家電製品ミニレビュー

ホームベーカリーの焼きたてパンもするする切れる“電動ナイフ”

ブラック&デッカー「電動ブレッド&マルチナイフ EK700」

 ブラック&デッカーから発売されている電動ナイフ「電動ブレッド&マルチナイフ」は、いかにも電動工具のメーカーらしい製品。ホームベーカリーの人気が高まり、家庭で焼きたてのパンを切るシーンが増えたことを受け、登場した製品とも言えるでしょう。しかし、「ブレッド&マルチナイフ」でもありますので、パン以外に、どんなシーンで役立つか試してみたいと思います。

メーカー名ブラック&デッカー
製品名電動ブレッド&マルチナイフ EK700
希望小売価格9,450円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,527円

2枚刃でスッパリとした切れ味を実現!

 製品は、電動ノコギリをイメージして頂ければOK。ナイフの刃が、電動で前後に動くので、手動でギコギコとしなくても切れるという代物です。ナイフの刃は結構粗めの半円型が連なるノコギリ刃で、刃が鋭いとは言え、木材とは違い繊細な食材が切れるのか? とやや心配になります。しかし、心配ご無用! 普通のナイフと違い、2枚刃であるのがこのナイフの切れ味の秘密なのです。

 仕組みをご説明しますと、ノコギリ刃が2枚あり、この2枚の刃が先端の突起でジョイントされていますが、ぴったりくっついているのではなく、前後にズレル程度の遊びがあります。その結果2枚の刃は、一枚が前方に動くともう一枚は後方に動くというように、それぞれの刃が前後にこすり合っているような動き方をしているのです。このように、刃が交互に動くことで、食材を凹ませることなくキレイに切れるという訳です。

見た目は、電動ノコギリそのもの! 本体サイズは460×60×70mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約0.7kg
ノコギリ状の刃、2枚で食材を切る。先端で2枚のブレードがジョイントされている。長さは185mm
ブレードは丸型のノコギリ刃でかなり鋭いが粗め。ジョイント部分は、それぞれスライドしながら動けるように遊びがある

安全への配慮もあり安心して使える

 まずは本体とブレードをセットします。ハンドルの部分に刃を刺し込む溝があり、2枚のブレードを刺し込みます。握った時、刃が下側に向くように入れるのが正しい向きですが、万が一間違えてもセットできないようになっているので安心です。

 ブレードがカチッとセットされれば、電源コードを刺してスタンバイOK。ハンドル部分を握り、トリガースイッチを押せば作動開始です。しかし、トリガースイッチには、安全ロックがあり、この突起を押し込まないとトリガーが握れないようになっています。このロックが少々外しにくいのですが、刃物なので外しにくい程度が良いのかもしれません。

ハンドル部分に2枚のブレードを刺し込むように取りつける
トリガーには白い突起があり、押し込まないと電源が入らない安全ロックになっている

柔らかいモノから硬いモノまでいろいろ切れる!

 では、いろいろな食品を切った様子をご紹介します。まずは、製品名にもなっている「ブレッド」を切る様子からご覧ください!

食品の柔らかい固いに関わらず、全ての食品でこの電動ノコギリ音はします!

 いかがですか? 市販の丸パンを切ってみましたが……音は電動ノコギリそのもの。早朝など家人が寝ている時間帯だと使うのはためらわれるかもしれません。

上が手動ナイフ、下が電動ナイフで切ったもの。電動は切り口の目が揃っているのに対し、手動だと生地がよれて粗めの切り口になりがち。

 次は、ベーカリーで焼いたパンです。焼き立てパンは柔らかいため、確かにパン切り用のナイフを使っても、手動ではパンがつぶれてしまうものです。しかしこのナイフなら、ふわふわの状態でも生地を凹ますこと無く、するすると切れていきました。しかも、かなり薄く切ることが可能なので、サンドイッチやカナッペなど、薄切りをしたいときは最適です。

ホームベーカリーで焼いたパンでも、かなりの薄切りができる!
やはり、刃にご飯粒の粘りはつくので何回か切って切りにくくなれば、水に濡らすなどの対処は必要

 続きまして、巻き寿司です。包丁で切ると、具のところで型くずれしてしまったり、ご飯がこびりついてしまい、2回3回とカットしていくと切れ味が悪くなる曲者です。ということで、切断有効長18.5cmの長さを生かして一気に3本をカットしてみました。かなり薄めに切っても、巻きが変形することなくスッキリ切ることができました。とはいえ、刃にはやはりご飯がつきますので、何回か続けて切るときは刃を水に濡らすなど対処は多少必要ですが、何本も一度に切れるので、パーティの準備などにはとても重宝しそうです。

最初、刃が震えてポジションが決めにくいですが、刃が入れば一気に切れていく

 柔らかいものだけでなく、固いものもできるのか試してみるため、梨をタテ方向に輪切りにしてみました。固さが程良いせいで、本当に軽々と切ることができます。梨をこのようにスライスすることはあまり無いかと思いますが、意外と食べやすくて新鮮な切り方です。しかも、薄くキレイに切れるので、盛り付けで一工夫したい時などに便利そうです。

 最後に、かぼちゃを試してみました。皮が固いため、包丁で切るのもなかなか手ごわい食品の1つです。コレがすんなりカットできるなら、守備範囲も広いと期待したのですが……残念! やはり手ごわく、皮に刃が入ってもなかなか切れず途中であきらめました。スイカやメロンなら大丈夫そうですが、皮も身も固い食材には向かないようです。

タテ方向の輪切りなど、ちょっと変わった切り方にできるのも魅力の1つ
かぼちゃの皮に刃は入り込んだのですが、スパっとはいかず…断念!

お手入れはブラシが安心

 お手入れは通常の刃モノと同様です。先端の突起をずらせば2枚の刃は簡単に分離できるので、使用後のお手入れもしやすくなっています。ただし、ノコギリ状の刃なので、くれぐれも手を切らないように、スポンジよりブラシでお手入れすることをおすすめします。

ホームベーカリーを日常的に使っているならオススメ!

 様々なものを切ってみましたが「切る」ということに関しては、高い性能を発揮してくれました。特に、柔らかいパンを好みの厚さに切るには最適です。日常的にホームベーカリーでパンを焼いているご家庭なら、1本あると便利なアイテムでしょう。

 本体重量は700gで、女性でも片手で持てる重さではありますが、電動なのでハンドル部分はモーターの重さが加わる上、スイッチを入れると“ブルブルブル”と本体全体が細かく震えます。軽々と扱えるという感じではありません。最初にこの製品を知った時、力が無くなる高齢者におすすめなのでは? と感じましたが、やはりモーターの重さや振動があるため、そこそこ力が無いと扱いは難しそうです。

 それでも、食品に刃が入ったとたん、力を入れなくても刃の重みであっと言う間に切れていくので、切りたい位置に刃を置くのに力が必要なだけと言えます。要は、入刀のコツさえつかめば、失敗しらずと言えるでしょう。あとは動画をご覧の通り、音は電動ノコギリそのものなので、ホールケーキなどを皆の前で切るには、少々興ざめしてしまうかもしれません。食事中に使うというよりは、下ごしらえや準備で使うのがおすすめです!

戸井田 園子