家電製品ミニレビュー

佇まいが美しい加湿器、バルミューダ「Rain」

佇まいが美しい加湿器、バルミューダ「Rain」

バルミューダ「Rain」

 家電Watch編集部から「貴様は冬場の乾燥で喉を痛めやすいと聞いたので、新型の加湿器を試してみなはれ」的なメッセージとともに、バルミューダの「Rain」が送られてきた。あ、これ、こないだの家電Watchのニュースで見たやつ。ちょっと気になってたんですよね~。てなわけで早速試用開始♪

メーカー名バルミューダ
製品名Rain Wi-Fiモデル
希望小売価格46,000円(税抜)
購入場所公式オンラインストア

 て言うか不思議なカタチですな。言われないと加湿器だと思えない意匠。でも、加湿器っていつも身近に出して使う家電だし、こういうオブジェっぽいというか壺っぽい、静かなデザインなのはイイですな。多くの加湿器はわりあい「家電っぽさ丸出し」なので、置くといきなり生活臭が……みたいな感じですけど、この「Rain」にはそういう違和感がなくて好印象。

 あとこの加湿器、水タンクに注水してソレを加湿器本体にセット、という概念がナイんですな。本体上部の穴からヤカンなどで直接ドバドバと注水。水は本体底部にたまり、最大約4.2Lまで入るとのこと。ちなみに、本体内の水量は、本体上部にある有機ELディスプレイに表示されます。

壺のようなカタチの「Rain」。本体上部の穴は注水のための穴。その外側を取り囲んでいるのは送風口で、ここから湿った空気が吹き出します
上部内側の穴に直接注水すればOK。注がれた水は本体底部近くにたまるしくみです。そのため低重心となり、かなりシッカリ安定してくれます
各種情報は穴の中央にある有機ELディスプレイに表示されます。水量はバケツのようなグラフィックで示されます。直感的にわかる表示ですな

 外見的にアクがなくてイイ感じの加湿器「Rain」ですが、使い始めてすぐに利便を感じました。ヤカンなどを使って本体に直接注水できるのは、ラク。ヘンなカタチの注水タンクを本体から取り出して、逆さにしたりして、キャップ外したり……みたいな煩わしさがなくてイイです。タンクを持ち運んでいるときに水が床に滴るようなことがないのもイイですな。

 ちなみに、本体上部の穴は、穴のなかに黒い球体があるような構造です。パッと見は、有機ELディスプレイの表示が宙に浮いている雰囲気ですが、球体の表面に表示がなされているんですな。この球体に直接注水することになりますが、球体なので水が跳ねにくく、注水口としての実用性はバッチリです。

自然な加湿方式、運転も静か

 この加湿器の加湿方式は「気化式」。内部のフィルターに付いた水分を、そこを通る空気で気化するというものですな。

 加湿器で主流の方式は、超音波式と加熱式と気化式だそうです。超音波式は素早く加湿できる一方で、水に雑菌が含まれているとそれも空気中に放出してしまうデメリットがあります。加熱式は効率良く加湿できますが、加湿し過ぎて結露起こしたりすることがあります。また加熱式はほかの方式より消費電力が大きかったりも。

 気化式は、自然の気化現象をそのまま利用した方式です。湿ったフィルターに風を当てて水分を気化させてはいますが、加湿のし過ぎが起きにくく、雑菌の放出もなく、消費電力も少なくて済みます。バランスのよい「湿度50%の状態」を作り出すのに適した方式だそうです。

 なお、「Rain」内部にはバルミューダの空気清浄機「AirEngine」にも使われている「酵素プレフィルター」が内蔵されています。これにより、吸い込んだ空気を除菌しつつホコリを取り除くそうです。また、ボウル(貯水部)内の水の劣化も抑えるとのこと。

「Rain」内部のボウル(貯水部)。本体下部にあります。「酵素プレフィルター」や「吸水フィルター」も組み込まれています
緑色のフィルターが「酵素プレフィルター」で空気から除菌します。青は水を含んだ「吸水フィルター」で加湿機能の要です

 で、実際の使用感は……ハッキリ言っちゃうと、加湿の効果を感じにくいですな。たとえば空気が乾燥してノドがイガイガしたとき、沸かしたお湯からの「湯気」を吸い込むと「あ~ノドが潤った~イガイガが消えていく~」みたいなダイレクトな加湿効果を感じられます。雑菌云々消費電力云々は置いておいて、超音波式や加熱式の加湿器だと、「湯気」と同様もしくはそれに近い効果を感じられます。

 一方、気化式の「Rain」にはそういう即時性はあまりありません。が、継続して使っていると、乾燥して喉がイガイガするようなこと自体が減ります。設定湿度は50%にして試用していますが、室内はいつも50%前後の湿度に保たれています。この程度の湿度だと結露もしにくくて好都合ですな。

 じつは個人的には、超音波式加湿器も加熱式加湿器も好きではありません。以前に超音波式加湿器を使ったとき、その周囲にカルキが付着しちゃいました。水道水に含まれる石灰成分ですな。現在はカルキを取り除く機能がある超音波式加湿器もあるらしいですが、あれ以来、超音波式加湿器は遠慮しております。

 加熱式加湿器は効果がすぐ現れて好きなんですけど、いつもだいたいウッカリ加湿し過ぎて結露やカビが……という微妙な経験をしています。加熱ってのも若干危険なフィーリングでちょっと……みたいな。最近はこのタイプも遠慮中です。

 そういう理由からも、加湿器を使う場合は気化式ばかりになっています。水が自然に蒸発することで加湿するシクミなので、カルキが散ることはもちろんなく、ウッカリしてたら加湿し過ぎということもなく、気楽に使えるのがイイですな。

 この「Rain」の場合もそういう気楽さがイイ感じ。また、通常使用では運転音も非常に静かなのも実用的です。

 運転モードにはオートとマニュアルがありますが、オートの場合はいつもだいたい静かです。マニュアル運転では風量を1~5の5段階で設定できますが、1と2だと非常に静音、3だと「少し空気が出る音が聞こえる」という程度で、4や5だと「フォォ~ッ」という排気音が少し耳障りに感じられます。

斬新な操作系と実用的なWi-Fi対応

 それから「Rain」の操作系。本体上部の穴に有機ELディスプレイがあることには触れましたが、さて操作ボタンは? 背面には電源ボタンUniAutoボタンがありますが、これらには通常はほとんど触れません。

 じつは、本体上部にあるリング部分が操作ボタンなんですな。この部分を押したり回したりすることで、動作モードや設定を変えることができます。押せるジョグダイヤル、みたいな感じです。

本体上部外側のリング状の部分を回すと、設定湿度を変えたり動作モードを変えるなど設定変更ができます
リング状の部分の手前を押すと、決定などの操作に。リングでメニューを選んで、押して決定、みたいな感じ
本体背面には2つのボタンがあります。上がUniAutoボタンで、Wi-Fi機能のオンオフ。下が電源ボタンですな

 この独自の操作系、使用感は意見が分かれそうなところです。有機ELディスプレイとリングが「Rain」の操作系の全てなので、見た目は素晴らしくスッキリしています。ゴテゴテしてたり家電臭いのは嫌い、というなら好きになるかもしれません。

 一方、有機ELディスプレイの表示を見つつリングを回したり押したりして全ての操作を行なうので、「どの機能はどこで変える」といったことを把握していないと戸惑います。要は、最初少々イジっていって慣れていかないと、スムーズに使えない感じですな。すぐに慣れるとは思いますが、「運転モードはボタンで一発で変えたい」「いちいちメニューの中に入っていって設定を変えるのは面倒」と思いがちの方は、この操作系をずっと好きになれないかも!?

 もうひとつ、「Rain」は「UniAuto」(http://www.balmuda.com/jp/uniauto/)に対応した製品です。「Rain」は宅内のWi-Fiアクセスポイントを経由してインターネット上にある「UniAuto Server」に接続することができ、つまりはクラウドにつながったネット家電にもなるというわけです。何ができるかと言うと、スマートフォンやタブレットからのリモート操作ができます。

 たとえば外出先から「Rain」の電源をオンオフしたり、設定湿度を変えたり、あるいは24時間タイマー設定を変更したりできます。同様のことが、「Rain」がつながっているLAN内でもできますので、つまり家にいても外にいても「Rain」のリモートコントロールができるというわけです。

 なお、この機能を使うには、Wi-Fi対応のルータ(インターネットに接続されているもの)とiOS端末もしくはAndroid端末が必要です。また、端末への「UniAuto」アプリインストールも必要。アプリはiOS版Android版があります。

「UniAuto」アプリで「Rain」をリモート操作している様子。現在の運転モードや湿度設定、室内湿度、残水量などをアプリで見ることができます
「Rain」には1時間毎の24時間タイマーもありますが、その細かな設定をアプリから行えます。もちろん、自宅でも外出先でも設定を変更できます
運転モードの変更も行えます。「UniAuto」アプリの使い方は簡単なので、スマートフォンなどを「Rain」のリモコン感覚で活用できて実用的です

 このリモートコントロール機能、試用開始当初は「加湿器をリモート操作して……どうするんだろう?」と懐疑的でした。が、使ってみたらコリャ便利♪ まず、注水以外、「Rain」の近くに行く必要がなくなります。主な操作をアプリから行なえるからです。超高機能リモコンというイメージですな。

 外出先からのリモート操作は、正直あまり活用の機会がない……と思っていましたが、「あ、加湿器の電源切ったっけ?」みたいなときに即確認できるのは便利かもしれません。まあ、気化式加湿器なので電源を切る必要はあまりなさそうですが。

 ともあれ、アプリを使うといきなり「Rain」の操作性が上がる感じです。有機ELディスプレイとリングを使っての操作も愉快ではありますが、快適かつ手っ取り早く「Rain」を使おうと思ったら、ぜひアプリでリモートコントロールしたいところですな。

 てな感じの「Rain」。外見的にも機能的にもなかなかイイ感じの気化式加湿器です。ちょ~っとお値段が高い感じではありますが、家電臭さのない造形、それからUniAuto対応という先進性は魅力です。興味のあるかたはジックリとチェックしてみてください。

スタパ齋藤