インプリンク「ILU60-SPC01K」

インプリンク「ILU60-SPC01K」

　インプリンクの「ILU60-SPC01K」は、市場価格はおよそ4,000円という安さなのに、バッテリー容量は6,000mAhとたっぷりあり、デジタル数字式バッテリー残量計を備えている製品だ。

　USB出力は2つあり、スマートフォンの2台同時充電ができるほか、最大で合計2Aの出力ができるので第3世代iPadなども充電可能。カラーはブラックとホワイトが用意されてて、デザインも非常にシンプルだ。

本体上面

上部から見て右。左右側面は何もない

残量表示は、電源ボタンの上に2桁の数字で表示される

本体下部。中央が充電用コネクタ。iPad/iPhoneとスマートフォン用のコネクタを分けているが、出力に違いはない

上部から見て左

本体底面にはスペックなどが表示されている。iPad/iPhoneとスマートフォンのコネクタを区別しているが、どちらを使ってもかまわない

容量2,000mAh以下のスマホはデジタル残量計が超便利に使える

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製ARROWS X F-10D。内蔵バッテリー容量は1,800mAh

　まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみたところ、2回と30%ほど充電できた。

　バッテリーのサイズは、スマートフォンとほぼ同じサイズで、重ねてポケットに入れて充電するのにも便利。電源スイッチは、重く押しづらくなっているので、カバンやハンドバッグの中に入れて充電しても誤操作してしまうことはないだろう。

・スマートフォン充電テストの結果
充電回数 2回と30％(4,086mAh相当)
※測定条件は、WiFi：ON、Bluetooth：OFF、GPS：ON、省電力モード：OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録

　添付のケーブルは、およそ70cmとかなり長め。カバンで充電する場合でも、あり余ってしまうほどなので、短めのケーブルを用意した方がいいだろう。

　デジタル表示のバッテリー残量計は圧倒的に使いやすい。一般的なバッテリーだと、残量0～30%は赤ランプで表示されてしまうところが、この製品では残量が30や10とハッキリ表示される。そのためスマートフォンを残りどれぐらい充電できるのか目星が付けられる点がいい。

添付のケーブルはモバイルバッテリーとしては長すぎるので、半分の30cm以下のケーブルを別途用意したい

残量が数値で表示されると、圧倒的に分かりやすい。あとどのぐらい充電できるかの目星もしけやすい

内蔵バッテリー容量が少ないiPhoneシリーズにオススメ。モバイルバッテリーのデザインもスマホに近く違和感がない

スマホより若干厚みがあるが、サイズはスマホ同等

40mA出力した状態(スマホの電源を入れて充電した状態に近い)でオートパワーオフを確認

　さらにスマートフォンの電源をONにした状態で、スマートフォンがフル充電になるとモバイルバッテリーの電源が自動的に切れるオートパワーオフを備えている。モバイルバッテリーによっては、スマートフォンの電源をOFFにした状態でないとオートパワーオフが効かないものがある。その点本製品は、電力をムダにしないオートパワーオフになっているので安心だ。

安定性はそこそこだが実容量率が高くイイ部品を使ってる感アリ

　たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

　なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

　電圧の安定を見てみると、ピタリと5.0Vで安定しており非常に優秀だ。一方電流は850mAより少し上辺りを中心に950～750mAまで、上下に200mAと大きくぶれる。スマートフォン1台を充電する分には問題ないが、2台同時充電やiPadの充電では急速充電が解除される可能性もある。

　なおこれらの実験結果を元に、6,000mAhという表示容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる実容量を計算したところ67%という非常に高い値を示した。実に4,033mAhをスマートフォンに充電できたことになる。70%近い実容量率は、モバイルバッテリーの中でも非常に優秀で、大変ロスの少ないバッテリーと言えるだろう。

　なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

フル充電に10時間半は掛かりすぎ

　ここまでのテストは非常に優秀なモバイルバッテリーだったが、唯一残念なのが充電性能だ。6,000mAhというと大容量に区分されるが、本体の充電にかかる時間が10時間というのは使いづらい。

　またカタログ上は10時間となっていたが、実際に2A出力のUSB ACアダプタで充電してみると30分多い10時間24分。これだけ充電時間が長いと帰宅したら即充電して、翌日に備えなければならない。もし自宅を7時に出かけるとして逆算すると、前日の20時半から充電する必要がある。

　おそらく製品の大きさ価格など考慮し「数日に1回充電するなら10時間でも可」という結論に至ったものだろう。しかし毎日持ち出すものなので、充電時間は長くても8時間として欲しいところだ。

　またもう1点充電時に要望がある。それは充電中、常に残量を表示して欲しいという点だ。スマートフォンの充電中は無駄な電力を使わないためにも、スイッチを操作したときだけ残量が表示されるというインターフェイスでかまわない。しかし充電中は、今何%まで充電できたかを常に表示した方が便利だ。いちいちボタンを押して、何%まで充電できたかを確認するのは使い勝手が悪い。

容量2,000mAh以下のスマホにピッタリ

　6,000mAhという容量に加え、残量が詳しく分かるデジタル数字式の残量計を備えているのに安いモバイルバッテリー。USB出力も2系統あり、安定性も標準的で、スマートフォンを充電する機能に関しては非常に優秀な製品。

　ところが一転、自身を充電する性能には難がある。充電時間が8時間以内であれば、ビギナーからヘビーユーザーまでオススメできたが、これだけ充電時間が長いと、いささか人を選んでしまう。深夜に帰宅し翌朝も早いという忙しいサラリーマンには不向きだ。

　帰宅時間が早く、翌朝出社するまでの在宅時間に余裕がある職業、もしくは学生であれば、10時間以上という充電時間の長さも気にならず便利に使えるだろう。特にiPhoneシリーズや2,000mAh以下のAndroidユーザーにぜひオススメしたい。