【特別企画】LED電球、どれを買う?
NEC「ライフレッズ 一般電球形7.5W LDA8L」
●スッキリデザインと十分な光の広がり。汎用性の高いLED電球
NECライティング「LIFELED'S (ライフレッズ) 一般電球形7.5W LDA8L」。一般電球に近いスタイリッシュなランプ形状が特徴だ |
昨年発売されたLED電球の中で、「良い製品なんだけど、惜しい!」と思わされたものがあった。NECライティングの「LIFELED'S(ライフレッズ) ELL6L-100V」である。明るさ、色の再現性はトップクラスなのに、光はスポットライトのように直線的で、かつ銀色の放熱フィン部が大部分を占めるというメカニカルなデザインとなっており、かなりクセの強い製品だったからだ。
しかし、この6月に発売された新しいライフレッズ「一般電球形7.5W LDA8L(電球色相当)/LDA8D(昼白色相当)」では、そのクセが大きく改良された。放熱フィンを省いたスッキリとしたデザインは、いかにも白熱電球らしい形状。前モデルのメカニカルな見た目は影を潜めている。光も、白熱電球のように広がっている。
こちらが従来モデルの「LIFELED'S(ライフレッズ) ELL6L-100V」。明るさと色の再現性は高いが、メタリックなデザインと直線的な光のため、白熱電球との交換にはあまり向かなかった |
先に結論を言ってしまうと、この新しいライフレッズは、従来モデルの明るさ、色の再現性を継承しつつ、より使いやすい、汎用性の高いLED電球へと成長を遂げた。今回は、このライフレッズの電球色タイプ「ライフレッズ 一般電球形7.5W LDA8L」を紹介しよう。
シリーズ名 | LIFELED'S(ライフレッズ) |
製品名 | 一般電球形7.5W |
品番 | LDA8L |
光色 | 電球色相当 |
購入価格 (楽天市場 6月時点) | 2,550 円 |
口金タイプ | E26 |
定格寿命 | 40,000 時間 |
全光束 | 405 lm |
最大光度 | 77 cd |
白熱電球と比較した明るさ (ランプ単体) | 30W相当 |
白熱電球と比較した明るさ (直下部) | 60W相当 |
平均演色評価数 | Ra80 |
調光器対応 | - |
密閉器具 | - |
サイズ (高さx直径) | 110 x 60 mm |
重量 | 116 g |
※白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用
【基本スペック編】
●サイズ比較
まず目を引くのが、白熱電球のシルエットをそのまま再現したようなデザイン。LED電球にありがちなゴツゴツとした放熱部のフィンが無く、全体的にスッキリとした、滑らかな仕上がりになっている。
また、従来モデルではあらわになっていたLEDチップは、半透明な樹脂に覆われ、ほとんど見えなくなった。たとえ電球が露出するような器具に取り付けても、異質な印象はない。電球自体の装飾も控えめなので、取り付ける器具の選択肢は広いだろう。
なお、サイズは110×60 mm (高さ×直径)で、白熱電球と電球形蛍光灯とを並べてみると“少し大きめの電球”といったところ。重量は116gと、LED電球の中でも軽い。器具への負担が少なそうだ。
高さは110mm(中央)で、60Wタイプ白熱電球(左)と比べると16mm高い。電球そのもののシルエットで、放熱部もツルリとした滑らかな仕上げが目を引く | 直径は60mm(中央)。60Wタイプの白熱電球(左)と電球形蛍光灯(右)の直径は55mmなので、やや大きめだ。光源部は樹脂製で、7個のLEDチップが少しだけ透けてみえる |
●器具に取り付けた様子
白熱電球よりも背は16mm高いが、器具への収まりは良い。放熱部はかなり覗き込まないと見えないので、見た目ではほとんど変わりない。見る角度によってLEDチップが多少透けて見えるが、ほとんど気にならない。
【白熱電球:60W】 電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した | 【電球形蛍光灯】 電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けてみえる | 【ライフレッズ:60W】 背は白熱電球よりも高いものの、覗き込まない限り放熱部は見えないため、ほとんど気にならない。直径は一回り大きいが、あまり気にならない |
●光の広がりかた
光源部を中心に、ほぼ球形に拡散している印象だ。ソケット方向へもある程度光が回り込みながら、LEDらしく、遠くまで光が届いているのがわかる。従来モデルと比べると、明らかにこちらの方が白熱電球に近い。なお、配光角度は120度とされている。
【白熱電球:60W】 ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている | 【電球形蛍光灯】 白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ |
【ライフレッズ:60W】 ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みは弱いものの、遠くまで光が届いている。配光角度は120度とのこと | 【ライフレッズ従来モデル:60W】 こちらはライフレッズの2009年モデル。スポットライトのような直線的な光を放つため、電球のソケット付近と側面への光りの回り込みがほとんど得られない。光は遠くまで届くが、ムラができやすい |
【ライフレッズ:60W】 ここで、新旧のライフレッズの明かりの比較をしてみよう。照明器具に取り付け、シェードに光が透過するようすを見てみた。新バージョンでは、陶器のシェードがムラ無く光り、器具の持つイメージが損なわれない | 【ライフレッズ従来モデル:60W】 従来モデルでは、シェードに光が透過しない |
【ライフレッズ:60W】 影のようすも比較した。新バージョンでは、取り付けた器具内部の反射光も望めるので、LED電球でありながら影が柔らかくなった。一般照明に向きそうだ | 【ライフレッズ従来モデル:60W】 従来モデルでは、どうしても影が強く落ちる。ただし、煌き感を演出したい場合には適している |
●明るさ(55cm直下の照度)
明るさは520Lxで、60WタイプのLED電球の中でも上位の数値となった。電球形蛍光灯よりも確実に明るく、しかも光色が自然で色がくすまないのも良い。パッケージには、ランプ単体の明るさは30W形相当と控えめに記載されているが、実際には40Wの白熱電球(同条件で437Lx)よりも明るい結果となった。
撮影中に気づいたことだが、電源を入れてすぐ点灯するのではなく、一瞬だけ遅れて点灯するようだ。ただし、コンマ数秒の間があるだけで、家庭で使用する分には特に気にするほどのものではないように感じた。
【白熱電球:60W 800Lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【電球形蛍光灯 475Lx】 |
【ライフレッズ:60W 520Lx】 2010年にレビューしたE26口金LED電球の中では、一番の明るさ。全体的には、40Wタイプの白熱電球よりも明るい印象だ | 【※参考 白熱電球:40W 437Lx】 |
一言で言えば、バランスの良いLED電球だ。明るさはトップクラス、光の拡散性も申し分なく、光色も自然。白熱電球よりも多少大きいが、LED電球としては並みで、逆にフィンを省くことでスッキリとスリムに見えるほどだ。照明器具との相性も良いだろう。
【基本スペック編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けてのようすを見てみる。なお、密閉器具には使用できないので、浴室や密閉型のインテリアライトの写真は割愛している。
●玄関
玄関には全く問題ない使用感が得られる。白熱電球と並べて比較すると暗く感じるが、実使用では明るく快適な玄関となった。光色も自然で、蛍光灯のようなくすんだ印象にならず、LED電球にありがちな強い影もできにくい。人を迎え入れる場所に相応しい、親しみやすい雰囲気が得られる。
【白熱電球:60W】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【電球形蛍光灯】 比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる | 【ライフレッズ:60W】 十分に明るく、色合いも自然で、玄関にふさわしい。白熱電球に比べれば暗くなってしまうが、薄暗くなったという印象にはならない |
●トイレ
玄関同様に、トイレでの使用でもその良さが実感できる。撮影時、60Wタイプの白熱電球に合わせているので、写真の印象はどうしても暗くなってしまう。しかし清潔感があり、暑苦しさの少ない光色は狭い空間でも快適である。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
【白熱電球:60W】 明るく気持ちよく過ごせる | 【ライフレッズ:60W】 トイレでも快適に使える。光色は清潔感もあり、快適だ |
●リビングルーム
透過タイプのシェードでは、テーブル面や棚もしっかり明るく、白熱電球にも負けないほどの明るさが感じられる。天井面はやや暗くなってしまうが、壁面はそれほど暗くならない印象。部屋全体の明るさのバランスも良く、暖かみのある、心地良い雰囲気を演出することができた。シェードも全体的にくまなく光っており、器具の持つ印象がほとんど変わらないのも良かった。
非透過タイプもとても良い印象だ。こちらも天井や壁面からの反射光はイマイチだが、光が直接届くテーブル面は、白熱電球に負けないほど明るい。光のコントラストもつくので、他の補助照明ともあわせて、リビングルームらしい落ち着いた雰囲気が演出できるだろう。
撮影していて感じたのは、光の“伸び”。光源から距離のあるテーブル面が、白熱電球にまったくひけを取らないほど明るく、遠くまで光がしっかりと届いているように感じた。
●食事の風景
色味が重要な食事のシーンでも良い結果が得られた。白色に若干の色被り(無駄な色が重なること)はあるが、食べ物はおいしそうに見え、全体の色のバランスも良好である。食器やランチョンマットの微妙な色合いもしっかり識別できる。とても明るいので、快適な食卓が演出できるだろう。
しかし、細かい話で恐縮だが、演色性(色の再現性)に限って言えば従来モデルの「ELL6L-100V」の方が良かった。色被りがまるで感じられず、食べ物はもちろんすべての色合いが自然だった。LDA8Lの演色性はLED電球の中でも上位である事に違いないのだが、比較すると演色性が少し劣ったという印象が否めない。色を最重要視する人は、従来モデルの方がお勧めだ。
【白熱電球:60W】 全体的においしそうに見える | 【電球形蛍光灯】 左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える |
●60Wタイプの白熱電球との交換で、元が取れるのは【9カ月後】
60Wタイプの白熱電球と交換した場合、9カ月で元が取れる試算結果となった(1日8時間使用と仮定)。消費電力は7Wと、6W以下が多いLED電球の中では高めの部類に入るが、もともとの電球の価格が安い分、60WタイプのLED電球の中でも早めに元を取ることができそうだ。
しかし、電球形蛍光灯と交換した場合、元がとれるのは54カ月(4年6カ月)後と、LED電球の中ではかなり遅い。たった1W高い消費電力が、この結果につながってしまった。
とは言っても、電球形蛍光灯よりも消費電力は低いのは確か。良好な光色、点灯した瞬間から蛍光灯以上の明るさが得られるメリットは大きい。現在の電球形蛍光灯に不満がある場合は、交換をお勧めしたい。
使用期間 | 消費電力 (実測) | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 9カ月 | 1年 | 2年 | 4年 | 4年半 |
ライフレッズ:60W | 7W | 2,586円 | 2,660円 | 2,769円 | 2,878円 | 2,988円 | 3,426円 | 4,302円 | 4,521円 |
白熱電球 | 56W | 370円 | 966円 | 1,932円 | 2,897円 | 3,792円 | 7,583円 | 15,166円 | 17,098円 |
電球形蛍光灯 | 10W | 1,445円 | 1,554円 | 1,719円 | 1,883円 | 2,047円 | 2,704円 | 4,018円 | 5,737円 |
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」 ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算
【白熱電球:60W 56W】 | 【電球形蛍光灯 10W(安定時)】 | 【ライフレッズ:60W 7W】 |
●全てのシーンにお勧め、明るくバランスの良いLED電球
全体的にバランスが良い製品だが、なんと言っても力強い明るさが魅力的だ。白熱電球から取替えても極端に暗くなることはなく、テーブル面などでは同等の明るさが感じられるのは特筆すべき点である。従来モデルのような光りの拡散性と見た目のクセも改良され、非常に使いやすいLED電球になったといえるだろう。
細かいことを言うと、消費電力が7Wとやや高めな点はマイナスか。一般的なLED電球では5W前後が多いなかではやや目立った数値で、1年間の電気代で比較すると、5Wのものよりも電気代は146円も高くなってしまう。ただし、E26口金タイプの中ではかなり明るく、白熱電球や電球形蛍光灯よりも数値が低いのは変わらない。消費電力の少なさを最優先する人以外は、あまり気にしすぎるほどのことでもないだろう。
拡散性も良く光色も自然なので、明るさが求められる全ての場所にお勧めできるLED電球だ。電球らしいスッキリとした見た目なので、電球が露出するようなデザインのものも含め、多くの照明器具に取り付けられるだろう。
・明るさはE26口金のLED電球の中でも上位
・光に伸びがあり、遠くまで届く。拡散性も高く、光色も自然
・放熱部はスッキリとしており、いかにも電球らしいシルエット。照明器具を選ばない
・60Wタイプの白熱電球と交換した場合、9カ月以内に元がとれる(1日8時間使用)
2010年8月10日 00:00