家電製品ミニレビュー

ツインバード「LEDアームライト/LEDライト」

~安いけどしっかり使える、1万円の高輝度LEDデスクライト
by 藤原 大蔵

1万円で買えるLEDライトってどうなの?

LEDアームライト LE-H631B (上)と、LEDライト LE-H612B (下)
 高輝度LEDを用いたデスクライトは、安いものでも1万5千円ぐらい、高いものでは軽く3万円を超えるものが多く“贅沢品”というイメージがあった。

 しかしこの夏、とても手ごろな値段の、高輝度LEDが搭載されたデスクライト2製品が、ツインバードから登場した。1つは可動範囲の広い2つのアームを持つアームライト「LEDアームライト(LE-H631B)」。もう1つは卓上で使用するデスクスタンド「LEDライト(LE-H612B)」だ。どちらも1万円でお釣りがくるとなると、指をくわえて見ているだけでは我慢ができなくなり、購入した。

メーカーツインバード工業
製品名LEDアームライトLEDライト
品番LE-H631BLE-H612B
希望小売価格15,750円10,500円
購入価格9,482円7,707円
購入店舗Amazon.co.jp


 しかし、安いからといって、明るさや使い勝手が悪いのでは話にならない。そこで、今回はこのライトを使用し、デスクライトとしての性能を検証してみたいと思う。

 ちなみに、この2つのライトは、外観や値段の差こそあれ、全く同じセードに全く同じ明るさを持つ高輝度LEDが搭載されている。そのため、どちらがどういった場面に適しているのか、迷ってしまう人もいるだろう。そこで、それぞれのお勧めの使用方法についても探っていきたい。


小さなLEDを活かしたシャープなデザイン。設置方法以外はほぼ同じ

LEDアームライトもLEDライトも、全く同型のセード、LEDがついている。
 検証の前に、まずはアームライト「LE-H631B」(以下、アーム型)と、デスクスタンド「LE-H612B」(以下、卓上型)の違いを見ていきたい。前述のように、どちらも高輝度LEDが内蔵された、全く同型のセードが取り付けられている。その厚さはたった17mmと薄く、スッキリとシャープな印象を受ける。なお、高輝度LEDは全部で3灯搭載されており、全光束は209lmとなっている。

 アーム部もほとんど共通のデザインだ。アーム型では410mmと255mmの2本のアーム、卓上型では320mmのアーム1本という構成だが、いずれもバネが露出しておらず、薄型のセードに合うスマートなデザインとなっている。ヒンジにはセードやアームの傾きを調整するツマミがついているのも共通で、セード上のスイッチを押すごとに強→中→弱→切の順で切り替わる点も変わらない。要は、アームの長さと本数が違うだけだ。

セードのサイズは220x62x17mm(長さx幅x厚み)。ペンケースぐらいの大きさでコンパクトな印象セードには高輝度LEDが3灯埋め込まれている。カバーで光を拡散する仕様になっているヒンジと調整ツマミ。指で調節できる

 大きく異なるのが設置方法。アーム型はクランプを固定し、それに本体を差し込んで使用するという、いわゆる“Zライト”のLED版といったところ。しかもそのクランプは、水平にも垂直にも取り付けられる2ウェイ方式のものなので、設置場所の選択肢が広がる。

 一方の卓上型は初めからベースが取り付けられており、机やテーブルに乗せて使用するものだ。そのベースはとても小さく、54x100x15mm(幅x奥行x厚み)と、郵便ハガキぐらいの大きさ。我が家に既にある卓上型のライトと並べると、そのコンパクトさは一目瞭然だ。ただ小さいだけではなく、しっかりとした重みもあり、安定して設置できる。

アーム型ライトを固定するクランプ。固定できる厚さは55mmまでクランプを横向きにすると、垂直のものにも取り付けられる画像の中央が卓上型のベース部分。郵便ハガキに匹敵するほどコンパクトなので、机の上をより広く使う事ができるだろう。両隣は比較用の電気スタンド


デスクライトとしての明るさは十分。「弱」は暗いが常夜灯としてなら

 それでは、1万円で買えるLEDデスクライトが果たしてどれほどのものかを検証したい。デスクに照度計を置いてランプを点灯し、十分な照度が得られているかどうかを見た。

 ところで、前述の通り両タイプともセード・ランプは共通だが、セードの高さはアーム型で0~約730mm、卓上型では約280~400mm程度まで可動するので、いずれも光源の高さが異なる。そこで今回は実使用を想定し、アーム型では「強」で机の上全体を照らせる600mmの高さ、卓上型では同じく「強」で、机上の新聞に光が届く程度の350mmに設定し、照度を計測している。

アーム型ライトの「強」。照度は506lx。なお、机とセードの間は約600mm離れている「中」では170.8lx「弱」は6.95lxで、極端に薄暗くなった
卓上型ライトの「強」。セードと机が350mm離れた場合の照度は1,678lxだった「中」でも557lxと明るい「弱」は21.97lxと、ほのかな明るさとなった

 この結果アーム型では、「強」の場合で506lxと、十分な明るさが得られた。これは60Wクラスの白熱電球とほぼ変わらない明るさで、新聞誌の反射光がまぶしく感じられるぐらいだ。「中」に設定すると、600mmで170.8lxと数値的にはずいぶん暗い印象だが、肉眼では新聞の字が読めるほどの明るさだ。

 卓上型は、「強」で何と1,678lxという高い数値を記録した。これなら手元の細かな作業も楽に行えそうだ。また、「中」でも557lxと、まだまだしっかりした明るさが得られる。

 その一方で、「弱」ではどちらも潔いほど暗くなる。照度はアーム型が6.95lx、卓上型が21.97lx。明るい部屋だと点灯しているのがわからないほど薄暗く、照明として使用するには明らかに実用的ではない。しかし、逆に言えば眠りの妨げにもならないぐらい「ほのか」な明るさなので、デスクライトとしてではなく、就寝の際の「常夜灯」として活用するにはぴったりかもしれない。

 使ってみて好印象を受けたのが、点灯時LEDがふわりと点灯する「ソフトスタート」機能だ。その柔らかい印象は、暗闇に慣れた目にもやさしく、高級感さえ感じるほどだ。そして消灯時、そのスイッチは青くおぼろげに発光するので、暗闇でも探しやすい。

 なお、光色はモードによって異なる。「強」の時は7000Kと、晴天の日陰のような少し青みがかった白色で、日中の自然光が入ってくる室内で使用しても、違和感のない色だ。一方「弱」では、5600Kと落ち着いた白色に近づく。

セード上にあるプッシュスイッチ。このスイッチを押すごとに明るさが切り替わる。消灯時は画像のように青く光り、暗闇でも探しやすい「強」の色温度は7,000K。若干青みがかった白色で、日中の使用でも違和感がない



LED特有の照射範囲の狭さは、思い通りの場所が照らせる「回転ジョイント」でカバー

セードとアームの間にある円筒形の機構が「回転ジョイント」。2カ所の可動部を持ち、セード単体で180度の水平回転と、回転ジョイントとセードのつなぎ目を軸とした270度の垂直回転ができる
 明るさは十分にあるのは分かったが、今度は光の広がり方が気になった。というのも、LEDは光の指向性が強いため、白熱電球や電球形蛍光灯と比べると、あまり光が拡散しない性質を持つ。デスクなど一部分は照らせても、そのほかの部分には明かりが届かないため、“光の広がり”という点ではどうしても不安がつきまとう。

 しかし! である。本製品では、LED特有の「強い指向性」=「光の拡散性の狭さ」をカバーする工夫が施されている。それが「回転ジョイント」機能だ。セード単体に2つの可動部を設け、セードの動きだけで3次元的に配光できる――つまり、自由に光の照射方向が動かせるのである。

 このアームの動きは、大きく2つの形に分けられる。1つめの動きは、セードが机上面と並行に最大180度、水平に回転する。もう1つの動きとして、回転ジョイントとセードの接合部分を軸として、セードが最大270度、垂直に回転する。

セードを左に90度、水平回転させた状態セードをベースと平行になるように中央に戻したセードを右に90度、水平回転させた状態。つまり、水平方向には180回転できる
セードの光源を真下に向けた状態。この状態を0度とする写真左の方向へ、30度ほど垂直に回転させた状態。左手方向へは0度から最大90°回転でき、セードが机に対して垂直になった状態で止まる0度から右手方向へ30度ほど垂直回転させた状態。右手方向へは真下から最大180度セードが回転でき、セードが天井面を照らす状態で止まる。つまり、垂直方向には270度回転する

 以上の2つの動きをもたらす回転ジョイントによって、さまざまな場所に配光できる。回転ジョイントの動きは指でクルクルッと回せるほど軽いので、気軽に調整が行える。確かに照射範囲は狭いかもしれないが、そのぶん思い通りの場所を簡単に照らせるというメリットがあるのだ。

 ちなみに、セードは直接触っても暖かい程度。高輝度LED搭載だが、発熱量はとても低いようだ。

 ところで、アーム全体の可動範囲だが、アーム型の可動範囲はいわゆる「Zライト」と言われるものと大差なく、また卓上型の方も一般的なものとさほど変わらない。こちらは「回転ジョイント」とともに、以下に動画で紹介する。

アーム型ライトの可動範囲。動画内では行なっていないが、クランプを軸として360度本体が回転する動きもある卓上型ライトの可動範囲。セードは回転ジョイントと一緒に約190度の範囲で傾き、アームはベースに対して60度の範囲で傾く。なお、アームはベースに対して回転しない


LEDならではの高い省エネ性能

 さて、LEDは消費電力の少なさが特徴で、調光機能も合わせればかなりの省電力が期待できる。そこで、ライトの電源をワットチェッカーに通して点灯し、その消費電力を実測した。繰り返しになるが、両製品ともライト部は共通しているため、ともに同じ数値となっている。

強では4W中では1W弱は計測不能の0Wだった

 結果、「強」で4W、「中」は1W、「弱」は計測不能の0Wと、期待通りの高い省電力性が示された。弱の「0W」表示は、使用したワットチェッカーは小数点以下を表示しないためで、実際はもちろんまったくの0Wではないが、要はとにかく電力が少ないということだ。少なくとも、取り扱い説明書に記載されていた「強:5.7W」「中:2.3W」よりも低い測定結果が得られたのは確かだ(「弱」の消費電力のカタログ値は0.6W)。

 それでは、1カ月の電気代はどのぐらいになるのだろう。1日8時間使用したとして、「強」では24.2円(消費電力は4.9Wで算出)。本製品と同程度の明るさが得られた60Wタイプの白熱電球(アーム型、高さ600mmの場合)では、同条件で316.8円なので、電気代が13倍となる。20Wタイプの蛍光灯では105.6円だが、それでも4倍以上お得という事になる。ランニングコストの面では、白熱電球や電球形蛍光灯のデスクライトよりも断然安いことがいえる。

 ちなみに、本製品はLEDが切れた際の交換は不可能で、修理扱いとなる。とはいっても、搭載されているLEDの寿命は約4万時間。毎日8時間使用したとしても、約13年半は使い続けられるのだ。一万円以下の価格で、照明器具として13年以上使えるなら、十分元が取れると考えて良いのではないだろうか。


デスクライトとしての明るさは十分。クリアな色で仕事もはかどる

 結論は、アーム型、卓上型ともに、仕事や勉強、細かな作業をする際のライトとしてはまったく問題なく使用できる。ちょっとした読み書きであっても、手元が明るくハッキリ見えるのはとても心地良い。しかも電気代が安く済むのは手放しで嬉しい事だ。

 特にお勧めなのが、仕事場での使用だ。LEDの明るく清々しい白色光は、気分的にシャッキリする印象を受ける。これまでの仕事用の照明では白熱電球や白色蛍光灯を使ってきたのだが、より色がクリアに見える。また、間接光を使用しているリビングルームの雰囲気をそのまま保ちつつ、スポット的に読み書きに適した明るさが得られるのも良い。私も使ってみたが、仕事を快適に進められた。

 また、特に卓上型でいえることだが、光源にあまり熱を感じないところだ。卓上型は机の上に置くことから顔と光源とどうしても近くなるが、光源は低発熱が特徴のLEDなので、目の前にあってもその熱をほとんど感じなかった。

 ただし、1つだけ気になる点があった。両製品とも、アームの調整の際に思ったところでピタリと止まってくれないのだ。これは、アームはアルミ製なのに対し、接合部分のヒンジがプラスチック製という材質の違いが原因かもしれない。もちろん、いったん位置が決まりさえすれば、器具が勝手に傾くことなく安定して使用できるが、調整には多少の慣れは必要かもしれない。


アーム型は仕事や勉強用、卓上型はリラックスシーンでの使用がおすすめ


 最後に、アーム型、卓上型のそれぞれに適したシーンを想定したイメージ写真を紹介する。どちらを選ぶかの参考になれば幸いである。

 PC作業、資料や本をたくさん机の上に広げるなら、アーム型がお薦めだ。セードの位置を最大730mmに高くに設定できるので、大きなモニターがあってもその上から配光できる。これが卓上型だと、セードが低いため照射範囲に限りがある。

アーム型は高い位置にセードが設定できるので、手元を広く照らし出してくれるアーム型はまた、簡単にセードの向きや位置を変えられる。一段落したらセードの向きを変え、雑然とした机の上を間接光で目隠しするような使い方もできる卓上型は、大きなモニターの前ではセードが被るため向かない

キッチンコーナーを演出する光として使用。LEDの煌き感のある光が、お気に入りのキッチン家電やグラスに反射して美しい
 例外的な用法ではあるが、我が家では棚の上にしつらえたコーヒーコーナー用の照明として使用している。このコーナーの前に立つと、照明を背にするためど うしても手暗がりになりやすい。そこで、棚の側板にアームライトを取りつけ点灯すると、お気に入りのキッチン家電が輝きだし、とても楽しいスペースになっ た。本来の使用方法ではないが、そのアームの可動性を生かしたこのような使い方もアリだろう。

 一方の卓上型は、リビングルームやベッドルームなど、室内の明るさを抑えたリラックススペースでの使用がお薦めだ。そこで読み書きが必要になった場合に、スポット的に照らせる強力なライトは重宝するはずだ。コンパクトで圧迫感もなく、重さも1.1kgしかないので、気軽に必要な場所に移動もしやすいだろう。


卓上型は、暗めのリビングルームで読み書きが必要な時にぴったり。コンパクトなので、テレビ視聴の邪魔にもならず、涼しげな白色光で小さな文字もリモコンの色表示もハッキリ見せてくれる直径30cmの小さなサイドテーブルにもるコンパクトな卓上型。眠る前の読書灯や間接光にしてまどろんだりと、用途もいろいろ

 実売価格はどちらも1万円を切るが、実力は十分。手軽な明かりとして、古いデスクライトの買い替えとしてお薦めしたい。



2009年9月4日 00:00