った料理は面倒だし、食べきれないよと思っていたのだ。
ヘルシオについても当初は似たような先入観があったが、いざ使ってみると、予想を覆してどんどん使いたくなる調理器具だと感じた。ヘルシオを購入してからは、唐揚げも酢豚もヘルシオでしか作っていないし、スーパーで魚を買ったときも、クックブックに簡単な調理方法が載ってないか真っ先にチェックするようになったほどだ。
操作手順は事細かに指示してくれるし、健康に配慮した庶民的なメニューがカロリーとともに豊富に提案されており、選ぶだけで作れるのだ。選ぶだけなら他のオーブンレンジだってできる。しかし何キロカロリー減りますなんて都度教えられるとそれだけで得した気分になるため、モチベーションが全然違うのである。
ダイエット中でも揚げ物が食べたいという名目で購入したが、その活躍振りは期待以上。これまでご紹介した料理以上のものをすべて一人で完食しながらダイエットを続けることができたうえに、目標まで達成できたのだから嬉しい限りである。どうしてもダイエットや健康路線で見てしまうが、ヘルシオはもちろんパンやお菓子だって作れる。ダイエットが落ち着いたらぜひ試してみたいと考えている。
2009年12月2日 00:00
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「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)