家電製品ミニレビュー
ハイアールアクアセールス「全自動洗濯機 AQW-VW1000C」後編
~糸くずやティッシュのカスがつかないのは本当だった! 大容量で仕上がり重視の全自動洗濯機
by 神原サリー(2014/9/24 07:00)
「こうだったらいいのにな」という洗濯機の不満を解消するような機能がついているハイアールアクアセールス(以下アクア)の全自動洗濯機「AQW-VW1000C」。前回は10kgという大容量の便利さや、脱水コントロール機能の仕上がり感の良さなどを検証した。後編となる今回は、いよいよ「衣類おそうじ」の実力や、タテ型の洗濯機ならではの魅力に迫る。
メーカー名 | ハイアールアクアセールス |
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製品名 | 全自動洗濯機 AQW-VW1000C |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシ.com |
購入価格 | 98,890円 |
衣類おそうじの威力はいかに?
記者説明会の時から惚れ込んでいた「衣類おそうじ」機能。これは左右に大きく動く新開発の「可動式糸くずフィルター」と、洗濯槽底部に備えた「ツインパルセーター」が作るパワフルな水流によって、糸くずを約93%キャッチして再付着を防ぐというものだ。
“糸くずがつきにくい”というのは何とも地味な機能のように思うかもしれないが、子どもたちが小さい頃から、今に至るまで、何度「ティッシュ事件」が起きてしまって呆然としたことだろう。そう、ポケットにティッシュが入ったまま洗ってしまい、ありとあらゆる洗濯物にティッシュのカスが付着して、振れば部屋中に破片が舞い散り、かといってすべて取れるわけではなく、粘着テープでぺたぺたしても、なかなか取れないというあの騒ぎのことだ。そんな“洗濯機あるある”のティッシュ事件の心配がないなんて、どれだけ心安らかに洗濯ができるだろうか。
まずは手始めに買ったばかりのバスタオルと、濃い色のポロシャツを一緒に洗ってみることにした。これまでの経験だとしばらく洗濯を繰り返さないとタオルの糸くずが洗濯液やすすぎ水に落ち、ほかの衣類に付着してしまうため、別に洗わないといけなかった。うっかり濃い色の衣類と一緒に洗ってしまうと、ティッシュ事件さながらの悲惨な状態になってしまうからだ。ところが、全くと言っていいほどポロシャツに糸くずが付いていない。きれいな仕上がりだ。糸くずフィルターを外してチェックしてみると、たった1回の洗濯でも驚くほどの糸くずがたまっている。なるほど、これが「衣類おそうじ」なわけだ。
もう「ティッシュ事件」に泣かなくてもいい!
さて、いよいよティッシュ事件の再現をしてみる番だ。洗濯槽の中にティッシュをちぎって入れてみてもよかったのだが、なるべく現実に近づけようとポケットのチュニックにティッシュペーパーを3~4枚ほど折り畳んで入れ、黒や紺などの濃い色の洗濯物やタオルなどと一緒に標準コースで洗ったみた。
終了のブザーと共にふたを開けてみる。目視した感じではティッシュの破片は見られない。まずはチュニックを取り出してポケットを確認すると、予定通りティッシュは外に出ていて跡形もない。続いて紺色の薄手のジャージ素材のヨガパンツを取り出してみるとティッシュのカスも繊維もほとんど付いておらず、きれいだ。
毛羽立ちのある黒いTシャツを取り出してみる。やっぱり! 大きめのカスこそ付着していなかったが、細かな繊維がついていて気になる。さすがのパワフル水流でもこれが落としきれなかったようだ。もう1枚のタンクトップは表面がサラッとした素材だったためかヨガパンツ同様、きれいだった。
濃いブラウンのタオルを見てみるとこちらも問題ない。タオルの繊維の間にティッシュの破片が隠れいないかどうか振ってみたが、それもなし。すべての洗濯物を取り出した後の洗濯槽の中を確認してみても、何もない。これまでの洗濯機だったら洗濯槽の中の掃除も大変だったのでさすがだ。
糸くずフィルターにはティッシュが溶けたような繊維がたくさんたまっていて、ここでしっかりとキャッチしていたことがわかる。一度キャッチしたものが再び洗濯槽内に出ていかないというのも大きなポイントなのではないだろうか。1枚だけ気になったものがあったが、これなら及第点。もうティッシュ事件に泣かなくてもよいのだ。
タテ型の洗濯機ならではの魅力を再確認
ここ3年ほどドラム式洗濯乾燥機を使ってきたが、不便だなと感じていたことの1つにバスマットやトイレのマットなど、裏にゴムの付いた厚手のマット類を洗えないことがあった。ドラム槽で洗うと、洗濯物の偏りなどのために大きな振動が起き、うまく脱水できないなど不具合が発生するためほとんどのドラム洗でNGとなっているのだ。
AQW-VW1000Cの取扱説明書を確認すると、全自動洗濯機とはいえ、厚手で固いマット類は洗濯してはいけないと書いてある。ただ、我が家のマット類はそんなに厚手ではなく、裏のゴムも薄手でやわらかい。たぶん大丈夫だろうと判断し、バスマット、トイレのマットなどのマット類をまとめて洗濯機へ。洗濯や脱水時にも特に大きな振動を起こすことなく、穏やかに洗濯をすることができた。これまではコインランドリーに持って行って洗濯していたので、家で洗えるのはとてもうれしい。久しぶりに家で洗濯して、さっぱりと干すことができ大満足だった。
ほかにもタテ型ならではのいいところがある。毎日の洗濯で気づくのは、タオル類を洗って天日干しした際に、ごわごわ感がないこと。ドラムの場合は“たたき洗い”のために繊維が寝てしまい、そのまま干すとごわごわな仕上がりになるのだ。
その代わり、乾燥機能を使うとドラム内に洗濯物を広げ、繊維を起こしながら乾かしてくれるのでふっくらと手触りのよい仕上がりになって、これまた別格。つまりドラム洗で乾燥まで行なった時の仕上がり感には負けるが、天日干し派の場合はタテ型(全自動)の勝ちということだ。
また、洗濯が始まってから「あ、これ入れ忘れた!」というときにも、ふたを開けて気軽に追加投入できるのも便利な点だ。AQW-VW1000Cの場合、洗いの段階ではふたにロックがかかっていないので、ロック解除などの面倒な手順を踏まなくても簡単にふたが開けられる。一端ふたを開けると、パルセーターの動きが止まって「U4」と表示され、ピピッと注意音が鳴るが再びふたを閉めれば、また元通りに洗濯が始まる。
自分流コースを作ったり、ほかのコースも試してみた
最後に標準コースやドライコース以外のコースもチェックしてみよう。標準コースでは「洗い10分」「(ため)すすぎ2回」「脱水7分」がデフォルトとなっている。我が家の場合、泥汚れの洗濯物を出すサッカー部の息子も育ちあがってしまったので、基本的にたいして汚れた洗濯物があるわけではない。
そこで、少なめの洗濯物で汚れの気にならない、いつもの洗濯の際には「洗い3分」に変更、すすぎはしっかりとしたいので、標準のままの「ためすすぎ2回」、脱水も同様に「7分」として「自分流コース」を設定してみた。洗い時間を短くした分、洗濯全体の時間も短くなって満足している。
今話題の「おいそぎコース」というのもあるが、これは「洗い7分」「注水すすぎ2回」「脱水3分」の設定になっており、すすぎの水が多めになる点や、脱水があまい点がどうにも気になるので使うのがためらわれる。
そのほか「部屋干しコース」というのもある。これは脱水後に送風による「風乾燥」を30分ほど自動で行なう設定が組み込まれたものだ。このあたり、風乾燥を使う方法がいいのか、アクアならではの「しっかり脱水」を利用したほうがいいのか迷うところだ。ただ、実際に使ってみた印象では風乾燥に30分かけなくても「しっかり脱水」で十分だということ。しわもたいして気にならず、時間もかけずにすぐに干せるので部屋干しの場合も「しっかり脱水」のほうを使っている。
滅多に使うことはないが「ナイトコース」も静かさの点で便利だ。勢いを抑えてソフトに洗い、脱水も回転数を抑えて静かに行なう分、「洗い15分」「脱水12分」と洗濯終了までにかかる時間は長い。夜間に洗濯をしなければならず、振動やモーター音を抑えたいというときによいと思う。
仕上がり感にこだわったシンプルで使いやすい全自動洗濯機
実際に使ってみるまでに「良さそう!」と心に響いたポイントが、すべて納得感のある結果で実証できたAQW-VW1000Cだった。少ない水でパワフルに洗うツインパルセーターは洗濯の基本機能として魅力的だが、やはり特筆すべきは「脱水コントロール」や「衣類おそうじ」などの仕上がり重視という点だろう。
これまで洗濯をしてきて何となく不満に思ってきたけれど、それぞれの洗濯の仕方で対処してきたことをすっきりと解決してくれる全自動洗濯機といえばいいだろうか。脱水時間を調節したり、分け洗いを徹底したり、事前のポケットのチェックを徹底したりという、洗濯する人の手間をかけることなく、「大丈夫ですよ」と安心させてくれる洗濯機。大容量なので大人数の家族にも向くし、まとめ洗い派にもいい。もちろん少ない人数の家族の少容量の洗濯物にも対応するし、寝具だって洗える。
シンプルで使いやすく、細やかな気配りのあるアクアの全自動洗濯機、気に入りました。