ぼくらの自由研究室

トレック製e-bikeの第2弾!! 「Dual Sport+」をひと足早く試乗してきた

昨年に2018年モデルとして登場した「Verve+(ヴァーヴ プラス)」に続き、トレックの第2弾となるe-bike「Dual Sport+(デュアルスポーツ プラス)」が2019年モデルとして日本に導入されることが発表されました。

デュアルスポーツ、つまりオンロードメインのバイクでありながら、林道程度のちょっとしたオフロードも余裕で走れるサスペンションと振動吸収性に優れたフレーム、そしてオフロード対応のタイヤやコンポーネントを採用したe-bikeです。

トレックの第2弾となるe-bike「Dual Sport+」

クルマで例えると、本気のオフロード4WDではないけれど、オンロードを主目的としたセダンとも違って、少しのオフロードなら走れるSUVにあたる自転車といえます。

モーターアシストのない自転車では、このカテゴリーの自転車は、オンロードのヒルクライムでは走りが重く、オフロードに入ると細いタイヤでトラクションがもの足りないという結果になりがちなカテゴリーです。しかし、e-bikeだと電動アシストによってヒルクライムでの軽い走りと、安定したトラクションでかなりの悪路でも走って行ける性能を両立します。

そして、平地での巡航性能はそこそこに高く、フレーム設計とサスペンションによりオンロードでも乗り心地が良いという特徴を持っており、e-bike化による恩恵をもっとも受けられる車種のひとつとなっています。

国内初となる500Whバッテリーを搭載! 装備も充実

ドライブユニットには、VERVE+と同じく、最大250W/50Nmを発揮するボッシュ製のアクティブラインプラスを採用。そして、e-bikeとしての性能を左右するもうひとつの大きな要素であるバッテリーについては、国内初の500Whタイプのインチューブバッテリーを採用しています。

ドライブユニットはボッシュ製アクティブラインプラス

VERVE+は300Whバッテリーですから、じつに66%近く容量を増やしながらも、フレーム内蔵バッテリーのためにすっきりとした外観を併せ持っています。もちろん、走行条件により異なりますが、現実世界での航続距離の目安は余裕で100kmを超える距離を実現します(メーカー公称の航続可能距離はEcoモード150kmを超える予定)。ボッシュ製ドライブユニットとインチューブバッテリーの組み合わせは、国内ではDual Sport+が初めての導入となります。

フレーム内蔵のバッテリーは、国内初となる500Wh
1回の充電での航続距離はEcoモードで150kmを超えるとのこと

日本の国土は山岳部に行くと急勾配の坂が多く、そして明治以降に林業を主産業としていた名残で山岳部には舗装、もしくは砂利の上にコンクリートで固めただけの自転車走行可能な林道が多く残されています。これまで、ロードバイクで遊ぶには20%に迫るような勾配は日常のルートには過酷すぎ、そして路面も荒れすぎていました。しかし、Dual Sport+なら街乗りだけでなく、週末には郊外の山道も余裕で走行できるためクルマの往来が多い幹線道路を走ることなく、裏山から林道を抜けて遊ぶ自分だけの時間を楽しむことができます。

街乗りはもちろん、山道なども余裕で走行可能

装備面では、SRサンツアー製の63mmストロークのフロントサスペンションを装備し、シマノ製の油圧ディスクブレーキと、デオーレをメインとしたコンポーネントを採用。また、駆動用バッテリーから電源を取る大光量のフロントライトとサドル後部に装備された大型テールライトによりシティライドでも安全に走行できるように設計されているのも特徴です。

SRサンツアー製の63mmストロークのフロントサスペンション
シマノ製油圧ディスクブレーキ
デオーレをメインとするコンポーネント
大光量のフロントライト
サドル後部に装備される大型テールライト

Dual Sport+の乗り心地は?

クローズドコースでの試乗でしたが、走りの印象は、デュアルスポーツバイクの開拓者ともいえるトレックらしく、スポーツ感のあるハンドリングが印象的でした。ソフトウェア面まで含めてVerve+とドライブユニット自体はまったく同じですが、走りの印象は異なります。

フレームの剛性はアルミフレームのスポーツバイクそのもので、なおかつリアホイールからの突き上げはコントロールされており、フロントサスペンションも装備されているので快適性も抜群。タイヤクリアランスは700×38cで大きくはないのでMTB用のタイヤを装着することは難しいですが、公道以外のオフロード走行を行う際はもう少しだけ幅のあるタイヤを装着することもできます。

MTB用のタイヤは装着できないが、もう少し幅のあるタイヤは装着可能
さりげなくあしらわれたDual Sport+のロゴ

価格は35万2000円(税別)とVerve+と比べると、10万円以上高いDual Sport+ですが、バッテリーやフロントサスペンションなど装備面の差を考えると価格差は納得。e-bikeを購入して街乗りだけでなく、週末のサイクリングもしっかり楽しみたいなら選択肢としてはDual Sport+が納得のチョイスとなるでしょう。

難波賢二

国際派自転車ジャーナリスト 1979年生まれ。20年近く昔のe-bikeの黎明期よりその動向を取材してきた自転車ジャーナリスト。洋の東西を問わず自転車トレンド全般に詳しく世界の自転車業界に強いコネクションを持つ。MTBの始祖ゲイリー・フィッシャーの結婚式にアジアから唯一招待された人物として知られる。