藤山哲人のモバイルバッテリー診断

無印良品「スマートフォン用充電式電池・6200mAh」

~実容量率が高く電圧、電流ともに安定した高性能モバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)

 今回紹介するのは、無印良品のモバイルバッテリー「スマートフォン用充電式電池・6200mAh DE-RHD004」。オフホワイトに近いアイボリーのボディで、角に丸みも付いていて、いかにも無印良品らしいデザインだ。

無印良品「スマートフォン用充電式電池・6200mAh DE-RHD004」
左がスマートフォンを2回充電できる6,200mAhタイプ、右が充電1回分の3,100mAhタイプ。おもにUSBコネクタの数と厚さが違う
メーカー名無印良品
品名スマートフォン用充電式電池・6200mAh
型番DE-RHD004
バッテリー容量6,200mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
68×115×16.5mm
重量167g
カラー白のみ
販売価格5,000円

 今回レポートするのは、スマートフォンをおよそ2回充電できる6,200mAhタイプだが、1回充電できる3,100mAhタイプも同時発売されている。2つの違いは、充電回数に加え、本体の厚みが一回り薄くなっている点と、出力のUSBコネクタが1つになっている点だ。それ以外の仕様は、6,200mAhタイプとほぼ同じなので、6,200mAhタイプを中心に紹介する。

上部には、左からカバーで覆われた充電コネクタ、中央は最大1.8Aまで出力できるUSBコネクタ、右は最大1Aまで出力できるコネクタを備える
右側面は、ポケットなどに入れやすいように丸く加工されている。そのためこの面を下にして立たせることはできない
天面。シンプルに電源ボタンとバッテリー残量ランプがあるのみ
下部。丸く加工されている
左側面。丸く加工されている
底面には、細かいスペックが印刷されている

小さいタブレットならスマートフォンと同時充電もOK!

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製「ARROWS X F-10D」。内蔵バッテリー容量は1,800mAh

 まずは、内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみた。結果は、2回と40%ほど充電でき、思っていたより充電できたという感じだ。

【スマートフォン充電テストの結果】
充電回数「2回と40%」(4,374mAh相当)
※WiFi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録

 サイズは、実測テストで使用中のスマートフォンとほぼ同じ。ただ、厚さはチョコレート菓子のキットカットぐらいある。男性ならスマートフォンを充電しながらジャケットのポケットに入れておいても、ギリギリ型崩れしない程度の大きさだが、女性はハンドバックに入れて使うのがメインになるだろう。

大きさは、ほぼスマートフォンサイズ。若干厚い
左側が1.8A出力、右側が1.0A出力できるUSBコネクタ
iPad 2はスマートフォンと同時に充電しても急速充電できた
バッテリー残量は3色で表示される。バッテリースイッチも少し凹ませてあり、誤操作しづらいようになっている

 スマートフォン充電用のUSBコネクタは、2つあり2台同時充電が可能。ただ、左側の(1)コネクタは最大1.8A、右の(2)は1.0Aになっていて、若干、中途半端な印象を受ける。第3世代のiPad以降は、急速充電に2.1A以上が必要とされているので、1.8Aのコネクタではわずかに電流が足りない。とはいえ、まったく充電できないわけではなく、低速での充電は可能だ。6,200mAhという容量から考えると、スマートフォン+ミニタブレットの充電用と考えるといいだろう。

 バッテリー残量は緑、オレンジ、赤の3色で表示される。スマートフォンをほぼ2回充電できることを考えれば、3段階でちょうどいい感じだ。

項目詳細
USBコネクタ数2
USB最大電流2.8A
充電ケーブル
(コネクタ)
USB-Micro USB
残量インジケータ3色1灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電スマートフォン2台:○
スマートフォン+タブレット(1.8Aまで):○

ロスの少なさは秀逸! 安定性も高い高性能バッテリー

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて、1Aの電流を連続して流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンを充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。詳細は、「独自の測定器」の記事で説明しているが、スマートフォンを充電する際には、モバイルバッテリー側のロスに加えて、スマートフォン側の充電回路のロスもある。独自の指標としている実用量率は、この2つのロスを差し引いたものとなっている。簡単に言えば、実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

連続電圧変移
連続電流変移

 電圧は4.95Vで極めて安定。電流も900mAを中心に安定した部類に入りそうだ。この実験を元に、実容量を計算したところ69%(4,304mAh)となった。極めてロスの少ないバッテリーと言えるだろう。

実容量ロス率

 計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量6,200mAh
連続利用時の実用量4,304mAh(69%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格1,162円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):3.3回
Android(1,500mAh):2.9回
Android(1,800mAh):2.4回
Android(2,000mAh):2.2回
Android(2,200mAh):2.0回
Android(2,500mAh):1.7回
Android(3,000mAh):1.4回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):2.9回
iPad mini(6,471mAh):0.7回
iPad(11,560mAh):0.4回
小容量タブレット(6,000mAh):0.7回
大容量タブレット(12,000mAh):0.4回

充電時間は4時間を切り、カタログスペックより速い

 Webや説明書には、充電時間が4~15時間とかなり幅を持った値が記載されていた。おそらく、充電器の違いによるものとして記載しているのだろう。充電器が付属されていなかったので、今回は2A出力のできるUSB-ACアダプタを使って、実際に充電まで何時間かかるかを調べてみた。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
付属充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)4~15時間
充電時間(実測)3時間50分
繰り返し利用回数500回

 結果は3時間50分となった。よほど出力の小さいUSB-ACアダプタを使わない限り、15時間もかかることはないだろう。充電時間は、標準よりやや速いといった感じだ。

2A出力できるUSB-ACアダプタを使えば、4時間かからずに充電できる
本体充電コネクタのカバーは、無印良品らしさを演出するさりげない心配りを感じる

 充電コネクタにはフタがされている。スマートフォンのコネクタカバー同様、細いプラスチックで本体とつながっているので、紛失してしまうことはない。

クセがなくシンプルなデザインは無印ファン~初心者まで

 まずオススメしたいのは、無印良品のデザインが好きな人だ。女性には特に人気のようで、機能性が高くシンプルなデザインは、さすが無印良品というイメージだ。

 安定した電圧と電流は、一流メーカー品と遜色ない。その上、実容量率も高くロスの少ない高性能モバイルバッテリーだ。

 唯一の難点は、片側の最高出力が2.1Aではなく1.8Aという点。タブレットの中でも第3世代のiPad以降は、急速充電できない可能性もある。しかし、Android系のミニタブレットや、超急速充電機能を備えたスマートフォンでは便利に使えるだろう。

 2台同時充電も可能で、価格もそこそこ、充電時間もそこそこと、癖のない平均点的なバランスの取れた性能が、初心者にもオススメできる。

【総合評価】
ロスの少なさ ★★★★☆(4)
持ち歩きやすさ★★★★☆(4)
単位容量の安さ★★★★☆(4)
充電の早さ  ★★★★☆(4)
使い勝手のよさ★★★☆☆(3)

藤山 哲人