藤山哲人のモバイルバッテリー診断

ソニー「CP-VLSVP」

~コンパクトながら1A出力。繋ぐだけで充電できるお手軽モバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)

 モバイル機器のヘビーユーザー向けに、モバイルバッテリーの大容量化が進んでいるが、出先で電池残量が少なくなってしまったスマートフォン1台だけの充電なら、1,000~2,000mAh程度のモバイルバッテリーでも用は十分足りる。

 今回は、そんな小容量タイプのモバイルバッテリーとして、ソニーの「CP-VLSVP」を紹介しよう。

ソニー「CP-VLSVP」
およそ10cmのUSB - Micro USBケーブルが同梱されている

 容量は1,400mAhなので、一般的なスマートフォンであればほぼ半分充電できる。形状はスティックタイプで、筆入れやハンドバッグの隙間にサッと滑り込ませられるほど小さくて軽い。またカラーはホワイト、ブラック、ピンク、オレンジの4色が用意され、スマートフォンにあわせたカラーコーディネイトも可能。電源ボタンや残量確認スイッチすら省いたスッキリとしたデザインとなっており、シンプルさを極めたモバイルバッテリーだ。

メーカー名ソニー
品名・型番CP-VLSVP
バッテリー容量1,400mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ(幅×奥行き×高さ)36.9×121×15.9mm
重量62g
カラーホワイト・ブラック・ピンク・オレンジの4色
販売価格1,700円程度
本体上面は、1A出力のUSBコネクタを1つ備える。スマートフォンを接続すれば、自動的に電源が入って充電が始まる
本体上部から見て右側には何もない
本体天面は平らになっており、バッテリー残量計兼電源ランプが1つある
本体下部には、充電用のMicro USBコネクタがある。半円状のスティックなので、小さなポケットの隙間にも入る
本体上部から見て左側には、とくに何もない
本体底面。スペックなどが印刷されている。半円状になっているが、机に置いても安定するようにバランスが取られている
■■注意■■

・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。

接続するだけでスマートフォンをちょうど半分充電。出力は1A

 操作は非常にシンプルで、スマートフォンとモバイルバッテリーを接続するだけで、電源が入り充電が始まる。モバイルバッテリーのUSBコネクタにケーブルを挿しただけで電源が入るため、実際にスマートフォンを充電していなくても、電源ONになってしまうのだ。使わないときはUSBコネクタからケーブルを外す手間が必要になる。

 同梱されているケーブルは、10cm程度でバッグの中で充電するのには手ごろな長さ。ただし、硬くて太いため、好みが分かれそう。人によっては、別にケーブルを買ったほうがいいかもしれない。

高さと厚みはスマートフォンと同程度で、幅は半分ぐらい
バッグのポケットなどに滑り込ませやすい
同梱のケーブルは、太くて硬い(写真上)。太さは一般的なケーブル(写真下)の2倍ぐらい

 バッテリー残量は、電源が入った瞬間に、LEDが点滅する回数で表示される。3回点滅すれば100%近くあり、2回点滅で中ぐらい、1回点滅は残りわずかというサインだ。ただ、最大でもスマートフォンを満タンに充電できない使いきりのモバイルバッテリーなので、このぐらいシンプルな方が使い易い。

 注目は出力。小さいながらも1Aあるので、スマートフォンの急速充電が可能となっている。

 内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみたところ、ちょうど半分充電できた。

・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「50%」(864mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録

【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数1
USB最大電流1A(1,000mA)
充電ケーブルMicro USB - USB
残量インジケータ2色1灯式(4パターン)
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電-

電圧も電流も問題ないが、ロスは若干多め?

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

電圧は5Vで安定
電流はやや低めだが安定している

 独自の測定器でテストした結果、電圧は5Vピッタリで安定していた。電流は平均するとおよそ870mA程度と、スペック値より低めだが、安定しているといえるだろう。なお電流が低めではあるものの、使用上はまったく問題なく、充電モードが解除されてしまうようなことはない。

 なお容量は1,400mAhと表示されているが、内部のロスなどの差し引き、実際にスマートフォンに充電できる容量は、その52%に当たる860mAh程度。小容量のモバイルバッテリーは給電ロスが目立ちがちだが、本製品も例に漏れず、ロス率が高めとなった。

実際にスマートフォンへ充電できる実容量率は、表示容量の52%に当たる約860mAh。ロスはやや多め

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量1,400mAh
連続利用時の実用量733mAh(52%)
連続実用量1,000mAh あたりの価格2,319円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):0.7回
Android(1,500mAh):0.6回
Android(1,800mAh):0.5回
Android(2,000mAh):0.4回
Android(2,200mAh):0.4回
Android(2,500mAh):0.3回
Android(3,000mAh):0.3回
iPhone4S(1,432mAh):0.6回
iPhone5(1,434mAh):0.6回
iPad2(6,580mAh):0.1回
iPad3(11,560mAh):0.1回
ソニー PSP(1,200mAh):0.7回
任天堂 3DS(1,300mAh):0.7回

パソコンのUSBでも3時間で充電

パソコンのUSBコネクタから充電すると時間が掛かるモバイルバッテリーは多いが、このバッテリーなら3時間で終わる

 充電時間は3時間と記載されていたが、実測でも3時間15分だった。1,800mAhという容量にしては充電時間が長めに感じられるが、3時間でフル充電できるので、普段使いで充電時間が気になることはないだろう。むしろ充電は、パソコンのUSBコネクタでもできるので、便利さのほうが目立つかもしれない。

 なお充電中は、残量ランプがオレンジに点灯し、フル充電になるとランプが消えるようになっている。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
同梱充電器なし
充電時間(カタログ値)3時間
充電時間(実測)3時間15分

メカに弱い人や塾通いの子どもの予備バッテリーとしてオススメ

 容量は少なめだが、そのぶん軽くてコンパクトなデザインと、ケーブルを繋ぐだけというシンプルな操作が魅力。価格も実売で1,700円程度を購入しやすい。また、カラーは今回使ったオレンジのほか、ピンク、ホワイト、ブラックも用意されるので、男性でも女性でも選びやすい。

 普段はスマートフォンの内蔵バッテリーだけで十分だけど、出先でときどき電池が足りなくなる、というライトユーザーにピッタリ。繋ぐだけというシンプル操作という点で、メカに弱い人や塾通いの子どもにお勧めしたい。

【総合評価】
メーカー・品名ソニー CP-VLSVP
ロスの少なさ ★★☆☆☆(2)
持ち歩きやすさ★★★★☆(4)
単位容量の安さ★☆☆☆☆(1)
 充電の早さ ★★★★☆(4)
使い勝手のよさ★★★☆☆(3)

藤山 哲人