やじうまミニレビュー

ハリオ「氷出し茶ポット」

~氷でお茶をいれる涼しげなガラスポット
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ハリオ「氷出し茶ポット」

 「氷出し」とは、文字通り氷を使ってお茶をいれる方法だ。少しずつ氷が溶けて茶葉に浸透し、冷たいお茶ができてくるのをゆっくりと待つ。

 お茶に含まれるタンニンは、熱いお湯ほどよく溶け出す性質があるので、低温でゆっくりいれるほど渋みや雑味が出にくく、本来の甘みがよくわかるお茶になるのだという。

 某社のペットボトル茶の宣伝で、氷出し茶セットが当たるキャンペーンがあった。何やら楽しそうな製品だと思って調べてみると、同じものではないが、氷出し茶セットが市販されているのを見つけた。


メーカーハリオ
製品名氷出し茶ポット
希望小売価格5,250円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,980円

 製品は、耐熱ガラス製の2つの部品からできている。茶葉と氷を入れる円筒状の「上ボール」、お茶を受ける用途の、コーヒーサーバー状の「下ボール」だ。これに木製の「フタ」が付属する。組み合わせた際の高さは約270㎜、底面の直径は約105㎜だ。

氷出しで日本茶をいれる

 さっそく氷出し茶を作ってみよう。お茶は、到来物の玉露を使ってみることにした。

 「上ボール」に茶葉をティースプーン山盛り2杯入れ、その上から氷を入れる。氷は、容器を傾けて、滑らすように入れていくことが推奨されている。下に入れた茶葉がクッションになるので、思ったより底にコツコツ当たらない。ガチャガチャと乱暴に入れなければ大丈夫だと思う。

茶葉を上の容器に入れ、その上から氷をいっぱいに入れる

 氷を「上ボール」いっぱいに詰める。約300gが入るという。そして「下ボール」にセットして、あとはテーブルに安置して待つだけである。

 「上ボール」の氷が、少しずつ溶けて茶葉をうるおし、抽出されたお茶が一滴ずつ「下ボール」にたまっていくしかけだ。氷をいっぱいに詰めたガラスの器は、見た目が涼しい。待つ間の、涼しげな景色を楽しむ製品でもあるのだなと思った。なかなか優雅ではないか。

 約15分ほどで最初の一滴が落ちてきた。

 氷が全部溶けて抽出が終わる時間の目安は、「室温によって違うが6~8時間」と取扱説明書にある。しかし夏のことでもあり、氷が溶けるのが早いようだ。


氷出しの日本茶がしたたり落ちる様子

 約5時間で氷は全部溶け落ちた。今回は市販のロックアイスを使ったが、家庭用の小さい氷だと、さらに早くなると思う。

 最初、少し心配していたことがある。それは「氷が入ったポットを室温に放置すると、結露した水がテーブルにたまったり流れたりするのではないか?」ということだ。

 確かに少しは水がたまるが、気にかけるほどではなかった。気になる人はポットの下に普通のふきんなどを敷くことで十分対応できると思う。

 下のポットにはきれいな淡緑色のお茶ができている。できあがりの量の目安は280ccだ。

 たったこれだけ? 5時間待ってペットボトル半分ちょっと? と一瞬考えそうになる量だが、これは優雅な世界なのだから、そういうことを言ってはいけない。

氷出しした日本茶は、お気に入りの琉球ガラスで試飲してみることにした

 小さなグラスに注いで、さっそく飲んでみた。

 確かに苦みがなくて、お茶のうまみ、甘みを感じる。おいしいと思う。

 しかし、想像していたよりもぬるい。

 「氷出し」ということで期待していた冷たさがあまりないのだ。本来のお茶の風味を味わうのには、本当はこれくらいの温度がいいのかも知れないが、やはりもっと冷たい方がおいしそうだ。

 グラスに氷を入れて冷たくして飲む、ということも考えたが、せっかくの氷出し茶を薄めてしまうのもいやだ。ここはポットを冷蔵庫に入れ、冷やし直して飲むことにした。

 数時間後、よく冷えたものを飲んでみた。

 おいしい。冷たくて甘い。茶葉を多めに使ってあるのに、苦みがない。ペットボトルの冷茶に慣れているからだろうか、私の口には、冷たくした方がよりおいしく感じた。

ポットを冷蔵庫に入れて氷出し茶をいれる

 「低温でゆっくり入れるほどおいしくなる」というのなら、氷出しポットを冷蔵庫に入れて、低温下でうんとゆっくり出したらどうだろうか。

 そう考えて、次の回は冷蔵庫で仕込んでみた。大型ペットボトルなどを入れるドアポケットに入れようとしたが、ポットの背が高くて不安定なので、野菜室のボトル立てのところに入れた。

 この状態での抽出には丸一日かかった。

 味はどうか。やはりとてもおいしいのだが、5時間で出したものとの違いは、正直言って私の舌でははっきりわからなかった。

 ただ、冷蔵庫に入れてしまうとあとはお任せで、24時間以降は冷たいお茶がキープされるわけで、気持ちの点ではらくちんだ。

 もちろん、どちらのいれかたがいいとか正しいということは言えない。室温に置いて、涼しそうなポットの様子を眺めるのが好きという人がいてもいいし、冷蔵庫に入れっぱなしにしていったん忘れておきたいという人がいてもいいと思う。

 我が家では、氷を入れて仕込んでしばらく涼しそうなところを眺め、気が済んだら冷蔵庫に入れる、という中庸のところに落ち着きそうだ。

さまざまな茶葉で楽しめる

 その後、プーアル茶、紅茶のアールグレイの氷出しも試してみた。

 プーアル茶は独特の匂いとクセがあるので、人によって好き嫌いがあるお茶だが、氷出しだとそのクセがあまり気にならず、むしろ良い風味だと感じられる。渋みが少ないのもいいところだ。

 アールグレイは、ベルガモットなどの香料の匂いがつけてある紅茶だ。熱湯出しだと芳香が前面に出過ぎて、紅茶が負けている感じさえすることがある。しかし氷出しにすると、香りがやわらかく広がり、バランスが良くてとてもおいしい。透明な琥珀色もきれいだし、個人的にはとても好きな飲み物になった。

プーアル茶は、クセのないやさしい味に仕上がったアールグレイ紅茶は、透明感のある琥珀色。香りもいい

 バラ茶、ジャスミン茶など、花のお茶を今度は試してみようかなと考えているところだ。

 正直、大人数の家族で日常的に使うのに向いているとは言えないが、雰囲気も含めてお茶の味を楽しむ、趣味の製品としてとても楽しいと思う。とくに、これから暑い夏に向けて涼しげな雰囲気を演出する小道具としても推薦できる。





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2009年 7月 22日   00:00