家電製品ミニレビュー
ティファール「ブーランジェリー」前編
ティファール「ブーランジェリー」 |
ティファールから気になるホームベーカリーが発売された。棒状のフレンチバゲットや、丸いメロンパンやマカロンが、オーブンを使わずに焼き上げられる「ブーランジェリー」だ。
ブーランジェリーとは、フランス語でパン屋さんの意味。お店のように、食パンだけでなくさまざまな種類のパンを家庭で作れるというユニークなホームベーカリーなのだ。
我が家にもホームベーカリーはあるが、いつも作るのは食パンばかり。これ1台で手軽にフレンチバゲットやメロンパンもできるなら、ぜひ試してみたい。
メーカー | ティファール |
製品名 | ブーランジェリー |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 17,470円 |
ティファールは昨年、「ホーム&バゲット」というフランスパンが焼けるホームベーカリーを発売している。家電Watchに掲載されたすずまり氏のレビューを読んでから、私も欲しくなってしまい、ずっと購入するか悩んでいた。
しかし、購入に踏み切れなかったのは本体が大きかったから。我が家のリビングには、もう少しコンパクトなものが良い。
その点、今回取り上げるブーランジェリーのサイズは266×374×315mm(幅×奥行き×高さ)で、ホーム&バゲットより奥行きが少し小さくなっている。
操作パネルは斜めに付いているので見やすい。本体の脇には、ふたの開け閉めに便利な持ち手が付いている。
何よりも目を引くのが本体のデザインだ。赤と白のフランス製らしいかわいいデザインは、リビングに置いても所帯染みた感じがしない。ホームベーカリーといえばだいたいホワイト系やベージュ系ばかりだが、ブーランジェリーは斬新な色合いだ。今回は、このブーランジェリーについて、前編ではバケットとメロンパン作りを、後編では食パンとマカロン作りを紹介しよう。
リビングのチェスト上に置いてみた。もう少しオシャレなインテリアなら映えるだろう。デザインもかわいくてお気に入り | 操作パネルが斜めになっているので見やすい | ふたの開け閉めに便利な持ち手つき |
■バゲットだけでなく「フラットトレイ」でメロンパンやマカロンも焼ける!
ブーランジェリーには、パンが1.5斤まで焼ける「パンケース」、フレンチバゲットを焼く「バゲットトレイ」、マカロンなどの本格スイーツが手軽に作れる平らなトレイ「フラットトレイ」も用意されている。
バゲットトレイは、子供や女性でも食べきれるコンパクトサイズのバゲットが4本焼ける2段式だ。ここに、生地を棒状に成形してセットする。
パンケースをセットしたところ | パンケース | パンケースには羽根を取り付ける |
バゲットトレイ | バゲットトレイをラックにセットしたところ。一度にバゲットが4本焼ける |
フラットトレイ | フラットトレイをラックにセットしたところ |
本体には、計量カップと計量スプーン、ブラシ、フック、ナイフなどがセットになった便利な「オリジナルキット」が付属している。計量カップは赤い線で表示されていて、水の分量を量るときにとても見やすい。
計量カップと計量スプーン | 目盛りが赤い表示で見やすい |
上がナイフ、下がブラシ | 羽根取りだしフック。パンから羽根が抜けないときに使用する |
■外はこんがり、中はもっちり! 女性でも食べきれるミニサイズのバゲット!
まずはフレンチバゲットを作ってみよう。フレンチバケットは、家庭で作るのが難しいというイメージがあるが、ブーランジェリーがあれば簡単にできる。
材料はとてもシンプル。フランスパン用の準強力粉、塩、水、ドライイーストのみ。作り方は、小麦粉や水などをパンケースに入れ、最後にドライイーストを入れる。本体にパンケースをセットしたら、メニューを選択。焼き色は薄い、普通、濃いの3種類から選ぶことができる。バゲットは4本か8本を選べる。4本にしたところ調理時間は2時間18分と表示された。
練っている最中はガタガタと少々揺れたり、モーター音がするが、ホームベーカリーの中ではそれほどうるさいほうではない。
MOFフランス国家最優秀職人章を受賞したフレデリック・ラロス氏監修のレシピブックが付属している。とてもオシャレな冊子で、パラパラと眺めているだけでも楽しい | フランスパン用準強力粉はネットで購入 |
ドライイーストは水につかないよう最後にいれる | 1時間10分ほどで練り上がった |
練りと発酵が終わると、パイロットランプが点滅し、1時間スリープモードに入るので、この間に生地を成形する。生地を取り出して、打ち粉をしたボードの上で4等分にする。親指をくるむようにして形を作ったら、付属のナイフで表面に切り込みを入れる。この切り込みはクープといい、熱を均一に伝え、ボリューム豊かに焼き上げるために必要なのだ。
切り込みを入れるのには、予想以上に時間がかかってしまった。押すようにしながらずらして切っていったがなかなか切れないので、調理用のハサミを使ってみると、とても早くできた。一段目はナイフで切り込みを入れたが、二段目はハサミで入れてしまった。
生地の成形にかかる時間は10分程度。一度コツをつかめば、次からはあっという間にできる。バゲットの成形方法についてはレシピブックで解説されているが、ティファールのサイトで紹介さている動画のほうがわかりやすいので参照してほしい。
打ち粉をしたボードの上で4等分にする | 成形は親指をくるむようにする | 付属のナイフを使ってクープをいれてみたが、時間がかかる。調理用バサミでザクッと切ってしまったほうが早い |
最後に、表面に付属のブラシで水を塗り、バゲットトレイに乗せてラックにセットし、再度ボタンを押す。そのまま発酵から焼きに入るので、あとは焼き上がりを待つだけだ。二度目のブザーが焼き上げ完了のお知らせとなっている。
焼く前にブラシで水を塗る | ラックにセットして戻し、再度ボタンを押すと最後の発酵と焼き上げ作業が始まる |
焼きあがったバゲットは、まさにフレンチバゲット! とても良い香りが部屋に漂う。パン屋さんの店先で、焼きたてのバゲットがパキンパキンという音をたてているのを聞いたことがあるが、ブーランジェリーで作ったバケットも、同じように音が聞こえてきたので感動してしまった。焼き目は少々色が薄めだ。
切ってみると、外は硬く、中はしっとり、もっちりとした食感で塩味が効いていて、これはこれで食感が楽しい。小麦の香りもよく、まさにフレンチバゲットだ。残念ながらクープの開きはイマイチだが、これは切り込みが甘かったのかもしれない。
大きさも手頃で、女性なら一本食べれば十分だ。噛み応えがあるのでおなかにもたまりやすく、バターなどを使わないのでダイエットにもよさそう。
焼けた!本格的なバゲットのできあがり。いい香りが漂う | 一度に4本か8本焼くことができる。今回は4本焼いた |
手に持てる小さな食べきりサイズ | 中はぎっしり。もう少し空洞が欲しかった気もするが、皮はパリパリでいい感じ! |
気になったのは、パンの裏側が丸く焼き上がるため、カットするときにコロコロと転がってしまうこと。バゲットトレイの底を少しだけでもいいので平らにしていただけると嬉しい。
もう1つ、フタの開閉についても気になった。ブーランジェリーのフタは一般的なホームベーカリーより一回り大きく、うっかり手を挟みそうになってヒヤッとした。もう少しゆっくり閉まるように改良してほしいところだ。
■フランスパン用の準強力粉がなければ、強力粉と薄力粉でも代用可能
最初はフランスパン用準強力粉をネットで購入したが、毎回となるとお金がかかる。強力粉と薄力粉でも代用できるというので、強力粉7:薄力粉3の割合で、焼いてみることにした。
こちらでも同じようにフレンチバゲットができた。ただし、やはり専用のフランスパン用準強力粉を使ったほうが簡単で、香りも良い。
小麦粉と薄力粉を使用して焼いたバゲットは全体的に締まっていて細め。食感は似ているが、香りはやはり専用のフランスパン用準強力粉を使った方がおいしい | 左が強力粉+薄力粉で焼いたパン。生地の詰まった感じはよく似ている |
■ライ麦を入れたレーズンバゲットも絶品!
バケットのバリエーションメニューとして、ライ麦と少々の砂糖、レーズンを入れたレーズンバゲットを作ってみた。練りを始めてから約20分後に、レーズンを投入した。
ライ麦や砂糖、レーズンの油脂が入っているからか、食感はソフトな印象だ。表面の皮もフレンチバゲットよりやわらかめで食べやすく、ライ麦独特の香りとソフトな口当たりがとてもおいしい。
家族にも大好評で、ライ麦入りのバゲットをよく作っている。レーズンだけでなく、イチジクやクランベリーなどを入れたバゲットも作ったが、とてもおいしかった。気分によって色々な具材を入れても楽しめそうだ。
近所のスーパーで購入したライ麦粉 | 一度目のブザーでレーズンを投入する | 成形後、セット。生地は基本のフレンチバゲットに比べてやわらかめ |
焼き上がった!皮はそれほど固くないが、サクッとしていておいしい | ライ麦の香りが素朴でレーズンとよく合う。大人にも子供にも大好評。おみやげにしても喜ばれた |
■フラットトレイを使ってメロンパンに挑戦!!
次に作ったのはメロンパンだ。メロンパンは、パン生地と上にかぶせるクッキー生地を別に作る必要がある。生地の練りをホームベーカリーに任せつつ、その間にクッキー生地を作らなければならない。
クッキー生地はバターをたっぷり使うので室温が高いと成形しづらくなる。冷蔵庫でしっかり冷やして落ち着かせることが大事だ。ただ、これもそれほどコツは必要なく、準備は簡単であった。
クッキー生地は別にボウルで作る必要がある | パン生地部分はホームベーカリーにおまかせ | パン生地は8つに分ける |
クッキー生地は丸く伸ばしておく | ナイフで切り込みを入れてメロンパンらしくする | あとは焼くだけ |
メロンパンの成形を終えたら、フラットトレイにメロンパンをのせていく。
トレイ1枚に、小さめのメロンパンを2つ載せることができる。少し離してパンを2個置いてから、焼き時間に入った。焼き色はダーク設定で、24分後に焼きあがった。
膨らんでメロンパン同士が少々くっついてしまったが、とてもおいしそう。さっそく食べてみたところ、できたてのメロンパンは絶品。クッキーはほどよい甘さでバターの香りが濃厚だ。中のパン部分はふわふわでしっとりしている。市販のものより小ぶりで、子供が食べきれるサイズというのも嬉しい。
1枚のトレイに2個乗せることができる | 焼くときは焼き色を「ダーク」にするのがポイント | 膨らんでくっついてしまった |
メロンパンの完成!! | 家族も大絶賛のメロンパン。パン生地部分がふわふわでおいしい | 小さめなサイズなのでおやつにもぴったり |
オーブンを準備する必要がなく、成形してフラットトレイに乗せたらあとはホームベーカリーにおまかせ。2種類の材料を使うので手間はかかるものの、面倒な予熱や温度調整がないので通常に作り方より簡単にできる。これならおやつパンとして気軽に作ることができそうだ。
■思いのほか簡単にできるバゲット!
ブーランジェリーを使いこなす上で、あると便利なのが、100円ショップなどで売っている薄いペラペラのまな板だ。これにサッと打ち粉をまぶして成形すれば、後片付けも簡単。バゲットやメロンパンはサイズが小さいので、まな板サイズでもサッと成形することができる。我が家では、冷蔵庫の横にぶら下げて、成形時に取り出して使用している。残った粉も簡単に落ちるので重宝している。
粉が飛び散りやすい成形も、100円ショップなどで売っている薄いまな板を利用したところ便利だった |
子供を寝かしつけ、夜8時から作り始めても夜10時半にはバゲットができる。成形しなければならない手間はあるものの、コツをつかめば4本の成形は10分もかからない。材料が少ないので計量もラクだ。
すでにバゲットを8回ほど焼いたのだが、作業自体はさほど面倒に感じない。途中で成形しなければならないので予約機能は使用できないが、成形時間を含めても2.5時間あれば完成する。実際に手を動かすのは材料を量るときと成形するときだけで、オーブンの予熱をしたり温度調整などをする必要もなく、これ一台で完結するので簡単だ。後片付けがラクというのも嬉しい。
作っておいたバゲットを、翌朝にトーストすれば皮のパリパリ感が戻って、とてもおいしい。バゲットは固いので子供に不向きかと思ったが、薄めに切っておくと意外にも好評でよく食べてくれた。食パンより皮が固めなので、アゴも鍛えられそうだ。
翌日、明太子+マヨネーズ+バターを混ぜ、バゲットに塗ってオーブンでトースト。おいしい! |
メロンパンもとてもおいしく、しっとりふわふわ。外のクッキー生地はサクッとしていて、ほどよい素朴な甘さで子供にも安心して与えられる。多少手間がかかるものの、オーブンを別に用意する必要がないので、オーブンがないご家庭でも、ブーランジェリーがあれば色々なパンを作ることができそうだ。
後編では、ベーシックな食パンやマカロンに挑戦する。
2011年10月24日 00:00