家電製品ミニレビュー
シャープ「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2」 前編
今回から前後編の2回でシャープの「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2」を紹介する。ヘルシオといえば、言わずとしれた高級オーブンレンジで、100℃以上の過熱水蒸気を使った独自の“健康調理”を「ウォーターオーブン技術」が特徴だ。
2004年の発売以来、“健康調理”というコンセプトを一貫しているヘルシオだが、発売当初は、その本体サイズや機能の多さから、「使いこなせるか不安」という声も多かった。そこで、シャープでは、1人暮らしや2人暮らしでも、使いこなせるコンパクトタイプも発売するなど、ラインナップも充実させている。
今回紹介するのは、その中でもフラッグシップモデルに当たる製品だ。8代目にあたる新型ヘルシオがどう進化しているのか、実際に使ってみた。
メーカー | シャープ |
製品名 | ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシ.com |
購入価格 | 112,800円 |
■大きいけど……スタイリッシュな本体デザイン
本体のサイズは525×440×430mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約24kg。各メーカーのオーブンレンジに比べてもかなり大きめのサイズだ。20代の私でさえ、設置にはかなり苦労したので、可能なら男性に手伝ってもらったほうがいいだろう。
製品本体 | 扉を開けたところ | 本体上部。奥に蒸気口が設けられている |
給水タンク | 付属のミトン | 2枚の角皿と、網が付属する |
設置の際に注意したいのは、左右に5cm程度のスペースを設けること。100℃以上の過熱水蒸気を使って調理するため、本体の上にも10cm程度の空きスペースを確保する。庫内容量は30Lで、2段調理に対応する。
基本的なスペックとしては電子時レンジでは、出力1,000W/600W/500W/200W相当に対応するほか、100~250℃のオーブン調理にも対応。パンなどを作る時に便利な発酵モードも30/35/40/45℃の4段階で備える。
実際にキッチンに設置すると、かなり存在感がある。大きなハンドルと液晶タッチパネルがある独特なデザインは、キッチンが一気に格上げされるような雰囲気がある。
キッチンに設置したところ | 本体の両サイドには5cm程度のスペースを設ける | 背面は壁に沿わせた状態で設置できる |
■携帯で撮った写真を本体に送れる機能も
ここで改めて、AX-PX2の特徴を見ていこう。特徴的なのは、携帯電話やスマートフォンで撮影した料理の写真をヘルシオ本体に赤外線通信で送信し、加熱条件やメニュータイトルと一緒に登録できる「マイヘルシオ機能」だ。ヘルシオは普通の電子レンジとは加熱方法が大きく違うため、ヘルシオユーザーの中では自分のオリジナルレシピを考案する人が多いという。そこで、自分で考えて作ったレシピをヘルシオ本体に写真付きで登録できるという。
携帯電話やスマートフォンで撮影した料理の写真をヘルシオ本体に赤外線通信で送信し、加熱条件やメニュータイトルと一緒に登録できる「マイヘルシオ機能」(写真は発表会時のもの) | ユーザーが携帯電話で撮影した写真をヘルシオに登録できる |
ただし、この機能の盲点は「赤外線送信」という点。一部のスマートフォンでは搭載されていない機能だ。事実、私が使っているiPhone 4でも、赤外線通信には非対応。シャープのスマートフォンなどは対応しているので、気になる場合はチェックしてからの購入をお勧めする。
調理機能で新たに搭載されたのは、過熱水蒸気で時間をかけて加熱する「骨まで柔らか」機能と、70~95℃の温度帯で食材を蒸しあげる「ソフト蒸し」機能の2つ。ヘルシオ本体には実に299もの自動メニューが搭載されているので、全部のメニューを一通り作るにも1年くらいはかかりそうだ。バリエーション豊かで、毎日のメニューがマンネリ化しないという面では嬉しい。
■ウォーターオーブン技術をさっそく検証
というわけで、さっそく使ってみよう。まずは「ヘルシオらしい」メニューを2つ。鶏の脂を落としながらも、ジューシーに仕上げる「鶏の照り焼き」と、揚げない「春巻き」だ。
「鶏の照り焼き」は、ヘルシオ初期モデルから搭載されている定番メニューで、ユーザーの中でも人気のあるメニューだ。まずは、鶏の皮にフォークで穴をあけ、味を染み込みやすくしてから、しょうゆ、みりん、酒、砂糖を混ぜた液に30分以上浸しておく。あとは、付属の角皿と網の上に鶏肉を載せて焼く。その際に忘れてはならないのが、付属の水タンクへの給水。
鶏皮の表面にフォークで穴をあける | しょうゆ、みりん、酒、砂糖を混ぜた液に30分以上浸す | 付属の角皿と網の上に載せて焼く |
普通のオーブンレンジと一番違うのが、多くの自動メニューで事前の給水、調理後の排水を行なうということ。ヘルシオでは、100℃以上の過熱水蒸気を使って、食材を調理するため、かなりの量の水を毎回使い、調理後の庫内は蒸気でビショビショになっている。慣れないうちは、毎回の給水・排水が面倒に感じることもあるが、加熱後の仕上がりは普通の電子レンジやオーブンレンジとは全く違うので、ここはお手入れのクセをつけよう。
調理後は本体前面下部に設けられている水受けの排水を必ず行なう | カラー液晶には写真入りでメニュー名が表示される | 焼き加減は3段階から選べる |
実際、焼き上がった鶏肉は表面はパリパリで中はふっくらに仕上がっている。今回は4人分で調理したが、4人分が一気に約16分で仕上がるというのは、オーブンレンジならではの便利さだ。
さらに、脂がテラテラと浮いた角皿を見てびっくり。ヘルシーなイメージのあった鶏肉でも、これだけの脂が含まれているのだ。スイッチ1つで何の苦もなく、カロリーカットできるのはヘルシオならではだろう。
庫内にセットしたところ | 焼きあがり | 角皿には油がびっしりと付いていた |
表面にうっすらと焼き目が付いておいしそうに仕上がった。夫からは味が薄いという声も…… |
味の方はというと、私は満足だったが、夫には「味が薄い」と言われてしまった。健康調理をコンセプトとしているヘルシオでは、ほとんどの料理が、味付けを最小限に抑えている。健康のためにはもちろん、うす味がいいのだが、夫のようにマヨネーズをつけて食べるのでは脱油・減塩の意味が全くなくなってしまう。各家庭の好みに応じて味を調節するのも良いだろう。
■自分で作るより簡単で、おいしい! 揚げない「春巻き」
次に試したのは揚げない「春巻き」だ。今ではスーパーで専用の粉も売られているほど、メジャーになった揚げない「から揚げ」だが、ヘルシオでは初代からこれを実現。ヘルシオと言えば、揚げない「から揚げ」や「とんかつ」というイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。今回は、多数あるフライメニューから、ごく個人的な趣味で「春巻き」を選択。好きなメニューだが、完成までの工程が多いので、なかなか作れない。ヘルシオの春巻きはどうだろう。
結果から先に言ってしまうと、自分で作るよりもずっと簡単に作れた。一般的な春巻きの場合、中の具を先に炒めてから、春巻きの皮に包んで、揚げるという手順になるが、ヘルシオの春巻きは、中の具を調理する必要がないので、工程がかなり省ける。
まずは、豚肉、にら、玉ねぎ、ゴマ油、片栗粉をよく混ぜる。あとは春巻きの皮に巻いて、角皿、網の上に載せる。最後に刷毛を使って少量のサラダ油を春巻きの表面に塗って、加熱スタートだ。
春巻きの表面にサラダ油を塗る | 庫内にセットしたところ |
出来上がりは、パリッとしていて、とてもおいしそう。油で揚げた時のジューシーさには欠けるが、使用後の油の処理や、片づけのことを考えると、ヘルシオの春巻きで十分だ。お肉たっぷりの春巻きはご飯によく合う。お弁当のおかずにもぴったりな一品だ。
焼きあがり | 焦げ目も付いてパリッと仕上がっている | お肉たっぷりで、ご飯のおかずに良く合う |
今回はいかにもヘルシオっぽい、カロリーカットメニュー2品をご紹介してきたが、いかがだったろうか。使ってみた率直な印象は「ヘルシオはほかのどんな調理器具とも違う」ということ。脱塩・脱油しながらも、きっちりおいしく仕上げてくるのは、ヘルシオならではの魅力だ。
明日掲載の後編では、新たに搭載した「骨まで柔らか」機能を使っての煮魚やヘルシオならではの調理方法をご紹介する。
2011年12月5日 00:00