【特別企画】LED電球どれを買う? 2010

パナソニック「EVERLEDS 斜め取付け専用LED電球 6.0W」

~斜め口金でも直下を照らせるダウンライト向けLED電球
by 藤原 大蔵


光源部をクルッと回して直下を照らす、斜め口金専用のLED電球

パナソニックの斜め取付け専用LED電球「EVERLEDS(エバーレッズ) 小型電球タイプ6.0W LDA6L-E17/BH」。写真は電球色

 最近のLED電球は、出始めの頃よりも明るさや光の広がりの面でどんどん進化している。E26口金の一般電球タイプはもちろん、E17口金の小型電球タイプも同様。特に、以前レビューしたパナソニックのE17口金「EVERLEDS(エバーレッズ) LDA6L-E17」は、ミニクリプトン電球とほぼ同じ大きさでありながら、E26口金の一般電球形タイプにも負けないほどの明るさを備えた、優れたLED電球だった。

 ただし、LDA6L-E17の唯一ともいえる欠点が、光が横方向にあまり広がらないという点だ。光の指向性が強いLEDでは仕方ない面もあるが、例えばダウンライトなど口金が斜めになった照明器具では、そのまま斜め方向に光が向かうため、直下部に光が届かず、結果的に暗くなってしまうという問題があった。

 その欠点を解決したものが、今回紹介するパナソニックの「EVERLEDS 斜め取付け専用 小型LED電球 6.0W」である。この電球には、LEDチップが最初から斜めに配置されており、ソケットに取り付けた後に光源部をクルッと回転することで、ダウンライトのように口金が斜めに配置された器具でも、直下に明かりを照らすことができるという。他社のLED電球には見られない、とてもユニークな構造になっている。

昼光色タイプの「LDA6D-E17/BH」

 今回はこの“斜め口金”用のLED電球が、LDA6L-E17のような“スタンダードタイプ”と比べ、どのようなメリットがあるかをレビューをしていこう。なお、これまでのLED電球特集では電球色を中心に紹介してきたが、せっかくなので昼光色も合わせて紹介してみたい。



メーカーパナソニック
シリーズ名EVERLEDS(エバーレッズ)
定格消費電力6.0W
タイプ斜め取付け専用
品番LDA6L-E17/BHLDA6D-E17/BH
光色電球色昼光色
色温度2,800K6,700K
白熱電球と比較した明るさ
(ランプ単体)
40W形の約79%40W形相当
白熱電球と比較した明るさ
(直下部)
60W形以上60W形以上
口金タイプE17E17
全光束390lm480lm
調光器対応--
密閉器具対応
サイズ67×35mm
実測重量44g
定格寿命40,000時間
購入価格
(Amazon.co.jp 6/15時点)
3,730円4,168円

※比較用の電球形蛍光灯は、小型で光色の良いNECライティングの「コスモボール・ミニ」を使用

※ミニクリプトン電球はパナソニックの「LDS100V54WWK」 「LDS100V36WWK」(いずれも250円で購入)を使用
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用



【基本スペック編】


サイズ比較

 大きさはスタンダードタイプのものと変わっていない。サイズは実測で67x35mm(高さx直径)と、ミニクリプトン電球と全く同じ大きさである。電球らしいくびれは無いが、根元に向かってスッキリと細くなっており、どんな器具にも取り付けられそうだ。

 重量は44g。LDA6L-E17よりも9g重くなった。ミニクリプトン電球は14g、電球形蛍光灯は36gと一番重いが、この程度なら器具に負担をかけるようなものではない。

高さは67mm(左から2番目)で、60/40Wタイプのミニクリプトン電球(左)と同じ高さ。電球形蛍光灯(右)よりも20mm低い。スタンダードタイプ(右から2番目)と比べると1mmだけ低くなっている直径は35mm(左から2番目)で、ミニクリプトン電球(左)と全く同じ。光源部分はLEDが透けて見えるが、ガラス製で高級感がある

 それにしても、斜めに取り付けられたこの光源部分の形状は独特だ。垂直寄りに60度傾斜しており、普通のソケットではあさっての方向を向いている印象を受ける。当たり前だが、斜め口金以外の取り付けには向きそうにない。

 この光源部は、口金を軸に約300度回転する。回転時の感触は、固過ぎず、緩すぎずいったところ。そのため、光源部が止めたいところでピタリと止められる。


口金部分を回しているところ

光の広がりかた

 光は、スタンダードタイプをそのまま傾けたような広がりになる。斜めなので、ソケット方向や側面へもしっかりと光が届いているが、光を放たない逆側にはまったく光が届いていない。

【ミニクリプトン電球:60W/40W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
ソケット付近にもかなり光が届いている。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【パナソニック:E17LEDスタンダード】
ほぼ球形に光が拡散しており、光が遠くまで届いている。しかし、ソケット付近と側面への光の回り込みはどうしても弱くなってしまう
【パナソニック:E17LED斜め】
スタンダードタイプををのまま倒したように、斜め方向に光が球形に拡散している。そのため、ソケット付近にまで光が回り込んでいる

 ここで、口金が斜めになった器具に取り付けて、床面におけるスタンダードタイプと斜めタイプの光の広がりを比べてみた。結果、スタンダードタイプは、横方向への光が弱く、床面は全体的に暗くなってしまったが、斜めタイプは床と水平に光源が設定できるので、器具のベース付近一帯を明るくすることができた。

斜めタイプとスタンダードタイプを、写真のような器具に斜めにとりつけた。斜めタイプは光源部を回転し、LEDが真下を向くように調整した(写真左)【パナソニック:E17LEDスタンダード】
スタンダードタイプは電球が傾くと、直下でもそれほど明るくならない
【パナソニック:E17LED斜め】
斜めタイプは光源部が回転するので、電球の直下がしっかり明るくなる


明るさ(55cm直下の照度)

 斜め取付け専用になっても、その明るさは衰えない。それどころか、スタンダードタイプのLDA6L-E17よりも明るい結果が得られたのは驚きだ。(光源の位置はできるだけ同じ高さになるように設定している)

 なお今回は、シェードを外し、裸電球状態にして撮影した(斜めタイプの光がシェードに当たってしまうため)。そのため、ミニクリプトン電球と電球形蛍光灯は、光が四方八方に拡散し、シェード有りの場合よりも暗い数値になっている点がご了解いただきたい。

【ミニクリプトン電球:60W 288Lx】
斜め口金タイプに合わせるため、“裸電球状態”で光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した。シェードを省いているため、光が四方八方に拡散してしまう
【ミニクリプトン電球:40W 166Lx】【電球形蛍光灯 176Lx】
【パナソニック:E17LEDスタンダード電球色 448Lx】
光に指向性のあるLED電球は、シェードが無くても十分に明るい
【パナソニック:E17LED斜め電球色 475Lx】
スタンダードタイプよりも明るい結果が得られた
【パナソニック:E17LEDスタンダード昼光色 480Lx】
昼光色は電球色よりも明るい
【パナソニック:E17LED斜め昼光色 538Lx】
スタンダードタイプより50Lx以上明るかった




 スタンダードタイプと比べて、明るさは落ちていないのに驚いた。光色も良く、スタンダードタイプの性能の良さを、そのまま“斜め口金用”にそっくり移行したような感じだ。



【実使用編】

 ここからは、家庭内にある“斜め口金”の照明器具に取り付け、スタンダードタイプと斜めタイプ、およびミニクリプトン電球との違いを中心に比較していこう。なお電球型蛍光灯については、背が高く斜め口金のダウンライト器具に取り付けられなかったため、今回は割愛させていただく。


ダウンライト

 まずは、メイン用途となる斜め口金のダウンライトで挑戦。結果的には、その効果がはっきりと実感できた。スタンダードタイプよりも、壁面へしっかりと光りが届き、電球色、昼光色とも、40Wタイプのミニクリプトン電球よりも確実に明るいと感じられた。

 取り付けも簡単だった。クリプトン電球とサイズが変わらないので、コンパクトなダウンライトにも問題なく取り付けられた。ダウンライトの開口部はたったの80mmだったにも関わらずだ(高さが87mmある電球形蛍光灯は取り付けられなかった)。

 ちなみに、このダウンライトは洗面所のもの。洗濯機も置いてあるので、昼光色を選べば、汚れが確認しやすくなるだろう。

【ミニクリプトン電球:60/40W】
小型電球用のコンパクトなダウンライトで試す
【パナソニック:E17LEDスタンダードタイプ】【パナソニック:E17LED斜めタイプ】
【ミニクリプトン電球:60W 304Lx】
ミニクリプトン電球60Wの様子。明るい
【ミニクリプトン電球:40W 210Lx】
ミニクリプトン電球40Wの様子。60Wより暗くなるが、実用的な明るさ
【パナソニック:E17LEDスタンダード電球色 211Lx】
直下の明るさはミニクリプトン電球40Wとほぼ同等。ただし明るさに偏りができる
【パナソニック:E17LED斜め電球色 217Lx】
直下の明るさはミニクリプトン電球40Wを超える。明るさの偏りも改善され、全体の明るさの雰囲気はミニクリプトン60Wにかなり近づく
【パナソニック:E17LEDスタンダード昼光色 230Lx】
直下の明るさはミニクリプトン電球40Wよりさらに上になるが、明るさの偏りは避けられない
【パナソニック:E17LED斜め昼光色 235Lx】
直下の明るさはミニクリプトン電球60Wには及ばない。しかし、明るさの偏りが改善され、むしろ明るい印象が得られた

浴室

 斜めに電球を取り付ける浴室の密閉器具にも、問題なく取り付けられた。しかも、光がグローブのほぼ中心を照らすため、器具が持つ印象が大きく崩れなかった。さすがに60Wタイプのミニクリプトン電球よりも暗くなってしまうが、40Wタイプのミニクリプトン電球よりも明るい印象だった。照明器具が、内部で乱反射した光を天井面や壁面へ送るタイプだったことも影響しているかもしれない。

 これまで試したLED電球は、どれもあまり浴室照明に向いていないものが多かった。しかし今回は、器具との相性の良さも相まって、実使用に値する明るさが得られた。

【ミニクリプトン電球:60/40W】
浴室の密閉器具にクリプトン電球を取り付けた様子。斜めに取り付け用の器具で、器具の背面からも光が洩れる
【パナソニック:E17LEDスタンダードタイプ】
光源部が斜め下を向いてしまう
【パナソニック:E17LED斜めタイプ】
【ミニクリプトン電球:60W】
器具全体が輝き明るい。器具後方からも光が洩れている
【ミニクリプトン電球:40W】
【パナソニック:E17LEDスタンダード電球色】
光が器具の下方に偏り、天井方向にあまり光が届かない
【パナソニック:E17LED斜め電球色】
光の偏りが改善され、天井方向、器具がある壁面側にも均等に明るくなっている
【パナソニック:E17LEDスタンダード昼光色】
電球色よりも明るいが、やはり器具の下方に光が偏る
【パナソニック:E17LED斜め昼光色】
電球色同様、天井・壁面に光が均等に届いている。クリプトン電球40W以上の明るさになった

換気扇の照明

 このほかに取り付けられる場所はないかと探したところ、キッチンの換気扇の内部にある小さな電球のソケットが、E17口金であることが判明。斜めではなくて横向きではあるが、いちおう取り替えてみた。

 結果的には、これまではオマケ的要素の強い暗く小さな照明が、斜めLED電球で実用的なものに生まれ変わった。斜め取付け専用のLED電球ではあるが、真横に取り付けても効果は十分に得られた。器具内部は小型電球向けに小さかったが、問題なく取り付けられた。

 換気扇の照明にLEDだなんて、ちょっと贅沢すぎる使い方かもしれないが、手元がしっかり照らせるため、薄暗い白熱電球よりも快適に料理ができるようになった。特に昼光色は、手元が40Wタイプの小型電球よりもかなり明るく、食材の色もはっきり見えた。

換気扇についている密閉型照明器具。口金は斜めではなく横向き。取り付けられる電球は40Wまでで、内部に反射板はない斜めタイプのLED電球を取り付けたところ。横向きの口金でも問題なさそうだ
【小型電球:40W】
点灯しても薄暗く、料理をする実用的な灯りとして十分に機能していない。オマケ的要素が強い
【パナソニック:E17LED斜め電球色】
器具に反射板がないが、小型電球40Wよりもはるかに明るい結果になった
【パナソニック:E17LED斜め昼光色】
昼白色はさらに明るくなる。いままではあくまでサブできな役割だったのが、交換した途端に実用的な明かりに生まれ変わった

※番外編 食卓のシーン

 最後に、食卓にも取り付けてみた。本製品はダウンライトがメイン用途なので、食卓で使用されるケースは少ないだろうが、演色性を評価するため、敢えて紹介させていただく。

 結果的には、非常に良い色が得られた。電球色は少し黄色っぽく、昼光色は少し青っぽい色被りがあるものの、それほど気にならない程度。食べ物はおいしそうに見え、微妙な色合いも識別できるものだった。

【ミニクリプトン電球:60/40W】
全体的においしそうに見える
【電球形蛍光灯】
色の良さに定評のあるNEC製だが、ミニクリプトン電球と並べると全体的に発色が悪く見えてしまう
【パナソニック:E17LEDスタンダード電球色】
演色性は良好。食べ物全体がおいしそう見え、皿の微妙な色合いもわかる。若干の色被りはあるが、ほとんど気にならないレベル
【パナソニック:E17LED斜め電球色】
スタンダードタイプと光色はほとんど同じ
【パナソニック:E17LEDスタンダード昼光色】
昼光色も演色性は良好。白い皿が少し青っぽく見えてしまうが、そこまで気にならない。食べ物全体もおいしそうに見え、それぞれの色味がはっきり区別できる
【パナソニック:E17LED斜め昼光色】
斜めタイプでもスタンダードタイプと光色はほとんど変わらない


ミニクリプトン電球との交換で、元が取れるのは最短1年1カ月

 ミニクリプトン電球40Wと交換した場合、電球色タイプは1年7カ月、昼光色では1年10カ月で元が取れる試算となる(消費電力は電球色・昼光色ともに5Wだが、電球色と昼光色の価格は異なる)。60Wタイプとの交換では、電球色が1年1カ月、昼光色では1年2カ月。消費電力が高いミニクリプトン電球60Wと交換すれば、省エネ効果が高まり、より電気代を抑えることができるだろう。

 電球形蛍光灯と比較した場合、8年4カ月(100カ月)後と、蛍光灯を4個目に交換する時にやっと元が取れる、という試算になってしまった。が、そもそも斜め口金の照明器具には、スペースの制約上、電球型蛍光灯を付けているシーンというのは稀だろう。もし現在斜め口金に電球型蛍光灯を付けている人がいるならば、焦って変えるだけのメリットは、経済的にはあまりなさそうだ。

【従来の光源と比較した”いつになったら元が取れるか”リスト】
光源消費電力1カ月3カ月半年(6カ月)1年1年1カ月1年2カ月1年7カ月1年10カ月2年4年8年4カ月
パナソニック:斜め 電球色5W3,754円3,803円3,876円4,022円4,046円4,071円4,192円4,265円4,314円4,606円6,163円
パナソニック:斜め 昼光色5W4,192円4,241円4,314円4,460円4,484円4,509円4,630円4,703円4,752円5,336円6,601円
ミニクリプトン:60W54W539円1,117円1,984円3,968円4,257円4,545円6,240円7,107円7,685円15,370円29,545円
ミニクリプトン:40W35W436円807円1,363円2,727円2,912円3,098円4,275円4,832円5,203円7,930円20,134円
電球形蛍光灯7W817円890円999円1,218円1,254円1,291円1,474円1,583円1,656円2,874円6,770円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球は4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年10カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算

【ミニクリプトン電球:60W 54W】【ミニクリプトン電球:40W 35W】【電球形蛍光灯 7W】
【パナソニック:E17LED斜め電球色 5W】【パナソニック:E17LED斜め昼光色 5W】


スタンダードタイプの性能の良さを継承。斜め口金なら変えて問題なし

 今回試した斜め取付けLED電球の良さは、LDA6L-E17同様、とにかく明るいところにある。元々ランプ自体が40Wタイプのミニクリプトン電球よりも明るく、それが電球を斜めにできることで、直下の明るさが損なうことなくちゃんと得られる。

 価格が4,000円前後と高価なのは玉に瑕だが、スペックの高さを考えれば、現時点では納得といったところだ。演色性も高く、一般電球形LED電球と同じ40,000時間の長寿命、さらに密閉器具にも対応というほぼ完璧な要素に、“斜め口金に対応”という、新たな機能が加わったのだ。

 とても明るいので、電球を斜めに取り付ける器具には全般的にお勧めできる。特に、電球形蛍光灯が取り付けられないようなコンパクトな器具には、すぐに交換しても良いのではないか。



パナソニック「EVERLEDS 斜め取付け専用6.0W」はこんなLED電球

・斜めや横向きの口金でも、直下部が照らせる

・スタンダードタイプと変わらない明るさ
演色性が良く、色味が重要なシーンにもOK
・40Wタイプのミニクリプトン電球と交換で、約1年で元がとれる (1日8時間使用)








2010年8月20日 00:00