家電製品ミニレビュー

選んで間違いなし! 食パンのおいしさがさらに進化した象印のホームベーカリー

ビギナーからこだわり派まで、幅広いニーズに応えられる「パンくらぶ BB-SS10型」。外形寸法は225×315×345mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約7.5kg

 今回紹介するのは、9月に発売されたばかりの象印のホームベーカリー「パンくらぶ BB-SS10型」だ。象印のホームベーカリーといえば、“耳まで柔らかいパンが焼ける”というのが大きな特徴だが、新モデルでは、人気パン店が監修した、特別なコースまでプリセットされているという。

メーカー名象印マホービン
製品名パンくらぶ BB-SS10型
希望小売価格52,500円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格23,253円

 加えて、「もち」も作れるようになったことにも注目した。前回のパンくらぶでは「二八そば」が作れるようになったが、これでうどん、そば、もちの3種類をカバーできるようになり、お米のご飯以外の主食を生み出せる1台に進化した。

コースが増えて、デザインはスタイリッシュに

 BB-SS10型は、スタートボタンを押すだけで、食パンのほかに、生地、もち、ジャム、ケーキなどが作れる。本体には、パンケース、具入れ容器のほかに、液体の計量や、生種作りに使用する計量カップが2個、ドライイースト、塩、砂糖などが簡単に計れる計量スプーン1個、取扱説明書と、110種類のレシピが収録されたカラーレシピブックが付属する。

本体と付属品一式
内部の様子
出番の多そうなコースのレシピはボディにしっかり書かれているため、その都度レシピを開かなくてもいい
レーズンやナッツが入ったパンを作る時に使う具入れ容器
レシピ集と取扱説明書
自動巻き取り式の電源コード

 基本的な使い方は、レシピブックに沿って、水、粉、砂糖、スキムミルク、無塩バター、塩、ドライイーストの順にパンケースに入れて、適切なコースを選んでスタートボタンを押すだけ。具は、専用の具入れ容器に入れておけば、自動的に投入される(無条件に作動する)。最長約13時間のタイマー機能が使え、焼き上げ後は1時間の保温も可能となっている(一部の食パンを除く)。

最初にパンケースに水を入れる
その後、粉などの材料を入れ、最後にドライイーストを乗せたら、本体にセット(配合はコース毎に異なる)
コースを選ぶ。「ふんわり」と「もちもち」で焼き色を調整したいときは「焼き加減」ボタンで「ふつう」「しっかり」が選べる
スタートボタンを押す
調理中は、パネルに状態と仕上がり時間、残り時間が表示される
できあがりを知らせるメロディがなったらふたを開けてパンケースを取り出す

 他のホームベーカリーと大きく異なるのは、用意されたコースのほかに、コネから焼きまでを好みの時間に変えられる「ホームメイドコース」を有する点。コネや発酵時間を調整してパンのふくらみ方を変える、焼き時間を調整して皮の焼き色を好みにする、といったことが可能なだけでなく、途中に1時間の作業タイムを設けられるため、一旦生地を取り出して加工することで、シナモンロールをはじめとしたユニークなパンが焼けるのである。

 新モデルでは、小麦粉とドライイーストのコースが「もちもち」「ふんわり」「ソフト」から「ふんわり」「もちもち」「サクふわ」に変わり、さらに「イースト少なめ」、有名パン屋である地蔵家監修の「プレミアムリッチ」、その他に「もち」コースが追加され、合計23種類の自動コースが用意されている。

 見た目もかなり変わった。中の様子が見えた窓はなくなってしまったが、家庭的なかわいいデザインから一転、プライムホワイトのボディに、シルバーのフレームがアクセントになっている高級感のあるデザインにイメージチェンジ。また、電源コードが自動巻き取り式になって、より扱いやすくなった。

耳がやわらかく、ちぎって食べたくなる食パンができる

 手始めに新しくなった「ふんわり」「もちもち」「サクふわ」の3つを試してみたが、いずれも、何もつけずに、1斤全部食べられるのではないかというくらいのおいしさだった。耳が柔らかいのも大きな特徴。ロールパンを食べるような感覚で、ちぎって食べられる。かといって歯ごたえがないわけではなく、存在感は残しつつも、内相との固さの差を縮めたという印象なのだ。

 しかも、一見ただの同じ食パンなのだが、口に入れたとき、それぞれがその名の通りの味わいがしたのには驚いた。これまでと同じ材料を使っているのに、味と食感がものすごくアップしている。

「ふんわり」焼き色はしっかりついているのに、焼きたてが本当にふわふわで、できたてはカットするのが難しいくらい
「ふんわり」パンをあら熱が取れたところでカットしてみると、内相はぷるんぷるんなのに、耳がサクサク。口にいれると耳が「サクサクサク」という音が本当にしてくるので病みつきになる
配合としては「ふんわり」に比べて水が30ml、小麦粉が10g増えている
ふんわりよりも、皮がやや厚くなったような気がするが、噛んだ瞬間本当にもちもちと弾力がアップしたように感じた
砂糖、バターが2杯ずつで、ロールパン並のリッチさで、出来たてでも皮がとても柔らかいのが分かる
1日たったパンでも、弾力があってやわらかく、蒸しパンを食べているようなしっとり感だった

 今回から新たに加わった「イースト少なめ」は、ドライイースト特有の香りが苦手な方向けということらしい。確かに焼き上がる直前の独特の香りがほとんどなかった。通常は3g使うドライイーストをわずか1gで済ませるため、その分発酵時間が長くなっており、通常3時間45分で焼けるところを4時間35分かかる。それでもパンケースからあふれかけるほど立派な食パンになった。内相の気泡はやや大きめだったが、特に違和感もない。トーストするとザクザクしつつも軽く、食感的には、前のバージョンの「ふんわり」に近いと思われる。

ドライイーストの少なさを発酵時間でカバー。かなり立派な食パンになった
特有の香りはほとんどなく、内相の気泡はやや大きめ。その分軽い食感が楽しめる

「プレミアムリッチ」コースのパンの耳は究極に柔らかい

練乳に、生クリーム、焼き塩と入れる材料は多い

 「プレミアムリッチ」コースは、今回の「パンくらぶ」の目玉といっていいだろう。砂糖は2種類、練乳に、生クリーム、焼き塩と、使用する材料はとにかくこだわっている。

 糖質と脂質が多めなので相当柔らかくなるだろうとは思っていたが、焼けたパンの耳の柔らかさは半端ではなかった。パンケースから取り出す瞬間の勢いで側面がつぶれかけ、あら熱が取れるにしたがってシワができるほどなのだ。内相はキメが細かく、しっとりしていて、密度が高め。形こそ食パンだが、スイーツといっても良いほど、柔らかく贅沢な仕上がりだった。当然、カロリーは多めなので、その辺りは注意したい。

 材料がリッチなので、同じ配合で普通に焼いたらどうなるだろう思い、「プレミアムリッチ」の材料を「ふんわり」コースで焼いてみたが、耳の柔らかさは及ばず。「プレミアムリッチ」コースのパンは、配合と焼き加減のバランスが絶妙のようだ。

焼けたばかりの「プレミアムリッチ」コースのパン。パンケースから飛び出した際の衝撃で、側面が凹んでしまうことがあるので要注意
内相は、しっとりしていてきめが細かい。これは見るより食べてみるとハッキリ違いを感じられた
簡単にちぎって食べられるくらいの柔らかさ

 今回からコースに加わった「もち」も見逃してはならない。水と餅米を入れるだけで、1時間15分でおいしいお餅に巡り会える。今回はご紹介しなかったが、うどん、そば、パスタの生地も作れるので、元旦から年末の食事まで、1年を通していろんなシーンで活躍できる1台というわけだ。

餅米と水、餅とり用の片栗粉
洗って水を切ったもち米と水を入れるだけ
1時間15分後にあつあつのお餅ができあがる

選んで間違いなしのホームベーカリー

 触れ込み通り、「BB-SS10型」のパンは確かに耳が柔らかかった。一昔前の、耳だけカットしておやつに、なんてことはありえないくらいである。特に温かいうちにざっくりとちぎって食べると、ワイルドさもあいまってさらにおいしい。ちょっとこれ食べてみて! とつい人に勧めたくなってしまうくらいだ。おいしい食パンを食べたい方には、本気でおすすめできる1台である。

すずまり